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コロナ禍でも「居酒屋文化守る」。三軒茶屋『赤鬼』、安心して語らえる酒場へ

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『赤鬼』の店長、坂木愼史さん

厚生労働省による新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」の実践例として、食事の際は「料理に集中、おしゃべりは控えめに」という項目がある。しかし料理を味わうだけでなく、その店でしか過ごせないひとときを楽しむことが外食の醍醐味であるということは、外出自粛の日々の中で多くの人が実感しているのではないだろうか。

三軒茶屋にある銘酒居酒屋『赤鬼』は、お客と従業員の安全に最大限の配慮をしながら、旨い日本酒と語らいの場を提供するために試行錯誤を重ねている。制限された状況であっても、「居酒屋には対話が必要」と話す店長の坂木愼史さんに、コロナ禍でどのように酒場を守り、乗り越えていくかを伺った。

カウンター越しにお酒を注ぐ様子

前向きに店を磨き続けた休業期間

1983年創業の『赤鬼』は、日本酒のビギナーからツウ、外国人観光客まで支持され、常に予約でいっぱいの銘酒居酒屋だ。その状況が一変したのは、東京都が不要不急の外出自粛を呼びかけた3月28日・29日。それ以降は予約のキャンセルが相次ぎ、お客と従業員の安全を考慮して4月8日から休業することを決断した。

実はこのとき、オーナーの滝澤暁さんは姉妹店『健生庵 山愚』のある長野にいた。県をまたいでの移動が難しい状況の中で、店長・坂木さんをはじめとする現場の判断を優先させるという意識のもと、『赤鬼』のコロナとの闘いが始まった。

休業期間もオーナーは従業員に給料を全額支払いながら、雇用調整助成金の申請に奔走。一方、現場では従業員全員が一切の外食を控えるなどそれぞれの健康に注意しながら、店内の改装に取り組むことにした。そのときの状況を坂木さんは語る(以下、コメントはすべて坂木さん)。

「10年以上、年末年始以外は休まず営業してきました。だから、休業は長年できていなかった店内のメンテナンスをするチャンスだと前向きにとらえたんです。使い込んで真っ黒になったカウンターを紙ヤスリで磨いて木目を出し、座席に畳を張り、床はワックスをかけてピカピカに。営業再開したときにお客様に喜んでもらいたいという思いで、全て手作業で行いました」

休業中に改装した店内

新たな装いになったカウンターには、コロナ対策としてビニールシートを取り付けることはなかった。カウンター越しにお客へお酒や料理の説明をしたり、何気ない会話をしたり。そんな居酒屋ならではのコミュニケーションを守りたいと考えたからだ。

また、従業員は10人いるが、全員で改装作業を行うことにより密になるのを防ぐために、休業中の出勤は1日3人までにとどめた。その代わり、全員が顔を合わせる機会としてオンライン飲み会を開催してコミュニケーションを取ったという。

日本酒をテイクアウトで提供する際の小瓶

お客と日本酒業界のために。感謝を伝えるテイクアウト

『赤鬼』は期限付きの酒類販売免許を所得し、5月20日から31日までテイクアウト営業を実施した。売上のためではなく、『赤鬼』が厳選した日本酒を求めるお客や、普段からお世話になっている酒屋、酒蔵への感謝を伝えるのが目的だった。日本酒一合単位の量り売りでは約20種類をほぼ原価で、約15種類のおつまみが入った「特撰酒肴詰め合わせ」は原価800円に対し1,000円で販売。お得な内容に、反響も大きかったという。

飲食店だけでなく、酒屋や酒蔵にとっても新型コロナウイルスによる打撃は大きい。

「2月は新酒、3月から4月は春酒が出回る時期。そのタイミングでコロナが猛威を振るい緊急事態宣言が発令され、居酒屋での日本酒の消費量が減ってしまったため、新酒や春酒、夏酒などの日本酒が大量に余っているのだと酒屋さんからお伺いしています。だからこそ、テイクアウト営業をすることで少しでもお酒を仕入れて回したいという思いがありました」

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松尾友喜

About 松尾友喜

和歌山の地元情報誌の編集部でパンの特集や連載、商品開発を手掛けるなど、“パン好き編集者”として活動。2018年に独立し、フリーランスのライター・編集者として、パンをはじめ食関連、旅と街歩き、インタビューなど幅広い分野で取材・執筆している。