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飲食店でも「有機JAS規格」の認証が始まる。オーガニック市場拡大が狙いか?

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Photo by iStock.com/tdub303

農林水産省が10月18日、有機農産物を一定量使用する飲食店に対して「JAS規格」の認証を与える意向を示した。有機農産物に関心の高い訪日観光客の増加が背景にあるとされているが、国としては有機野菜の生産拡大に繋げたいという考えもあるようだ。早ければ年度内に運用される見込みだ。

そもそも「JAS規格」とは?

健康志向の上昇、自然環境に対する意識の高まりなどにより、世界的に根付きつつあるオーガニック文化。有機野菜は通常の商品と比べて値段が約1.5倍高くなるものの、“価格、安定供給など一定の条件が合えば有機農産物を購入したい”と考えている層は約6割にも及ぶという。また、オーガニック食材に関心を持つ消費者が増えてきたことで、専門店以外の一般的なスーパーにも有機商品が並ぶことも珍しくなくなってきた。そんな近年の流れの中で「有機JASマーク」は、消費者が商品を選ぶ際の大切な目安となっている。

Photo by iStock.com/Milkos

「有機JASマーク」を商品に貼るには「有機JAS規格」を満たし、認証を受ける必要がある。具体的には、以下の条件をクリアしなければならない。

1、堆肥等で土作りを行い、種まきまたは植付前の2年以上、化学合成肥料及び農薬の不使用を基本として栽培
2、種子や苗は、原則、有機のものを使用
3、組換えDNA技術の利用や放射線照射を行わない
4、一般製品との混合、薬品等からの汚染がないよう管理

この「有機JAS規格」の認証を受けていないと、スーパー等で「有機野菜」「オーガニック野菜」の名称で販売することはできない。国が認めているという安心感があるため、消費者からの信頼度は高いようだ。

これと同様に飲食店でも「有機JAS規格」の認証を受けることができれば、店の“売り”として消費者に十分にアピールすることができるだろう。では、飲食店で「有機JAS規格」の認証を受けるには、どのようなルールがあるのだろうか。

Photo by iStock.com/kumikomini

料理には有機食材を80%以上使用する

「JAS規格」は厳格なイメージがあるゆえ、気になるのがその条件だ。飲食店に「JAS規格」の認証を与えるための前提として、「有機食材の配合割合が80%以上の料理を5品以上提供する」ことが挙げられている。また、「顧客が有機料理とそれ以外と識別できるように表示する」「料理に占める有機食材の割合を記号で示す」「提供するすべての料理が有機料理でない場合は、一般的に消費者が誤認する表示をしてはならない」など、細かい決まりがあるようだ。

オーガニック料理を“売り”にした飲食店は数多いが、実際に「どのくらいの割合で有機野菜が入っているのか」などは明確に発信されていないことがほとんどだ。「JAS規格」の印はもちろんのこと、具体的な情報を明らかにすることにより、消費者からの信頼を高めることが可能となる。オーガニック料理を扱う飲食店は、「JAS認証」の今後の動向に注目していきたいところだ。

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逆井マリ

ライター: 逆井マリ

フリーライター。音楽、アニメ、ゲーム、グルメ、カルチャー媒体などに取材記事を執筆。現在の仕事に就く前に、創作居酒屋、イタリアン料理店での業務経験あり。写真は大好きなアイスランドで撮影したもの。