災害や天候不順による食材の高騰が続く時、飲食店がとるべき対策は？

災害や天候の不順などが原因となり、野菜や魚といった食材の高騰が続いています。記録的な不漁が報じられているサンマも値上がりが深刻化。さらに、台風19号により各地の農作物だけではなく、卸売市場や漁港の設備も被害を受け、出荷などの作業に大きな影響を及ぼしています。そこで今回は、こうしたさまざまな理由により食材の供給が不安定になり価格が高騰した際、飲食店ではどのような対策をとるべきなのかをご紹介します。

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食材の高騰は、野菜の不作や魚の不漁などが原因で、需要に対して供給が足りなくなることで生じます。野菜が不作となる主な理由は、日照不足・長雨・記録的な猛暑など天候の不順や、台風などによる突発的な災害です。魚の不漁は、海水温の上昇だけでなく、日本以外の漁船による捕獲が急増しているためという見解もあります。牛海綿状脳症（BSE）などの家畜伝染病が発生すれば、食肉の仕入れにも問題が生じるでしょう。

日照時間の影響を受けやすい農作物は、葉物野菜や夏野菜など土の上で育つ作物です。2019年の夏は梅雨が長引いて日照時間が少なかったため、キュウリやナス、ゴーヤをはじめとする夏野菜が軒並み不作に。例年より2～3倍近い価格で販売されたこともありました。

秋以降も、長雨による日照不足や相次ぐ台風の接近・上陸などにより、旬野菜の価格が全国各地で高騰中。さらに、豪雨により甚大な被害をもたらした台風19号は、さまざまな地域の農作物や卸売市場、漁港にも多大な影響を及ぼしました。

また今秋は旬のサンマの漁獲量が例年の7分の1にまで落ち込んでいます。そのため市場の取引価格も昨年の倍以上になり、多くの飲食店や小売店が仕入れに苦労しているような状況です。気象庁が発表した11月からの3ヶ月予報によると、東北地方や北海道以外では暖冬傾向になる見通しとのこと。冬以降もまだまだ、食材の高騰には悩まされそうな気配です。

今秋のサンマにかんしては、仕入れが可能なときだけメニューに取り入れる、メニューの提供時期を遅らせるなど、大手外食チェーン店でもさまざまな対応を行っています。不漁の魚や不作の野菜などに代わり、水揚げ量の多い魚や天候の影響を受けにくい野菜を使ったメニューを増やしていくのも、有効な対策です。天候に左右されにくい作物は、根菜や豆苗、もやしなど。野菜の缶詰めや冷凍野菜なども安定的に供給されやすい野菜のひとつです。

さらに、味は変わらずとも安く仕入れられる規格外の食材を多く使う、なるべく原価率の低いメニューを開発するなども、良い手法のひとつ。干しきのこ類や切り干し大根などの乾物食品をはじめ、冷凍することで長期間保存できる食材は価格が安定している時に多めに仕入れ、高騰した食材の代わりに使用できるようストックしておくのもおすすめです。そういった側面からも、定期的な棚卸の作業は必須。また急な災害の発生などを考慮し、仕入れ業者や配送先はひとつの地域に限定せず、日頃からさまざまな地域の業者と取り引きしておくことも重要です。

食材が値上がりした際は、長期保存可能なストック食材を活用しつつ、規格外の野菜を適宜仕入れるなど、柔軟な発想で対策をとることがポイント。また、高騰中の食材をストックから提供することができれば、通年以上に大きな売り上げを得られるかもしれません。気候変動の加速により、今後も食材の価格が随時変化していくことが予想されます。いつでも臨機応変な仕入れやメニュー提供ができるよう、日頃から対策を練っておくことが大切です。


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