肉の部位の呼び名は、地域によってこんなに違う！ チマキに天肉、クラシタとは！？

食材の呼び名が地域によって異なることは、よくあるもの。仕入れの時に聞いたことのない名称を見掛け、戸惑った経験がある方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、地域で異なる呼び名を持つ「肉の部位」をご紹介します。

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■全国：ハラミ／北海道・東北地方：サガリ
「ハラミ」も「サガリ」も横隔膜のことを指します。肉の部位から見ると、横隔膜のうち、ハラミは肋骨・腕骨部の筋肉部、サガリは腰椎部の筋肉部を指すため、厳密には異なりますが、全国的にはサガリを含めた横隔膜の筋肉部全部をハラミと呼びます。一方、北海道や東北地方では、ハラミも含めた横隔膜の筋肉部全部をサガリと呼ぶのです。

ちなみに、ハラミ・サガリはその組成から赤身肉だと思われがちですが、横隔膜は肺に付いている器官であるため「ホルモン」に分類されます。

■関東：スナギモ／関西：ズリ・スナズリ
鶏の砂嚢（さのう）と呼ばれる消化器官を指す「スナギモ」。歯ごたえのあるコリコリした食感に加え、低脂肪、低カロリーであることから、人気がある部位の一つです。関東ではスナギモという呼び名が一般的ですが、関西では「ズリ」または「スナズリ」と呼ばれることが多いよう。
「スナギモ」は、砂嚢の中に実際に砂が入っていることから付いた呼び名、一方で「スナズリ」は、食物を胃袋に溜め込んだ砂ですり潰すことから付いた呼び名だといわれています。

■関東：ヒレ／関西：ヘレ
ステーキなどで提供される機会が多い「ヒレ」肉。こちらは、肋骨の内側にある部位を指します。運動しない筋肉であるため、非常に柔らかく脂肪がほとんどないのが特徴。呼び名の語源はフランスの「フィレ（filet）」だとされています。フィレを日本語に訳すときに「ヒレ」となり、関西で訛って「ヘレ」になったと考えられています。

■関東：ウデ／関西名：シャクシ・カタミスジ
希少部位である「ミスジ」を含む、肩の部分のこと。よく動かす部位なので、筋や筋膜が多く、やや固めです。カレーやシチュー、しゃぶしゃぶなど、幅広く使えます。「ウデ」も「シャクシ」も部位は同じですが、呼び名は異なります。

■関東：カタロース／関西：クラシタ
あばら骨側の肉を指します。部分肉の中で最も大きいため、多くのメニューに活用しやすいこの部位は、関東では「カタロース」、関西名では「クラシタ」と呼ばれています。由来は、人が馬に乗る時に使う「鞍（クラ）」の下にあるためそう呼ばれるようになったそうです。

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■全国：ツラミ／京都：天肉
ホホ肉のことで、こめかみ部分を含むこともあります。よく動かす部位なので、硬めで味わいは濃厚。一般的な呼び名の「ツラミ」は「つら（面）の身」に由来していると言われています。地域ごとに呼び名はさまざまで、「ホッペ」「カシラニク（頭肉）」「ツラ（面）」「ホッペ」など様々なバリエーションで呼ばれています。

■全国：スネ／関西：チマキ
4本の肢のふくらはぎの部分を指します。かなり運動量が多い部位なので、筋は多く、硬い肉質をしています。煮込み料理によく使われるのは、ゼラチン質を含んでいて、長時間煮込むと肉質がやわらかくなるとともに、濃い味が出るためです。前肢のすね肉は「マエズネ」、後肢は「トモズネ」と呼ばれることもあります。

■関東：ランプ／関西：ランイチ・ラム
サーロインからつながる部位で、腰から後ろのモモ脚、臀部にかけてを指します。一般的には、臀部まわりの骨に近い部位を「イチボ」、臀部からもも脚に近い部位を「ランプ」と区別しますが、ひと続きにしてランイチと呼ぶことが多いようです。

■全国：鶏肉／関西・九州：カシワ
ニワトリの肉を、中部地方の一部、関西地方、九州地方では「カシワ」と呼びます。そもそも「かしわ」という呼び名は、落葉した柏（かしわ）の葉の色が、和鶏の羽の茶褐色によく似ていたことから使われるようになったといわれています。その後、白い食用ニワトリである「ブロイラー」が日本に入ってきたために、区別をしようと茶褐色の羽が特徴的な日本のニワトリの肉をカシワと呼ぶようになり、いつしか鶏肉の一般的な呼び名に変化したと考えられています。

地域によって変わるのは呼び名だけでなく、“肉に対するイメージ”も異なってきます。関西で「肉」といえば牛。ホルモンひとつとっても、関東では豚のホルモン、関西では牛のホルモンを指すといった違いもあるのです。仕入れ時には、思い違いや発注ミスなどがないようにしたいですね。



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