グルメ激戦区の大衆酒場かくあるべし。学芸大学『レインカラー』が描いた戦略とは!?
学芸大学駅西口から延びる商店街を5分ほど歩いた裏路地に、『大衆酒場 レインカラー』はある。間口の広い入口からは、燦然たる灯りと賑わいがこぼれ、静かな通りに活気を生み出している。
店主の手島義朋氏は、2005年に同じく学芸大学で独立一店舗目となる『ワイン食堂 レインカラー』をオープンし、現在も根強い人気を継続している。二店舗目となる『大衆酒場 レインカラー』は、2019年9月にオープンしたばかりだが、早くも月商800万円を超える繁盛店に。
一店舗目の「ワイン食堂」から、二店舗目は「大衆酒場」へとシフトチェンジしながらも好調なスタートダッシュを切ることができた理由は、学芸大学の街に合わせた手島氏の絶妙な戦略の立て方に秘密があった。
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学芸大学の人気イタリアンバルで修行を積んだのち、自然派ワインを看板に独立
独立前は、学芸大学の人気イタリアンバル『Lo SPAZIO(ロ スパッツィオ)』でバリスタをしていた手島氏。ひょんなことから当時客として通っていた古着&バー『レインカラー』を任されることになり、「ワイン食堂」としてリニューアル。独立を果たした。
「『Lo SPAZIO』と看板がかぶらないよう、当時流行し始めていた自然派ワインの店にしようと思ったんです。ただし、バリスタしかやったことがないので料理は完全に独学。“ワインバー”や“トラットリア”と名乗るのに違和感があって、親近感ある“ワイン食堂”を店名に掲げたんです」
手島氏が掲げたコンセプトは客の心をつかみ、7坪14席の店舗を一人で切り盛りしながら、月商250万円という数字をたたき出していた。さらに、建物の建て替えを理由に少し広めの物件に移転してからは、それまで20種類程度だったワインの本数を500種類に増加。スタッフも雇い、料理とサービスのクオリティが向上し、席数は変わらないながら、平均月商を350万円まで伸ばすことに成功する。