飲食店の理想の上司、第1位は「誠実・公平」。逆に嫌われる上司はどんな人?
近年、あらゆる業種で「従業員満足度」という考え方が浸透している。これは、会社の方針や上司との関係、仕事内容などに対する満足度を調査し、より良い職場環境づくりに活かそうというもの。なかでも“上司”は、働く従業員にとって身近な存在であるため、その関係性は仕事へのモチベーションに直結する。
では、飲食店で働くスタッフにとって「理想の上司」とはどのようなものなのか。弊社が運営する「求人@飲食店.COM」では、直近1年間に飲食店で勤務したユーザー391名に対し、理想の上司に関する調査を実施。今回はその内容をお届けしていく。
4人に3人が尊敬する上司に出会えている
はじめに、「尊敬する上司に出会ったことがありますか?」という質問をすると、75%が「ある」と回答。飲食業界にとって嬉しい結果が得られた。一方で、「困った上司に出会ったことがありますか?」という質問には94%が「ある」と回答。ほとんどの従業員が、上司に対してなんらかの不満を感じた経験があることが明らかになった。
理想の上司は「誰に対しても誠実・公平」な人
続いて「理想の上司はどんな人か」を、サービス系職種(ホール・ソムリエ・バーテンダー・バリスタなど)、調理系職種(調理スタッフ・調理補助・パティシエ・ブランジェなど)に分けて質問。両職種で1位になったのは「誰に対しても誠実・公平」で、サービス系職種で57%、調理系職種で55%を占めた。従業員のことはもちろんお客様のことも、えこひいきしたり色メガネで見たりしない人を上司にしたいと思っている従業員が多いようだ。
また、2位以下は、職種別で多少の違いが出た。サービス系職種では、2位が「指示が的確」で52%、3位が「知識や経験が豊富」で42%。また、調理系職種では、2位が「知識や経験が豊富」で47%、3番目が「指示が的確」で41%という結果が得られた。
ここまでの結果を合わせると、「仕事上の高いスキルを持った上司と信頼関係を築きたい」「上司には、やることや段取りを明確に示して欲しい」といったことを従業員が考えていると推測できる。
さらに職種ごとの結果に注目すると、サービス系職種は、お客様と接するからこそ、上司からの丁寧な指導や臨機応変な指示を必要としていることがわかる。調理系職種は、自分のスキルアップを目標に日々の仕事に取り組んでいる人もいるため、「経験豊かな上司のもとで仕事したい」と考えているスタッフが多いようだ。
嫌われるのは「不公平、公私混同する上司」
続いて、「困った上司はどんな人か」を具体的に質問。職種を問わず「不公平・公私混同する」が1位になった。風通しの良い環境で働きたいと考えている従業員が多いのだろう。
その他、上位に入った項目は、「責任感に欠ける(サービス系44%・調理系46%)「指示が曖昧(サービス系44%・調理系46%)」だった。「スタッフに対して差別や区別をしていないか」「スタッフに責任転嫁していないか」「高いスキルがあるからこその的確な指示を出せている」といったところを上司は意識していくべきといえそうだ。
やっぱり困った上司の方が多い?
最後に、実際にどんな「理想の上司」「困った上司」に出会ったことがあるか、自由記述式で回答してもらったので紹介していきたい。
■理想の上司
・対応力と立ち振舞いに見とれてしまった。
・初対面であっても、それを感じさせないコミュニケーション能力の高さがあり、自分の知識を自慢げにすることがない。
・学生アルバイトにヒアリングし、オペレーションのレベルをマニュアル化し、一定のレベルの効率化を図っていた。
・自分が過去に苦しんだり悩んだりしたことを、部下になぞらせないよう改善を図った教育を行う。
・困っている自分を、どんな時も答えだけではなく解決策に近付けられるよう導ける会話をしてくれる。
■困った上司
・店で起こることの全ての責任が自分にあると認識していない。
・店で問題があった時にお客様がいるにもかかわらず大声で怒鳴り、スタッフに暴力をふるう
・店長がお休みの日に、スタッフの子が体調が悪くてシフトを代わってほしいとお願いするも、デートだからと断る。挙句の果てには彼女とディナーを食べにお店に顔を出す。
・部下を「おまえ」と呼ぶ
・異性に甘い
困った上司にまつわるエピソードは理想の上司にまつわるエピソードと比べて倍近くの回答が寄せられていた。飲食店で部下を持つ立場にある方は、「自分は大丈夫なはず」「心当たりがある」など色んな感想をお持ちのはず。「理想の上司」でいるために、部下の声に傾聴しつつ、それに応えられるように自分自身の成長も心掛けていきたいものだ。