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パスタ界のW杯で弓削啓太シェフが世界一に。2度目の挑戦で栄冠に輝く

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「パスタ・ワールド・チャンピオンシップ2019」で見事、世界一に輝いた『SALONE 2007』の弓削啓太シェフ

10月10日から11日にかけてフランス・パリで開催された「パスタ・ワールド・チャンピオンシップ2019」で、『SALONE 2007』(神奈川県横浜市)の料理長・弓削啓太(ゆげけいた/33歳)氏が世界1位に輝いた。日本人シェフが世界1位になるのは、第1回大会の山田剛嗣氏に次いで2人目。日本のパスタのレベルの高さを証明した。

2度目の挑戦で得た世界チャンピオンの座

「パスタ・ワールド・チャンピオンシップ」は、今年で開催8回目を迎える“イタリアンパスタ”の料理競技会だ。世界14か国の厳しい代表選考会を勝ち抜いた若手シェフが出場し、トップレベルの審査員、フーディーズ、業界のプロフェッショナルなど250人以上のゲストの前で、技、味、プレゼンテーションの腕を競い合うため、「パスタ料理界のワールドカップ」と位置づけられている。

そんな同大会に弓削氏が初出場したのは、2年前の2017年。初出場のプレッシャーに打ち勝ち、準優勝に輝いた。

当時の「Foodist Media」のインタビューに弓削氏は、「ホッとしました。普段、店でこういうパスタを出しているというのを、時間内にどれだけ伝えられるかという勝負でした。そういう意味で店の料理が評価されたと感じるので嬉しいです」と穏やかな表情を見せた。一方で、「どんどん若い料理人が入社してきますが、レストランがチームとしてやっている以上、彼らを育てないといけませんし、また、指導できる料理人になりたいと思っています。自分が常に憧れられる存在でないと、下はついてきません。だから自分も勉強をしないといけないと思っています。指導しつつ、上からも下からも学ぶ姿勢を持ち続けたいです」と、あくなき向上心も見せていた。

2度目の挑戦で遂に「Barilla Master of Pasta」の称号を勝ち取れたのは、弓削氏が謙虚さと芯の強さの持ち主であるためだろう。

決勝で披露したメニュー

日本の食文化を取り入れゲストを魅了

今大会で弓削氏は3皿を披露した。初戦では「酒、山椒、ゆず」など日本のエッセンスを積極的に使用し「Penne Gorgonzola Profumo Giapponese(ペンネ・ゴルゴンゾーラ・プロフーモ・ジャッポネーゼ)」を仕上げ、開催国フランス代表選手を制した。8名が競った2回戦ではウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態にあること)のコンセプトが求められた。「Spaghetti Integrali In Salsa(スパゲッティ・インテグラリ・イン・サルサ 」を披露し、ファイナリストに残った。

ファイナルステージには4名が進出。弓削氏は、初戦のレシピを活かすとともに、この日のために準備した、出身県である佐賀の有田焼・李荘窯の器を使用するという秘策で勝負。のりや日本酒にも、佐賀県産の食材を取り入れた。こうした日本人シェフならではの独自性が高く評価され見事、世界チャンピオンに輝いた。

授賞式では、「新“The Barilla Master of Pasta”に選ばれたことをとても誇りに思います。この数年で培った自分の全ての知識と技術を次の世代に継承していきたいです」と笑顔を見せた。今後のさらなる活躍が期待される。

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岩﨑美帆

ライター: 岩﨑美帆

1982年生まれ。NPO活動に没頭した 大学時代、塾講師、広告営業を経て、フリーライターに。食・健康・医療など生と死を結ぶ一本線上にある分野に強い関心がある。紙媒体、Web媒体、書籍原稿などの執筆の他、さまざまな媒体の企画・構成の実績がある。好きな言葉は「Chase the Chance!」