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本格パスタのファストフード化に挑む『PULS』。計算されたブランド力で多店舗化目指す

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株式会社ESRホールディングス代表取締役 田村優弥さん

2018年、恵比寿に一風変わったファストフード店がオープンした。有名シェフが手掛けた本格パスタが手軽に食べられる『PULS』だ。ファストフードと言えばハンバーガーなどのサッと作れて手頃に提供できる商品の印象があるが、本格パスタをなぜファストフード形式で提供し始めたのだろうか? 同店を経営する株式会社ESRホールディングス代表取締役の田村優弥さんに、オープンまでの経緯やコンセプト、今後の展望を伺った。

絶品パスタを3分で提供。新感覚のファストフード

『PULS』では、注文して3~5分で食べられる本格的なパスタを提供している。10種類のパスタと8種類のソースから自分の好きなものを組み合わせて、カスタマイズすることも可能だ。

パスタはショートパスタやロングパスタ、グルテンフリーのものもあったりと種類豊富。また、味の種類も「香港スタイルのアラビアータ」や「三種のニンニクのペペロンチーノ」「ノンシュガーの甘~いボロネーゼ」など、見て楽しい名前が並ぶ。

「ノンシュガーの甘~いボロネーゼ」とオリジナルブレンドのコーヒー

「パスタはとても著名なシェフにプロデュースしてもらっています。当社の一店舗目である『PESCHERIA(ペスケリア)』は南イタリア料理を主軸にしたしっかりめのレストランになったので、二店舗目となる『PULS』はもう少し気軽なスタイルのお店をやりたいと思い、今の形になりました」

監修を依頼したシェフは、大手パスタメーカー「Barilla(バリラ)」が主催するパスタ料理の世界的な大会「Barilla Pasta World Championship(バリラ・パスタ・ワールドチャンピオンシップ)」で優勝するほどの腕前。まさにパスタのスペシャリスト的存在だ。彼の指導の下、スタッフたちがスピーディに提供できるように工夫を凝らしている。

「パスタは下茹でしたりソースを下ごしらえしたりと、すぐに出せるよう事前の仕込みを行っています。このスタイルで行こうと決めたときから、どうやったら早く、美味しく出せるかを試行錯誤してきました。監修していただいたシェフとも議論を重ね、現在は3~5分で提供できています」

店内での調理はすべて、アルバイトが担当。どんなときも同じ味が作れるよう細かいレシピを用意し、分量通りフライパンに入れて火を通すだけの仕様にしているという。「最近は注文も増えたので、スタッフがひっきりなしに下ごしらえや調理をしてくれています」と田村さん。

カウンターからは調理スタッフの様子もうかがえる

カジュアル路線での出店であれば、トラットリアのような食堂や一般的なカフェのスタイルでも良かっただろう。あえてファストフード形式のカフェを選んだことには、ある理由があった。

「カフェとして、お皿でパスタを出すという話ももちろんありました。ただ、もっと食べるスタイルをお客様にお任せしてもいいんじゃないかと考えたんです。店内で食べても良いし、持ち帰ってその辺の公園で食べても良い。もっと自由に楽しんでもらっても良いのかなと。ファストフードは結果論というか、美味しいパスタを気軽に自由に食べてもらうにはどうしたらいいかを考えたら、このスタイルになったというのが正しいかもしれません」

お客様に食べ方をお任せするという言葉の通り、『PULS』に来店するお客様は利用方法もさまざま。一般的なファストフードと同様、イートインだけでなくテイクアウト、デリバリーも楽しめる。

また、店内の席は、ファストフードらしいサクッと食べられるカウンターから、ゆっくりと過ごせるソファまで自由な客席が並ぶ。電源やWi-Fiを完備した席もあるので、近隣のオフィスワーカーも過ごしやすいスペースとなっている。お客様は近隣住民やオフィスワーカーが一番多いそうだが、家族連れや学生なども来店するとのことで、客層は幅広いといえるだろう。

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竹野愛理

ライター: 竹野愛理

食と文学を愛するライター。飲食店取材、食に関するコラム、書評を執筆のほか、食関連のメディアや書籍にて編集者としても従事。趣味は読書と散歩。本を片手に旅行したり食べ歩きをしたりすることが好き。