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「567(コロナ)をぶっ飛ばせ!」で売上維持。『いづも池袋』が貫いた攻めの姿勢

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店長を務める尾村さん。苦境に立たされていても、あくまで客の満足度を最優先に考える

新型コロナウイルスの影響で、苦境に立たされている外食業界。そんな中、池袋の大衆酒場『いづも 池袋』の567円飲み放題キャンペーン「567(コロナ)をぶっ飛ばせ!」が注目を集めている。新型コロナウイルスによる不況に立ち向かう同店の施策が多くの客に支持された理由はどこにあるのか、店長の尾村猛さんに話を聞いた。

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素早く大胆な対応で、新型コロナウイルス以前の売上まで立て直す

『いづも』は2019年10月にオープン。「うなぎをリーズナブルに楽しめる大衆酒場」がコンセプトだ。様々な居酒屋業態やレストランを経営しているスパイスワークスホールディングスを本部とし、運営は池袋で人気ビストロ『オリエンタル ビストロ アガリコ』などをドミナント展開しているBig Bellyが行う。「567(コロナ)をぶっ飛ばせ!」は、567円で1時間の飲み放題ができる、大胆すぎる試みだが、尾村さんは迷うことなく決行に踏み切ったと言う。

「2月29日までは、普段の営業と変わらない売上だったのですが、3月に入った瞬間、半分ほどに落ちたんです。最初は偶然かと思ったのですが、2日目も同じ状況で、『これはヤバい』と肌で感じました。系列店も同じ有様だったので、3日の営業開始前に全店会議をして、今後の対策を考えたんです」

様々な案が出たが、どれを自店舗の施策にするかは、各店長の判断に委ねられた。その中で、副社長が提案した「567(コロナ)をぶっ飛ばせ!」を選んだのは、尾村さんただ一人だったと言う。

「『不謹慎だ』と言われるかもしれないし、原価が上がることだって考えられます。しかし、売上自体が激減しているこの状況を考えると、そうは言っていられない。集客に繋がるインパクトを与えなければ、店の存続にも関わると思ったんです」

表通りに設置されているイーゼル。単純に新型コロナウイルスをネタにするのではなく「ぶっ飛ばせ!」のフレーズをつけることでポジティブな印象を与えている

尾村氏はすぐさまPOPやイーゼルの制作を開始。SNSでの告知やスタッフへの共有をその日のうちに済ませ、会議翌日の3月4日に「567(コロナ)をぶっ飛ばせ!」を開始。最初の数日間はさほど効果は見られなかったが、この直後、尾村さんの予想を大きく上回る展開が待っていた。

「イーゼルを写真で撮り、Twitterで投稿してくれた方がいたんですが、そのツイートに1万5000件のリツイートと、5万件近い『いいね!』が付き、一気に知れ渡ったんです」

翌日にネットニュースで取り上げられ、11日にはテレビの取材が入り、同日夕方に放映。この日を境に、客足は一気に増加し、一時は連日行列ができるほどの盛況に。客数はコロナ以前と比べても遜色ない程度まで回復。落ち込みかけた売上を、見事に復活させた。

また、リスクヘッジも忘れない。急に客が増えたことによるクラスターの可能性も鑑み、店内の換気やシフトインしているスタッフの健康管理などの対策も実施している。

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高橋健太

ライター: 高橋健太

10数年の飲食業界での経験を経て、物書きとして独立。交通新聞社『散歩の達人』、Webメディア『FOOD STADIUM』などのグルメ記事を中心に活動。インタビュー記事を得意とする。