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2019年のグルメトレンドを意識して集客力アップ! さば、モクテル、しびれ料理 etc...

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画像素材:PIXTA

飲食店にとって「メニュー開発」は経営の要の部分だ。いつでも安心して食べられる定番メニューも大切だが、トレンドを意識したメニュー作りも忘れてはならない。新鮮で目を引くメニューは集客にも繋がりやすいからだ。そこで今回は、今年注目されているグルメトレンドを紹介しつつ、それらをどのように自店のメニューに取り入れるべきか、その方法を考えていきたい。

「とろけるチーズ」でフォトジェニックに

2018年は韓国のおやつ「ハットグ」が話題となった。ハットグとは、韓国風のアメリカンドッグのこと。衣の中にチーズがたっぷりと入っていて、一口食べるとチーズがはみ出してくるほどのボリュームだ。味にも様々なバリエーションがあり、粉砂糖をかけてスイーツ感覚で楽しむこともできる。2019年にかけては「パネチキン」の人気も上昇中。器に見立てたパンの中に溶けたチーズがたっぷりと入っており、フライドチキンなどをつけて食べる。韓国版のチーズフォンデュと言ったところだ。

しかし考えてみれば、ハットグもパネチキンも注目されるのは当然だ。「とろけるチーズ」のメニューはどの時代でも人気を集めてきた。わかりやすい例としてはファミレスの「チーズハンバーグ」など。見た目は地味でも、ナイフを入れると中からチーズが溢れ出す。フォトジェニックな見た目はSNSを通じた集客効果も期待できそうだ。

チーズメニューをまだ導入していない店は、ぜひ新メニューを考案してみよう。例えば、「かけるチーズソース」。肉や野菜の料理を提供する際に、熱々のチーズソースをかける。提供時にテーブルで店員が仕上げを行えばパフォーマンスにもなる。「〇〇のぶっかけチーズソース」や、器から溢れるほどのチーズをかけて「こぼれチーズ」などとしても人気を集めそうだ。

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本格的な味を外で楽しむ「ポータグルメ」

集客アイデアを練る際は、ライバル飲食店だけのチェックでは不十分だ。むしろ飲食店のライバルは、コンビニやデリバリー店、中食業界だと言ってもいい。リクルートライフスタイルが2019年のトレンドとして発表した「ポータグルメ」は今後の重要キーワードになりそうだ。ポータグルメとは、「ポータブル(持ち運びできる)」と「グルメ(美味しい)」を組み合わせた造語。これまでは「外食=満足度の高い食事」、そして「中食=便利な食事」と使い分ける傾向だったものが、近年は満足度と利便性の両方を満たすものが求められてきている。

そこで重要になってくるのが単なる持ち帰りメニューではない、本格志向のテイクアウトメニューの開発だ。例えば、「オーガニックサンドイッチ」や「和牛100%ハンバーグランチ」など、「健康」や「贅沢」をキーワードにすると目を引きやすい。また、お花見やピクニックのシーズンに向けて、季節のコースメニューと食器・ワイングラスなどがついたピクニックバスケットを限定予約で受け付けてもいい。テイクアウトやデリバリーを行っている飲食店は、本格的な味を「そのまま持ち運ぶ」ことを意識してメニュー開発することが鍵になる。

上品で香り高い「“和”スパイシーメニュー」

ますます注目を集めている「しびれメニュー」。山椒や花椒など、舌がしびれるような刺激と爽やかな香りを合わせ持った香辛料を使い、単調な辛さではなく旨味があって癖になる味が人気となっている。

花椒と言えば中華料理に使われるスパイスだが、近年は国内産山椒の出荷量が増加しており、今後は和のスパイスも脚光を浴びそうだ。例えば、木の芽(山椒の若葉)や七味をイタリアンと合わせるなどの工夫をしてみよう。七味をたっぷり入れたアラビアータに木の芽を散らせば上品な仕上がりになる。また、柚子胡椒とほうれん草のグリーンカレーなども奥行きのある味になる。和の香辛料はメニューに書いた時も綺麗で美味しそうな印象を与えるので、これまで使用していた香辛料を和のものに置き換えてみるのもいいだろう。

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ツナより深い味わい!?「サバメニュー」

2018年に注目を集めた「サバ缶」。仕入額も安定していることから、飲食店にとっては優等生食材だと言えるだろう。様々な料理にアレンジできるのも大きな魅力だ。

例えば、サバポテトサラダ。ツナのようにほぐして混ぜ込めば、全体が深みのある味わいになる。また、ほぐさずにそのまま揚げてサバサンドにも。水菜やシソなど和の野菜と合わせても美味しい。一見ミスマッチだが、パスタやカレーの具材にもぴったり。先述の和スパイスと合わせて使っても面白そうだ。

コーヒーもお酒も飲まない人に「Mocktail(擬似カクテル)」

現在は、タピオカドリンクのようないわゆるソフトドリンクも大人気となっている。お酒を飲む人が少なくなってきたこと、またコーヒーが苦手な人も多いといったことから、ソフトドリンク系のニーズが高まっていると見ることができそうだ。今後も、タピオカドリンクのようなプラカップに入れて写真映えするようなメニューは続々と出てくるはずだ。

また最近は、「Mocktail(モクテル)」と呼ばれる擬似カクテルが注目されている。Mocktailとは、Mock(擬似)+Cocktail(カクテル)を合わせた造語。日本ではノンアルコールカクテルはまだそれほど浸透していないが、より本物のカクテルのイメージに近いMocktailは導入の価値ありと見ていいだろう。カクテルは甘いものも人気だが、食事と合わせるならばドライな味わいのものが好まれる。例えば、ジンジャー&ライムのソーダ割りや、りんごジュースにビネガーと炭酸を入れるなど、さっぱりした仕上がりにするとお酒が好きな人にも喜ばれるだろう。

「トレンドメニュー」が受け入れられるのには、単なる流行というよりも、時代の流れやニーズなど、しっかりとした理由がある。トレンドに左右されない軸を持つことも重要ではあるが、時代や人々の興味関心を無視してメニューはつくれない。大切なのは、トレンドを意識しつつ、それをベースにいかに自店らしさをアピールできるかだ。トレンドメニューで新規客を集客しつつ、定番メニューで常連客を掴むという手法もいいだろう。ぜひ、トレンドをうまく取り入れたメニュー開発に取り組んでもらいたい。

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大槻洋次郎

ライター: 大槻洋次郎

父親が喫茶店を営む家庭に生まれ、31才の時にカフェで独立開業。個人経営のこだわりカフェの先駆者的存在となった。現在は大手カフェスクールや展示会での講師活動、飲食店の開業支援などを行なっている。現場目線の初心者でもわかりやすいノウハウに定評がある。メディア出演も多数。得意料理はパスタ。