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軽減税率制度を追い風に! 繁盛店に聞く「儲かるテイクアウト」のはじめ方

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ランチタイムにはテイクアウト客で行列ができるという『sakura食堂 六本木ヒルズ店』

2019年10月の消費税引き上げに合わせて、テイクアウトやデリバリーにかかる税率が8%に据え置かれる「軽減税率制度」がスタートする。増税により客足が落ち込む可能性がある中、これを機に中食に力を入れようと考えている飲食店経営者も多いのではないだろうか。

実際のところテイクアウトは売上にどれだけ影響を与えるのか? 始めるにあたって大切なポイントは何か? 今回はテイクアウト事業に力を入れ、高い売上を確保している『sakura食堂 六本木ヒルズ店』を取材。テイクアウトの具体的な始め方、そして売上を伸ばすためのコツを聞いた。後半には、同店が集客ツールとして導入したという事前注文アプリ「PICKS」を紹介。同サービスの運営会社である株式会社DIRIGIOの代表・本多祐樹氏に、テイクアウト事業の成功の秘訣を教えていただいた。

店の入り口にはテイクアウト専用の販売エリアが。並べられた弁当を見て来店するイートイン客も多い

売上の2~3割がテイクアウト販売によるもの

彩り豊かで、ヘルシーな定食が人気の『sakura食堂』。玄米(Brown rice)、バランス(Balance)、美と健康(Beauty & Health)という3つの「B」を柱に、季節の食材を用いた健康的なメニューを提供している。今回、話を聞いたのは『sakura食堂』を運営する株式会社C&Bプラスのマネージャー・土野貴祥氏。まずはこの六本木店の特徴からうかがった。

「東京には何店舗かあるのですが、街の特徴に合わせてメニューを変えています。六本木はビジネスマンや外国人、週末には家族連れも訪れます。そのためメニューの検討はなかなか難しかったのですが、定番メニューにプラスして、市場直送の魚を使った日替わり定食や、お子様向けのメニューなどを提供することで幅広い層に対応できるようにしています」

イートインメニューは10種類ほど。それに比べてテイクアウトメニューは20種類にも及ぶ。これはメニュー表の用意が不要で、料理のアレンジがしやすいのが理由だそうだ。また、値段もイートインメニューが1,000円以上するのに対して、テイクアウトメニューは680円(夜の時間帯は500円)と手頃だ。

「テイクアウトは開店当初からやっていました。お店の売上の2~3割ぐらいが弁当販売によるものですね。多い時は1日200食、少ないときでも100食ほど売っています。お弁当は店頭に並べて販売しているのですが、それ自体がメニュー表の役割を果たしてくれるため、気に入ったものをスムーズに手に取っていただけます。また、店頭に並んでいるお弁当をご覧になって入店されるお客様もいるので、集客面でも役立っています」

『sakura食堂』を運営する株式会社C&Bプラスのマネージャー・土野貴祥氏

テイクアウトを始めるのは意外と簡単

『sakura食堂』のある六本木ヒルズ ノースタワーの地下一階では、ほぼすべての店がテイクアウトを行っている。そのため、メニューも周りの店とはなるべく被らないように注意しているという。ちなみにテイクアウトを始める際、どのような準備が必要だったのだろうか。

「テイクアウト自体は簡単に始められます。当店の場合は、もともと取得していた飲食店営業許可証だけですぐにお弁当販売ができるようになりました。必要なものと言えば、お弁当の容器や、お箸、おしぼりくらいですね。あと、当店では成分表記を弁当の容器に記載しています。これは店頭販売以外に近隣のオフィスに卸したりもしているので、そのために必要でした。シールを作る専用の機械に内容を登録し、日付を変えればすぐ印刷できるようにしています。売り場では、ポップなどが主張しすぎないようにし、陳列したときのバランスや色合いにも気を配っています」

ところで、テイクアウトで気を付けなくてはならないことといえば衛生面。特に梅雨から夏場は食中毒の発生などに注意が必要なため、食材の取り扱いや調理の面で細かくルールを決めてマニュアル化しているという。また、販売において気を付けている点を聞くと「できるだけ売り残しを出さないよう、店頭でのオペレーションにも気を配っている」とのこと。

「お昼のピーク時は、お客様を店内に案内する係、お会計係、そして弁当販売係と、専任のスタッフを配置することで対応しています。長蛇の列ができるランチタイムは、一分一秒が勝負です。細かいことですが、あらかじめ袋の中にお箸やおしぼりを入れておき、あとはお弁当をつめればいいだけの状態にするなど、少しでも効率化を図れるよう努力しています」

衛生面には特に気を配っているという

先にもあげた通り、店頭に並べた弁当はイートイン客の集客にも一役買っている。それだけでなく、弁当を彩りよくまとめることで、テイクアウトしたビジネスマンなどの周囲で、「それどこのお弁当?」などといった口コミが広まる効果もあるのだとか。テイクアウトは販売による実利だけでなく、店の認知度向上にも貢献しているようだ。また今後は、世の中の動きに対応すべく、環境へ配慮しながらテイクアウトを行っていくそうだ。

「最近、プラスチックゴミの環境汚染が社会問題になっていますが、当店も弁当の容器に使う素材を工夫して、こうした問題に対応できるようにしていきたいです。お客様の中には、“ゴミを捨てる場所がない”という理由で購入に至らないケースもあります。機会損失を防ぐためにも、そして環境に配慮することは店のブランディングにも繋がると思いますので、今後はこの点に力を入れていきたいですね」

一番人気があるのは、唐揚げを使った弁当。写真は「鮭の塩焼き&唐揚げ弁当」(680円)

販売チャネルを増やすために「PICKS」を導入

今年3月より事前注文アプリ「PICKS」を導入する『sakura食堂』。アプリ導入の理由としては、「より多くの方に『sakura食堂』を知って欲しかった」という“販売チャネル拡大”の狙いが大きい。他社アプリと比較検討した結果、「PICKS」を選ぶことにしたそうだ。

「集客アプリを選ぶ際に基準としたことは、『実績があること』と『簡単に始められること』の2点。たくさんの担当者と連絡を取りましたが、一番フットワークがよく、すぐに店まで来てくださったのが『PICKS』でした。また、注文を取りこぼさないようリマインド機能がついていたり、場合によってはサポートスタッフが電話でフォローしてくれたりなど、バックアップ体制がしっかりしている点に魅力を感じましたね」

『sakura食堂』が「PICKS」で販売するメニューは6種類。人気メニューから販売を開始し、客の反応をみながら徐々にバリエーションを増やしていく予定だ。

株式会社DIRIGIOの代表・本多祐樹氏

いま、消費者に求められているテイクアウト商品は?

続いて「PICKS」を運営する株式会社DIRIGIOの代表・本多祐樹氏に、飲食店がテイクアウト事業で成功するための秘訣をうかがった。

「『PICKS』のメインユーザーは25〜45歳の男女(男女比は同程度)。特に人気があるのはヘルシー系のメニューですね。栄養バランスが考えられていてかつ美味しい料理って、自分ではなかなか作れないですし、作っても時間が掛かります。そういった手間を省くために使われている方が多いように感じます」

ビジネスマンが仕事帰りに「PICKS」で注文して、飲食店でサクッとテイクアウトして帰宅する。コンビニやスーパーでは味わえない高クオリティーの弁当は、一日の疲れを癒すのにもってこいだろう。

「飲食店のテイクアウトのライバルは『コンビニ』だとよく言われていますが、基本的に両者は別物だと感じています。『PICKS』を利用されるお客様は、コンビニにはない“ヘルシーさ”や“味の良さ”を求めています。この部分でわかりやすい差別化を図れると注文が入りやすいですね。例えば主菜だけを単品販売するのではなく、副菜を加えて定食メニューとして販売する。そうするとお客様には栄養バランスが考慮されたメニューとして映ります。こうやって、ある程度パッケージ化されたメニューが『PICKS』の中では人気です」

「PICKS」のオーダー単価は平均1,600円と比較的高い。テイクアウト商品を店頭販売している店舗も、「PICKS」経由で入る注文は概ね高単価になるという。店頭だと「早く注文しなくては」という心理が客に働くが、「PICKS」は自分のペースで注文ができるため、トッピングやサイドメニューがよく売れる。集客効果を得られるだけでなく、客単価の向上にも役立っているというわけだ。

2018年5月にスタートしてから、登録店舗数が200店を超えたという「PICKS」。最後に「PICKS」だからこその“強み”を聞いた。

「最近、テイクアウトアプリが続々と登場していますが、『PICKS』の一番の強みは、ただのプラットフォームではないことです。店側に注文システムを提供して終わりというわけではなく、何かお困りのことがあればすぐに対応できるように電話応対スタッフを常駐させていますし、『PICKS』を通じて培ったテイクアウトのノウハウは積極的に共有するなど、全力でサポートをしています。それらを通じて、飲食店様の最終的な目的である“売上向上”にコミットできればと考えています」

今年10月にスタートする軽減税率制度により、ますます注目されている「テイクアウト」。注目されている分、ライバルの増加も懸念されるが、競争に勝ち残っていくためには複数の集客チャネルを持ち、顧客を開拓していくことが求められる。その点、サポート体制が万全な「PICKS」は、飲食店にとって心強いパートナーになってくれるはずだ。

『sakura食堂』
住所/東京都港区六本木6-2-31 六本木ヒルズ ノースタワーB1F
電話番号/03-5474-3230
営業時間/11:00~L.O.22:30
定休日/六本木ヒルズ ノースタワーに準ずる
席数/28

■PICKSの詳しい情報・お問い合わせはこちらから
[提供]株式会社DIRIGIO

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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