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食品ロス削減推進法が10月から施行。外食各社の取り組みに注目が集まる

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画像素材:PIXTA

10月1日、料理の食べ残しや売れ残りなど、まだ食べられるのに廃棄する「食品ロス」の削減を目指す「食品ロス削減推進法(食品ロスの削減の推進に関する法律案)」が施行された。政府は今年度中に基本方針を策定する予定で、施策への協力が求められている企業側も積極的な姿勢を見せている。

外食産業では年間133トンの食品ロス

農林水産省によると、日本国内の食品ロスは年間643万トン(2016年度)。そのうち約半数の352万トンは事業者から出ており、食品製造業が137万トン、外食産業が133万トン、食品小売業が66万トン、食品卸売業が16万トン。中央環境審議会の専門部会は、事業者から出る食品ロスを2030年度までに、2割超削減の273万トンに抑えるとの基本方針を取りまとめた。

外食各社の取り組みは?

外食業界では食べ残しや廃棄を減らす取り組みが進んでいる。

■モスバーガー
株式会社モスフードサービスが展開するハンバーガーチェーン『モスバーガー』は、食材を必要とする家庭や施設へと橋渡しする「フードバンク」に対し、品質に問題がないが賞味期限が短いなどの理由で廃棄せざるを得ない未使用の食材を無料で提供している。

■塚田農場
株式会社エー・ピーカンパニーが運営する地鶏居酒屋チェーン『塚田農場』では、捨てられてしまうことが多いエノキの「石づき」部分を有効活用。石づきの上に鶏つくねと卵黄をのせ、ステーキのように焼いて提供している。秋のおすすめメニューとして期間限定で販売されており、人気メニューのひとつだ。

画像素材:PIXTA

『ワタミ』が食品ロス50%削減を明言

全国で外食チェーンを展開するワタミ株式会社は、全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会、イオン株式会社、株式会社セブン&アイ・フードシステムズとともに「食品ロス削減の推進に関する共同宣言」を発表。客と一緒に食べ残し削減を目指す活動「おいしい ワタミ 食べきり」を推進するとした。具体的な施策は、以下のようになっている。

■食べきれない料理の持ち帰りを推奨
食べきれない場合には、専用パックを提供して持ち帰りを推奨する。以前から実施していたが、11月中旬から『和民』『坐・和民』で専用パックをバイオマスプラスチック容器に変更。プラスチックごみを削減することで環境に配慮する狙いもあるという。順次、ほかの業態でも導入していく予定だ。

■「3010(さんまるいちまる)運動」の推進
「3010運動」とは、宴会や会食などで「始めの30分」と「終わりの10分」は自分の席で料理を楽しむことで食べ残しを減らすというもの。販促物による告知を強化することで認知度を高め、まずは主力の居酒屋業態である『和民』『坐・和民』『ミライザカ』『鳥メロ』を中心に推進。その後、各業態に広げていくという。

ワタミは環境への取り組みが評価され、2010年に環境省より「エコ・ファースト企業」の認定を受けた。また、2030年までに、食品ロスを50%削減することも明言。積極的な活動は、多くの外食企業に刺激を与えている。

食品ロスは外食産業全体の問題だ。大手の取り組みを参考に、できることから始めてみてはいかがだろうか。

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上條真由美

ライター: 上條真由美

長野県安曇野市出身。ファッション誌・テレビ情報誌の編集者、求人ライターを経て独立。インタビューしたり執筆したり、平日の昼間にゴロゴロしたりしている。肉食・ビール党・猫背。カフェと落語が好き。