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本日ボジョレー解禁! 欧州ワインに対抗すべく、「日本ワイン」の表示ルールが厳格化

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Photo by iStock.com/Boris_Kuznets

本日11月15日、ボジョレー・ヌーヴォーが解禁となった。周知ではあるが、ボジョレー・ヌーヴォーとは、フランス・ブルゴーニュ地方の南に位置するボジョレー地区で作られた新酒ワインを指す。

使用されるブドウの品種は地元の「ガメイ種」のみ。この「ガメイ種」によって、ボジョレー特有のフルーティな味わいが生まれる。ぶどうはワインにとっての命。どの品種を利用しているのかは、ワイン愛好家が重要視する大切なポイントだ。

今日は多くの飲食店でボジョレー・ヌーヴォーが飲まれるだろうが、ここ数年は欧州産ワインだけでなく、日本で造られたワインも注目されるようになってきた。こうした「国産ワイン」を“売り”に集客を図っている飲食店も多いのではないだろうか。

そんな国産ワインだが、その呼称についての新たなルールが10月30日から適用された。国産のワインの中でも、すべて国産の材料を用いたものを「日本ワイン」、海外から輸入した原材料、濃縮果汁などを使用して造られたものを「国内製造ワイン」とし、「濃縮果汁使用」などの表記も義務付けられるようになったのだ。

Photo by iStock.com/nobtis

「日本ワイン」と「国内製造ワイン」を明確に線引き

世界ではEUをはじめ、アメリカやオーストラリアなど多くの国でワインの表示に関するルールが定められている。一方、日本には公的なルールはなく、業界内の自主ルールに委ねられてきた。輸入濃縮果汁や輸入ワインを原料としたものでも、国内で造られたものなら「国産ワイン」と表示できたのだ。そのため消費者からは、国産の材料を用いた純粋な「日本ワイン」なのか、それともそれ以外のワインなのか違いが分かりにくいという問題があった。

そこで、国際的な流れを踏まえ、「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」に基づく「果実酒等の製法品質表示基準」を平成27年10月に定め、そこから3年後である平成30年10月から適用を開始。ワインは以下のように定義され、今後は販売・提供がされていく。

1、日本ワイン……国産ぶどうのみを原料とし、日本国内で製造された果実酒
2、国内製造ワイン……日本ワインを含む、日本国内で製造された果実酒及び甘味果実酒
3、輸入ワイン……海外から輸入された果実酒及び甘味果実酒

Photo by iStock.com/kokouu

「日本ワイン」に世界的なブランド力を

今回の「果実酒等の製法品質表示基準」施行の背景にあるのは、「日本ワイン」の評価の高まりにある。国内における酒類の消費が伸び悩む中で、近年ワインについては国内製造分も含めて消費が拡大。特に国産ぶどうのみから造られる「日本ワイン」の中には、国際的なコンクールで受賞するほど高品質なものも登場するようになった。また国としては、地域振興、6次産業化などを通じて、「日本ワイン」造りへの新たな参入も期待しているようだ。

明確にすみ分けがされたことで、今後は「日本ワイン」が消費者に認知されやすくなり、市場にも変化が起きていくことだろう。また、2019年には日本とEUの経済連携協定が発効され、ワインの輸入関税が撤廃、欧州産ワインとの対決も加熱していく。我らが「日本ワイン」のさらなる飛躍に期待したい。

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逆井マリ

ライター: 逆井マリ

フリーライター。音楽、アニメ、ゲーム、グルメ、カルチャー媒体などに取材記事を執筆。現在の仕事に就く前に、創作居酒屋、イタリアン料理店での業務経験あり。写真は大好きなアイスランドで撮影したもの。