ニュースレターの購読はこちらから(無料)
Foodist Mediaの新着記事をお知らせします(毎週2回配信)
※お申し込みの前に、個人情報の取扱いについてご確認いただき、同意の上お申し込みください。
powered by 飲食店.COM ログイン

福岡を代表する名店『焼とりの八兵衛』、苦難乗り越えつかんだ夢。勝負の舞台は「世界」へ

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

2017年1月にオープンした『焼とりの八兵衛 ハワイ・チャイナタウン店』のスタッフと。写真中央が八島且典社長

1983年7月、家業である精肉店の肉を使った『焼とりの八兵衛』を現在の福岡県糸島市に開業。2000年5月には天神への進出を果たし、現在は福岡・東京のほか、バンコクやハワイにも展開し、各方面から注目を集める。今回は『焼とりの八兵衛』グループを率いる八島且典社長に、ご自身が思い描く『焼とりの八兵衛』の未来を中心に、思いの丈を語っていただいた。

苦労に苦労を重ねた創業期。人に恵まれていたからこそ、今がある

1983年、22歳で母とともに『焼とりの八兵衛』を開業した店主・八島且典さん。

「物心がついた頃から、大人になったら商売人になろうと思っていました。ただ、田舎の商店街の焼き鳥店は喧嘩や未払いが日常茶飯事。毎日辞めたいと思っていたし、どうすればかっこよく辞められるかばかり考えていたんですよ」

八島さんは休日や仕事帰りに福岡市内の知人が営むイタリアンやフレンチへ赴き、料理の技法や専門用語などを学んだという。

「2年ほどやっていると、1つのコースを作れるようになっていました。これなら業態変更できると考え、教えてくれたシェフに『俺、焼き鳥屋を辞めてそっちの世界に行くけん』と言ったんですけど、一蹴されたんです。『自分は15歳からこの世界にいる。勝てるわけないじゃない。どうして、その情熱を焼き鳥に向けないんですか?』と。ハッとしましたね」

備長炭を用いて丁寧に焼き上げる。撮影=吉野英昌

こうして、再び焼き鳥と向き合った八島さん。炭を変えたり、ネタを工夫したり、デザートをつくったり。けれど、お客様はなかなか増えない。5年間、必死に頑張り続けたものの結果に繋がらず、生きる気力すらなくなってきたという。現在の活動的な八島さんからは想像もつかない話だ。

「『死のうかな』って言葉がふと口から出たこともあります。死にたいと考えていたわけではなかったんですけどね。それほどまでに追い詰められていたとき、最期に美味しいものを食べようと、なけなしの現金3万円を持ってあるフランス料理店へ行きました。そのときにいただいた料理が本当に美味しくて。とても幸せな気持ちになり、もう一度生きて、人を幸せにする仕事をしようと思い直したんです」

業態を変えようと考えたときも、死を意識したときも、八島さんは人に助けられた。人に恵まれているからこそ、今があると八島さんは言う。

いつも活気にあふれる天神店

有名になることよりも、本物になることをめざす!

2000年5月、『焼とりの八兵衛』は競合店がひしめく福岡・天神エリアに2号店をオープン。開業から17年の歳月が経っていた。

「私は基本を守りながらも常に新しさを追求したいと考えています。常に先頭を走り続けていれば道は拓けると信じています。だからこそ、真似をされることはあっても、流行りを追いかけたり、どこかの真似をしたりすることはありません。仕事とは苦しいものですし、鍛えること。自分で一生懸命考えて、料理をつくることが大切なんです。有名になるのは簡単ですが、私たちは有名になることよりも、本物になることを目指しています」

そんな八島さんは、スタッフが中心になる場づくりをめざし、2018年12月3日、株式会社hachibei crewを設立した。

「ある時期から店に入ることを辞めていました。お店に入ると仕事をしている気になってしまうんですよね。毎日店に入ることが会社のためになると思っていたけれど、私が頑張るのではなく、みんなが頑張れる会社をつくることが、私の使命であることに気づいたんです。今は、若い世代の経営者たちがやっていることを勉強させてもらいながら、会社づくりを進めているところです」

『八兵衛』を盛り上げるスタッフたち

「社長」という肩書きが嫌で、これまで名刺には「店主」と書いていた。いつまでも主でいたいという思いが強かったのだろう。美味しいもの、いい店はつくることができるけれど、会社としてどうなのかと考えた八島さんは、覚悟を決め「社長」として会社づくりに取り組んでいるのだ。

その一方で、八島さんは経営者として、この秋から時間が許す限り再び店に入り、焼き台の前に立つようになった。

「久しぶりに店に入って、店を守り続けているスタッフたちを見て感動しました。彼らのためにもみんなが輝けるステージをつくらねばと、改めて心に誓ったのです」

社名をhachibei crewと名付けたのも、これからはスタッフが中心になり『八兵衛』を盛り立ててほしいという思いを込めてのこと。これからはホンモノの人間を育てていきたいと、意気込みを語ってくれた。

Pocket
follow us in feedly

Foodist Mediaをフォローして最新記事をチェック!

ニュースレターの購読はこちらから(無料)
Foodist Mediaの新着記事をお知らせします(毎週2回配信)
※お申し込みの前に、個人情報の取扱いについてご確認いただき、同意の上お申し込みください。
[PR]
寺脇あゆ子(cadette)

About 寺脇あゆ子(cadette)

福岡・大阪の出版社勤務を経て、福岡を拠点に活動するフリーの編集者・ライター。グルメ情報誌『ソワニエ』やシティ情報ふくおか別冊『福岡肉本』などの地元情報誌のほか、ぐるなびが運営する『dressing』、スイーツ専門の『CAKE.TOKYO』、ウェブマガジン『greenz.jp』などのウェブメディアでも九州・福岡を中心とした情報を発信している。