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全国の飲食店で「食中毒」が多発。気温が上がる春から夏にかけての対策は?

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写真はイメージ。画像素材:PIXTA

GW頃から各地で食中毒が相次いでいる。飲食店の場合は、一度食中毒を起こすと悪いイメージがつき、客足が戻らず閉店に追い込まれるケースもあるので注意が必要だ。例年では気温が高くなるこれからの時期から食中毒の発生件数が増える傾向。ここで改めて食中毒の危険性について認識を深めてほしい。

各地でノロウイルスによる食中毒が発生

4月から全国各地でノロウイルスによる食中毒が発生。食中毒を起こした全店舗が営業停止処分となった。

■北海道のレストランで112人が集団食中毒
北海道内のレストランでは、4月27日と28日の夜にバイキング形式で寿司やカニなど、50品目を提供。飲食した客319人のうち、112人が発熱や下痢、嘔吐などの症状を訴えた。

保健所が調べたところ、客9人と調理従事者5人からノロウイルスが検出されたことから食中毒と判断。同店に5日間の営業停止を命じた。

■和歌山県の飲食店が製造した弁当で25人が食中毒
和歌山県内の飲食店が4月21日に製造した仕出し弁当を食べた25人に、嘔吐や下痢の症状がみられ、うち7人からノロウイルスが検出された。従業員4人のうち1人からもノロウイルスが検出され、県は同店を3日間の営業停止処分とした。

■東京都の高級ホテルで32人の食中毒
4月14日から15日にかけて、東京都内の高級ホテルにあるイタリアンレストランで食事をした39人のうち、32人が吐き気や発熱などの症状を訴えた。

保健所が調べたところ、客と従業員の一部からノロウイルスが検出されたことから食中毒と断定。区は同店を3日間の営業停止処分とした。レストランではマリネや肉料理、パスタなどが提供されたが、感染源の食材は特定されていない。

写真はイメージ。画像素材:PIXTA

ノロウイルスによる食中毒は1年中発生する

厚生労働省のデータによると、ノロウイルスによる食中毒の発生件数は、1月と2月が最も多い。上のように4月に多発したのは意外かもしれないが、予防を怠ると1年中発生しうるものなので、どの時期も油断はできない。

ノロウイルスが原因の1つである「感染性胃腸炎」は、年間で約100万件も報告されており、死亡数は毎年2000件を超えている。

これからの時期は「細菌性食中毒」に注意

食中毒の発生件数は、気温や湿度が高まるにつれて増え、夏場に最盛期を迎えるといわれている。厚生労働省のデータによると、5月から10月までは「細菌性食中毒」の発生が多いという。代表的なものの原因となる食品と症状は以下の通り。

■腸管出血性大腸菌(O157)
原因となる食品は、牛レバー刺し、ハンバーグ、サラダなど。感染すると激しい腹痛や下痢などの症状がみられる。

■黄色ブドウ球菌
原因となる食品は、おにぎり・サンドイッチなどの素手でつくるもの。感染すると激しい吐き気や嘔吐、下痢、腹痛などの症状がみられる。

■腸炎ビブリオ
原因となる食品は、海産の生鮮魚介類およびその加工品など。手や包丁、まな板を介して二次汚染された食品から感染する可能性もある。感染すると下痢や腹痛、吐き気や嘔吐、発熱などの症状がみられる。

画像素材:PIXTA

食中毒を起こさないためには?

食中毒対策には3原則がある。
・調理前に必ず手洗いをする(菌をつけない)
・生鮮食品はすぐに冷蔵庫へ入れる(菌を増やさない)
・食材を中心までよく加熱する(菌をやっつける)

なかでも「菌をつけない」が最重要。そもそも菌がついていなければ、調理をしても増殖することはなく、食中毒は起こらないからだ。また、手だけでなく、包丁やまな板からも感染することがあるので、使った後の洗浄・消毒を徹底してほしい。

食中毒は最悪、死に至ることもある恐ろしいもの。飲食店で起きた場合には閉店を余儀なくされるケースもある。今一度、経営者だけでなくスタッフ全員で食中毒の危険性を認識し、食品の管理や調理手順を見直すなど、対策に取り組んでほしい。

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上條真由美

ライター: 上條真由美

長野県安曇野市出身。ファッション誌・テレビ情報誌の編集者、求人ライターを経て独立。インタビューしたり執筆したり、平日の昼間にゴロゴロしたりしている。肉食・ビール党・猫背。カフェと落語が好き。