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求人に「受動喫煙対策」の明示が義務化。飲食店は従業員にも快適な店づくりが急務

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画像素材:PIXTA

厚生労働省は3月27日、企業が自社のホームページや求人票などで労働者を募集する際の勤務条件に、職場でどのような受動喫煙対策をしているかを明示するよう義務づけることを決めた。多くの人が使う施設での喫煙を規制する「改正健康増進法」の全面施行に合わせ、2020年4月より適用される。

現行では、人材を募集する際に、賃金、労働時間、就業場所などの労働条件を明示することが義務づけられている。今回、職業安定法の省令を改正し、職場における受動喫煙の対策を追加する。

これには、事前に求職者に企業の取り組みを知らせることで、望まない受動喫煙を防ぐ狙いがある。具体的には、就業場所の類型に応じて、職業安定法上の労働条件明示例を参考にして、就業の場所における受動喫煙を防止するための措置に関する事項の明示を行う。

飲食店では、屋内が禁煙となる場合は「屋内禁煙」、喫煙専用室を設置している場合(施設の主要な出入口、喫煙室の出入口に標識の掲示が必須)は、「屋内原則禁煙(喫煙室あり)」と記載する。

派遣の場合は派遣先の状況を記載。募集・求人申込みの段階で、複数の場所が就業場所として特定されているときは、それぞれの状況を記載する必要がある。また、上記は明示例であり、事実に基づいてほかの情報を記載することが可能となっている。

画像素材:PIXTA

客だけでなく従業員にとっても居心地の良い空間をつくることが急務

受動喫煙については、規制を強化する改正健康増進法が2018年7月に成立。多くの人が集まる施設を原則、屋内禁煙とし、また20歳未満の人は客も従業員も喫煙できる部屋への立ち入りが禁止されることになった。

病院や学校、行政機関が2019年7月から屋内全面禁煙になるほか、飲食店なども2020年4月以降に原則、屋内禁煙になる。ただし、飲食店のうち、個人や中小企業が経営する客席面積が100平方メートル以下の既存店は例外となり、「喫煙可能」などと標識で示せば喫煙を認めるとしている。

JT(日本たばこ産業株式会社)が実施した「全国たばこ喫煙者率調査」では、2018年5月の時点で、全国の喫煙者率は男女計17.9%。2017年に1,917万人だった喫煙者数が、2018年には1,880万人になり、1年間で37万人減少したことがわかった。

今後、求職者が職場を選ぶ基準として、どのような受動喫煙対策が行われているかが重要視されるようになるかもしれない。人手不足が深刻化している飲食業界では、客だけでなく、従業員にとっても居心地の良い空間をつくることが急務になるだろう。

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上條真由美

ライター: 上條真由美

長野県安曇野市出身。ファッション誌・テレビ情報誌の編集者、求人ライターを経て独立。インタビューしたり執筆したり、平日の昼間にゴロゴロしたりしている。肉食・ビール党・猫背。カフェと落語が好き。