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2019-09-04 10:17:14.0

軽減税率が10月1日にスタート。レジや料理価格…飲食店への影響と対応策

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2019年10月1日に消費税が10%に増税され、飲食業界にも大きな影響を与える軽減税率制度がいよいよスタートします。間近に迫る軽減税率の導入に向けて、スタッフへの周知やレジの変更、マニュアル作成など、準備もれがないかどうか、お店の最終確認はできていますか。今回は、軽減税率が適用される状況や仕入れへの影響、飲食店で必要な準備について解説します。

軽減税率とは? 飲食店にどのような影響があるのか

軽減税率についておさらいしておきましょう。軽減税率とは、消費税が10%になっても生活に不可欠な「外食・酒類を除く飲食料品」と「発行が週に2回以上(定期購読)の新聞」のみ、税率を8%のままにする制度です。消費税が10%に上がることが原因で消費が落ち込むのを防ぐために導入されます。

■持ち帰りは税率8%、店内での飲食は税率10%に

飲食店の場合「飲食料品の譲渡」には軽減税率が適用され、「テーブル・椅子・カウンターなどの設備がある場所で飲食料品を飲食させる」場合は「食事の提供」に該当するため、軽減税率が適用されません。

つまり、「飲食料品の譲渡」にあたるテイクアウトは消費税が8%で、「食事の提供」にあたるイートイン(店内で食事する場合)は消費税が10%になるのです。食べる場所により税率が変わることを把握していないお客様がたくさん来店する可能性があるため、お客様への説明に時間を割く必要性が生じてくるでしょう。

■軽減税率に対して、飲食店の大手企業の対応は?

外食企業のうち約4割は、軽減税率の開始後、イートインとテイクアウトで本体価格を別にすることで、税込み料金をどちらも同じにする方針です。本体価格を同一にしてイートインとテイクアウトで税込み価格を別にする企業も多く、対応が大きく分かれています。

松屋フーズホールディングスとサイゼリヤ、日本ケンタッキー・フライド・チキンは、イートインとテイクアウトの税込み価格を同一に。吉野家ホールディングスとモスフードサービス、スターバックスコーヒージャパンは、メニュー表に税抜き価格を表記し、税込み価格をイートインとテイクアウトで別にすると発表しています。

仕入れ食材にも軽減税率が適応される!?

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仕入れの食材にも消費税8%と10%が混在し、計算が複雑になります。「提供する食事の原材料」である魚・肉・野菜・米・調味料など多くの食材は消費税が8%のままですが、酒類などは消費税が10%になるからです。

ノンアルコール飲料は、お酒と同じように提供する飲み物ながら厳密にはお酒ではないため、消費税が8%のまま。ほかにも「みりん風調味料はアルコールをほとんど含まないため消費税8%で、本みりんは約14%のアルコールが含まるため消費税10%になる」など、どちらの税率なのかわかりにくい食材もあるため、増税前にリサーチしておくとよいでしょう。

仕入れ食材の大半が消費税8%に据え置かれても、売上に対する消費税の納税額は10%に上がり、差額が生じます。税負担が増えるため、メニューの価格が適切か、いま一度検討しておくと良いかもしれません。

レジは複雑税率の会計処理ができるものに切り替えを

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レジは会計だけできるシンプルなものを使っているお店もあるかもしれませんが、軽減税率の導入後もスムーズに会計を済ませられるよう、商品ごとに税率を設定できるPOSシステムに切り替えることを検討してもよいでしょう。

■レシート印字が複雑税率の会計に対応するか要チェック

軽減税率の実施後は、「8%課税の対象品目」と「10%課税の対象品目」を区別してレシート(領収書)に印字する必要があります。「8%を課税した商品の合計額」と「10%を課税した商品の合計額」もレシートに表記しなければなりません。

イートインの商品とテイクアウトの商品を同じ会計で処理するケースもあるかもしれないので、使用中のレジやレシートプリンターが、複雑な税率の会計処理に対応するかどうか、再確認しておきましょう。

■レジの買い替えには補助金を申請できる

レジの買い替えが必要になる場合、軽減税率対策補助金を申請すれば、レジ1台につき最大20万円が支給されます(レジの個数や対象機器の規定あり。月額サービス料金などランニングコストは対象外)。

なお、2016年3月29日以降に購入・契約開始したレジが補助の対象となります。申請の受付期限は2019年12月16日でまだ余裕があるものの、「2019年9月30日までにレジの契約が完了していること」「テイクアウトやデリバリー商品を販売している実績などの事実確認をすること」という条件があります。また、補助金の申請はレジの設置・支払い後に行うため、買い替える場合はお早めに。

■ポイント還元制度も要チェック

また、軽減税率の開始直後から2020年6月までの期間限定で、ポイント還元制度が実施される予定。飲食店では、キャッシュレス決済をすると支払額の最大5%分が還元されます。ポイント還元の対象店舗となるためには、すでにキャッシュレス決済を採用しているお店でも、決済事業者を通し改めて加盟店登録しなければならないため、いま一度ご確認ください。

軽減税率に関する対応をスタッフへ周知、マニュアル化しよう

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10月1日以降は、軽減税率についてまだよく理解していないお客様が大勢来店することが予想されます。軽減税率についてスタッフ全員に周知し、会計や税率などについてお客様に聞かれた時の対応をマニュアル化しておくとスムーズに接客できるでしょう。

イートインとテイクアウトでは税率が異なるため、お客様が店内で食べるのか持ち帰りするのかを明確に確認する必要があることも、スタッフ一人ひとりに浸透させなければなりません。料理の提供前に会計をする店舗では「オーダー時は店内で食べると答えたお客様が、会計後にテイクアウトに変更したいと言った場合」などの対応をどうするかも、事前にはっきり決めておくと現場スタッフが対応に困ることはないでしょう。

また、料理を食べる状況によって税率が違うことを、お客様と直に接するスタッフがきちんと説明できるようにしておくことも重要なので、軽減税率の対象となるケース、対象とならないケースをそれぞれご紹介します。

■軽減税率が適用されるケース

・飲食料品を持ち帰りのための容器に入れたり包装したりして販売する場合(テイクアウト)

・テーブル・椅子・カウンターなどがない飲食店

・飲食店のレジ前にあるお菓子を販売する場合

・公園のベンチの近くで販売した食品を、お客様がベンチで食べる時(ベンチなど設備の使用許可をとっておらず、自店のお客様だけでなく他の方も自由にベンチを使用できる場合)

・出前や宅配ピザなど(お客様の指定した場所まで飲食料品を届けるだけなので「飲食料品の譲渡」に該当するため)

・インターネットなどの通信販売

■軽減税率が適用されない場合

・セルフサービスの飲食店(テーブル・椅子・カウンターなどの設備があるため)

・テーブル・椅子・カウンターなどの設備がある屋台(自ら設備を設置していないものの、設備設置者から使用許可などを受けている場合も含む)

・カウンターのみ設置した立食形式の飲食店

・ショッピングセンターのフードコート(飲食料品を提供する店舗と設備設置者との間に「設備をお客様に利用させる」という合意がある場合)

・相手の指定した場所で役務を伴う飲食料品を提供する、出張料理やケータリング(お客様の指定場所で「飲食料品の盛り付けを行う」「飲食料品が入っている器を配膳する」「飲食料品を提供し取り分け用の食器などを配置する」場合)

・お客様が残した料理を折り詰めにして持ち帰らせる場合(店内で飲食するために提供された料理のため、持ち帰ることになった残りの料理も「食事の提供」に該当する)

・缶飲料やペットボトル飲料をコップに入れずそのまま提供している場合(店内で飲食させるものとして提供しているため「食事の提供」に該当する)

軽減税率のスタート前に準備や対策の最終チェックを!

仕入れの見直しやレジの仕様の確認、料理の金額設定、メニュー表の金額表記を税別・税込みどちらにするのかなど、軽減税率の開始前にもう一度よく見直してください。10月になって店舗スタッフが慌てたりお客様が混乱したりすることがないよう、軽減税率に対する現場スタッフ向けのマニュアルも最終確認をしておきましょう。

法改正による業務への影響を最小限に抑えつつ売上や利益を伸ばせるかは、店長や経営者の手腕にかかっています。10%への増税後は、税率が8%に据え置かれるテイクアウトやデリバリーの需要が増えることも見込まれるため、現在イートインのみの店舗では、この機会に持ち帰りや出前サービスなどを検討してはいかがでしょうか。

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