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外食業界で活気づく「シェアリング」ビジネス。売上拡大・新規客獲得に役立つサービスも

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画像素材:PIXTA

モノを持つ時代から、モノを共有する時代へ。シェアハウスやシェアオフィス、カーシェア、ライドシェア、洋服やブランド品のシェアなど、世界的に「シェアリング」の動きが拡大している。もちろん、飲食業界においても同様だ。今回は、フードビジネスにおいて日々可能性を広げるシェアリングエコノミーのサービスについて改めて紹介する。

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シェアリングエコノミーとは?

シェアリングエコノミーとは、モノや空間、スキル、時間など目に見えないものも含めたさまざまな資産の共有を仲介するサービスを指す。代表的なサービスとしては、大きく分けて以下の5つが挙げられる。

■空間シェア
自宅の空き部屋を貸し出す民泊、オフィスを共同で利用するシェアオフィスなど

■移動シェア
自動車のカーシェアリング、自動車の配車サービスなど

■スキルシェア
自分のスキルや経験を生かして働くクラウドソーシング、家事代行サービスなど

■モノシェア
洋服やバッグのシェアリング、フリマアプリなど

■お金シェア
個人から資金調達ができるクラウドファンディングなど

写真はイメージ。画像素材:PIXTA

飲食店におけるシェアリングエコノミーとは?

これまで実店舗ありきだった飲食業界において、シェアリングエコノミーはあまり普及していないように思われるかもしれないが、ゴーストレストランなどが話題になっている今、実にさまざまなサービスが誕生している。代表的なサービスとしては、以下の3つが挙げられる。

■アイドルタイムなどを利用した「空間シェア」
“空間シェア”の代表的なサービスともいえる「Spacee(スペイシー)」は、店を閉めている時間やアイドルタイムなどに店舗のスペースを貸し出し、空間の有効活用をするサービスだ。店舗をパーティー会場やレンタルスペースとして登録することで、アプリなどを通じて利用したいユーザーとマッチングができ、営業時間外にも空間が活用できる。

また、複数の店舗がスペースを共有して使うシェアキッチンもトレンドになりつつある。さらに、店の設備はそのままで、ランチとディナーで2つの店が営業時間をシェアする、新しいスタイルも誕生している。出店のための初期費用を抑えられるなどのメリットからも、空間シェアサービスは今後も拡大していきそうだ。

■フードロスの削減にも貢献する「モノシェア」
飲食業界の課題となっているフードロスの削減にも、シェアリングサービスは大いに役立っている。代表的なサービスとしては、店舗で消費しきれそうにない食材を、ユーザーに対して販売する「TABETE(タベテ)」や、余剰食品のある店舗を探してお得に料理を注文することができる「Reduce GO(リデュースゴー)」などが挙げられる。自店舗のフードロスを減らすだけでなく、Webやアプリを介しての新規顧客獲得にも役立てられる。

また、最近注目されているのが、社食シェアリングサービスを行う「green(グリーン)」だ。企業がgreenのサービスを導入することで、近隣の加盟飲食店を「社食」として利用することができるシステムで、企業の福利厚生の一環としても役立っている。

■自店舗で出来ないことをカバーする「スキルシェア」
人材やスキル、時間などをシェアするサービスとして代表的なのが、登録している配達員が、自転車を運転するスキルと個人の時間をシェアし、料理の配達を代行する「デリバリー代行サービス(シェアリングデリバリー)」だろう。代表的なサービスとして挙げられるのが、「Uber Eats(ウーバーイーツ)」だ。世界500以上の都市でサービスが提供され、日本では東京・大阪・名古屋など大都市圏を中心にサービスを展開している。

写真はイメージ。画像素材:PIXTA

シェアリングサービスによるメリットと注意点は?

シェアリングサービスの最大のメリットは、コストが安く抑えられる点だ。空間シェアでは家賃を、スキルシェアでは人件費などを削減でき、難しいとされる固定費のコストダウンも図れる。

一方、デメリットとして挙げられるのが、シェアしているほかの人とのトラブルだ。例えば、シェアキッチンを利用する際は、設備や食材を置くスペースなども限られており、すべてを思い通りにすることは難しい。あくまで、「他人とシェアしている」という点を考慮しながら利用することが大切になる。

今回は便宜的にカテゴリー化して紹介したが、飲食業界におけるシェアリングエコノミーは、場所や料理、アイデア、人手といった資産が複雑に関わり合う形で進化している。これからますます発展していくビジネスモデルとしてうまく取り入れ、店舗の発展につなげてほしい。

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熊本憲一

ライター: 熊本憲一

出版社時代に、グルメガイドやレシピ本などの取材・編集を多数経験。フリーランスとして独立後は、撮影も行う取材ライター、編集者・Webディレクターとして活動中。現在は、企業の広報やPR、コンテンツディレクションを行うほか、自身も飲食店での調理・接客経験あり。