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2019-09-24 16:22:57.0

一人前の板前になれば年収1000万円も夢じゃない!? 板前修行の5つのステップ

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ユネスコ無形文化遺産に登録され、世界中の人から愛されている和食。旬の食材を巧みに使い、芸術作品のような料理を生み出す一流の板前に、近年ますます注目が集まっています。今回は活躍の場が広がる板前の仕事に注目し、板前の年収や資格、修行の内容などを解説。板前を目指している人や、板前として働いている人はぜひ参考にしてください。

そもそも板前の仕事とは?

もともと「板前」の「いた」は「まな板」の「いた」を指し、まな板の前で調理する人のことを板前と呼ぶようになりました。「板前」は主に日本料理や料亭で使われる言葉で、西洋料理でいう「シェフ」にあたります。

日本料理の料理人には煮方・椀方・焼き場・揚げ場などのさまざまな階級があります。中でも、まな板の前に立つ「板前」は、もともと階級のトップを指す言葉でしたが、今では和食の料理人全体を指す言葉として使われています。

板前といえば、旬の食材を使って日本料理を調理し、見た目にも美しい料理をお客様に提供します。料理を作る以外にも、店全体がスムーズに動くように統率を取る、若手を教育するなど仕事の幅は多岐に渡ります。なお、板前と聞くと寿司職人を連想する人も多いようですが、板前だからといって、全員が寿司を握れるわけではありません。

■板前の年収はどれくらい?

平均年収.jp 」によれば、板前の平均年収は約340万円とされます。金額的には、調理師の平均年収である約336万円とほとんど変わりありません(調理師の平均年収 出典:厚生労働省/平成28年度賃金構造基本統計調査より)。

しかし、修行を積んで、日本料理店や料亭などで板場を仕切る「花板」と呼ばれる料理長になれば、平均収入も450~600万円と大幅に増えます。有名店の花板になれば、年収1000万円以上も夢ではないと言われています。

■板前になるために必要な資格は?

板前になるために必要な資格は特にありません。調理師免許は必要ないの?と思われるかもしれませんが、実は調理師免許も必須ではありません。ただし、調理師免許を取得していれば、板前としての最低限の知識や技術を持っていることをアピールでき、就職には有利に働きます。就業後に「技能手当」として月に1〜2万円の手当が付く場合もあります。

なお、和食の中でも猛毒を持つ「ふぐ」を調理するには、ふぐ調理師の免許が必要です。ふぐ調理師になるには、調理師免許を持っていなければ試験を受けられない都道府県もあります。就職する前に調理師免許を持っていない場合は、働きながらでもよいので、資格を取得しておいた方が良いでしょう。

板前に求める資格や条件などは、店によって異なります。板前になるための修行先について知るためにも、飲食専門の求人情報を参考にしてみるのも良いでしょう。

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一人前の板前になるには5つステップが必要

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料亭や日本料理店に就職したからといって、すぐに板前にはなれません。下積みから少しずつ修行をして経験を重ね、技術を身につける必要があります。一人前の板前になるためには、大きく分けて5つのステップを経験します。

1)追い回し、下積み

板前修業の最初は、皿や鍋、調理道具などの洗い物、器の用意や野菜の下処理など、調理の下準備となるいわゆる「仕込み」が中心です。全体的な仕事の準備に関わりながら、店の動きや料理を提供するための段取りなど、先輩の姿を見て仕事を学んでいきます。

お客様に料理を提供することはありませんが、まかない作りを担当することが多くあり、まかない作りでも技術を鍛え上げていきます。日本料理の世界では「下積み3年」と言われますが、現在は1〜2年で次のステップに進むことが多いようです。

2)八寸場、盛り付け

次のステップでは、煮方さんや焼き場さんが作った料理を、先付けや八寸として器に盛り付ける作業を担当します。直接調理はしませんが、お客様に提供する料理にふれることができるようになります。見た目にも美しい盛り付けをすることで、日本料理の基礎を学ぶことができます。

3)焼き場、揚げ場

焼き台や炭火を使った焼き物、てんぷらなどの揚げ物など、加熱調理を担当します。加熱する料理は火の通り具合で味わいが大きく変わるため、スムーズな調理の段取りやベストな火加減といった、技術とスピードが求められます。調理を担当する焼き場、揚げ場になれば、下積みは卒業したと言えるでしょう。

4)蒸し場、煮方

店の味の土台でもある出汁作りや、蒸し物、煮物、お吸い物の味を決めるなど、店全体の味を決める重要なポジションです。蒸し場、煮方では、食材の入荷状況や献立によって頻繁に内容が変わるため、急な変更にも対応できる柔軟性と、日本料理への深い理解が必要となります。また、店全体を見る立場で、調理場の業務進行や下積みの若手育成など、調理以外の仕事も担当するようになります。

5)板場

まな板の前に立って包丁を使って刺身などをさばいたりする板場は、和食料理の花形と言える重要なポジションです。刺身を切るというシンプルな仕事だからこそ、実力の差がハッキリとわかり、職人の技量が試されます。板場とカウンターが一緒になっている店では、調理をするだけでなく、お客様を楽しませる会話や柔軟なサービスなどコミュニケーション能力も必要になります。

5つのステップを経て、いよいよ板前に。板前として経験を積んだのちに、板場全体を取り仕切るトップを目指せます。板前のトップは「板長(いたちょう)」「立板(たていた)」「花板(はないた)」など複数の呼び方があります。

いち早く板前になるためには?

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一人前の板前になるためには、かつては10年以上も修行が必要だと言われていました。働き方の変わった現在でも、一通りの仕事ができるようになるまでには、最低でも2~3年は必要になります。

板前を目指している人や、今修行をしている人にとっては、自分の目標に合った店で修行に励むことも、早く一人前になる近道になります。例えば、腕のいい板前のいる店や自分が憧れを持った店、働きやすい環境の店ならば、働くモチベーションが上がりますし、知識や技術も早く吸収することができます。

就職や転職で修行先を決めるときには、自分がどのような環境で働きたいかを十分に考え、自分に合った環境を選ぶことが大切になります。

修行ができる店は、料亭や会席料理店以外にもさまざま

板前の修業先で最初に思い浮かべるのは、割烹料亭や会席料理店といった、伝統的な日本料理を提供する店ではないでしょうか? 最近では本格的な和食を楽しめる店も多くなり、和食レストランやホテルのような場所でも、板前としての経験を積むことができます。

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