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新宿三丁目の老舗『池林房』、コロナ禍は長期化を覚悟も「必ず客は戻ってくる」

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新宿三丁目の老舗居酒屋『池林房』のオーナー・太田篤哉氏

近年、オシャレなカフェや開放的なバル、気軽にお酒を飲めるBARなどが所狭しと軒を連ね、多くの人で賑わう新宿三丁目エリア。2013年に東京メトロ副都心線と東急東横線が相互直通運転を始めてからは、以前にも増してふらりと立ち寄る若者たちの姿が目立つようになった。

そんな人気エリアも新型コロナの影響をもろに受け、4月の緊急事態宣言以降は人通りがぱたりと消えた。

「現実にこの街からクラスターが出てしまったのだから仕方ないけど、小池都知事が“夜の街”と連呼して新宿をターゲットにし続けたために、長年通ってくれていた常連のお客さんさえもさっぱり来なくなってしまいました。渋谷だって六本木だって銀座だって、夜の街なのに……」

開口一番、こう恨み節を漏らすのは、42年前から続く老舗居酒屋『池林房(ちりんぼう)』ほか、周辺に構える『陶玄房(とうげんぼう)』『浪曼房(ろまんぼう)』『犀門(さいもん)』の計4店を切り盛りするオーナー、太田篤哉氏(75歳/株式会社竹馬)だ。

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新宿三丁目「最古の居酒屋」でバイトした華やかな思い出

『池林房』は古くから作家の椎名誠氏をはじめ、俳優や文化人、マスコミ関係者などが夜な夜な通い詰める名店として知られ、太田氏は単なる飲食店オーナーの顔だけでなく、新宿三丁目エリアの“頼れる主”として多くの人に親しまれてきた。

「僕は19歳の時に北海道から上京してきて、新宿三丁目で最古といわれる居酒屋『どん底』で4年間アルバイトしました。そこは黒澤明さんや三島由紀夫さん、青島幸男さんなど錚々たる有名人が飲みにくる店で、とにかく毎日が華やかでした。この辺りは寄席の『新宿末広亭』が街のランドマークで、『コマ劇場』や『紀伊國屋ホール』から流れてくる人もいたので、自然と芸能関係のお客さんも多かったんです。その後、雇われマスターとして働いたBARは花園神社に程近く、境内に紅テントを建てて芝居を上演していた唐十郎さん、根津甚八さんや小林薫さんなどもよく飲みに来ていましたね」(太田氏)

店内は屋台をイメージ。テーブル中央は人が入れる造りになっている

レトロな雰囲気とこだわりメニューで常連客を魅了

風情ある新宿三丁目にすっかり魅了された太田氏が独立して『池林房』を開店させたのが1978年。みんなで楽しくワイワイしてほしいと、「酒池肉林」から店名を取った。当時では珍しいオープンキッチンスタイルにしたのは、「料理人が厨房にこもるのではなく、お客さんの目の前で楽しく会話をしながら料理を出すのが理想だった」からだという。

また、店内のテーブル席は、お客さんが気軽に立ち寄れるようにと屋台の形をしており、実際に車輪もついている。中央には人が入れる造りになっていて、接客スタッフだけでなく、お客さんも自由に中央に立って、友人に酒をついだり客同士のコミュニケーションが深められたりできるように、との心配りがなされている。

もちろん、酒や料理といったメニューへのこだわりも半端ない。ビールはプレミアム樽生の「白穂乃香」をラインアップに加え、手間のかかるビールサーバーの洗浄や油分をとるジョッキの完璧洗浄を欠かさない。また、ワインは出身地・北海道の国産「おたるワイン」、日本酒も純米酒を基本に数多く取り揃える。

料理は決まったメニューがなく、その日仕入れた旬で新鮮な食材を各店の料理人が手際よく調理していく。冷凍モノや化学調味料は一切使っていない。魚介類は北海道・知床で水揚げされた魚を仕入れているため、東京では滅多に味わえない魚料理が並ぶことも。

そんな創業以来まったく変わらない店のレトロな雰囲気とオーナーの気さくな人柄、なによりもこだわりの絶品料理と酒に“酔いしれる”多くの常連客によって支えられてきた『池林房』。バブル期には系列店を含めて従業員が100人を抱え、年商8億円を突破したこともあったという。

「常連のお客さんの中には、『トクさん、息子が大きくなったから今度連れてきていいかな』といって親子二代で来てくれる人もいますし、創業当時から通ってくれている年配のお客さんはお孫さんまで連れてくることも。本当にありがたいことですし、新宿三丁目で長年やってきてよかったなとつくづく思います。だから、馴染みのお客さんが来ない今の状況はやっぱり寂しいですよね」

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