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飲食店の“密”回避に有効!? 『お食事処 asatte』の「ダイナミックプライシング」導入記

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お話をうかがった車 匡史店長

飲食店のランチといえば、ランチ用のメニューを決まった価格で提供するのが当たり前。しかし、渋谷区千駄ヶ谷にある『お食事処 asatte(アサッテ)』(以下、asatte)では、時間帯によってランチの価格を変えているのだ。スーパーなどではフードロスを防ぐために、時間帯で安く売っているところも多い。『asatte』では売れ残り防止ではなく、コロナ禍での“密”を防ぐために「ダイナミックプライシング」(以下DP)を採用したというのである。

DP(変動料金制、価格変動制)は、需要に応じて商品やサービスの価格を変動させるシステム。あまり馴染みがない言葉だが、旅行業界では昔から常識だった。

旅行シーズンにはお盆や年末年始のようなオンシーズン(繁忙期)とオフシーズン(閑散期)があり、宿泊料金や航空料金などに異なる価格設定を適用してきた。旅行業界以外でもDPを採用する企業が増えつつあるが、飲食業界では極めて珍しい。『asatte』がなぜDPを取り入れたのかを聞く前に、どんな店なのか車 匡史店長に教えてもらおう。

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時間帯により、価格表を取り替えている

「オープンは2016年10月。北参道駅の近くにある、座席数12席の小さな店です。『実家で食事をするような感覚の、毎日1メニューの定食屋を開きたい』と考えたオーナーの意向で、昼も夜も1日1メニューの定食を提供しています」

開業当初は一律料金だった。その日のメニューを毎朝10時にインスタグラム(現在フォロワーは3,100人)で紹介している。北参道駅界隈には飲食店が少ないこともあり、オープン当初から人気店となり、品切れで食事ができない人もいたという。そんな店をコロナが襲った。

『お食事処 asatte』の内観

ピーク時とオフピーク時の価格差が700円あった時期もある

「3月中は営業自粛。4月から5月末までテイクアウトのお弁当だけを販売していました。DPを導入したのは、営業を再開した6月1日からです」

営業を再開する2日前、インスタグラムに「以前とは異なる料金システムにて定食を準備する」旨を告知した。それが、DPだった。なぜDPを導入することにしたのか。インスタグラムにはこう書かれている。

1、お客様を守るために
2、スタッフを守るために
3、店を守るために
4、経営を守るために

この4つを守るために「1日の時間帯によって商品の価格を変える」ことにしたのだ。ランチタイムは11時30分から15時まで。3時間半のランチタイムを5つの時間帯にわけ、価格を変動させることにした。下記が6月1日に公開した価格だ。

11:30~12:00 1,100円
12:00〜13:00 1,500円
13:00〜13:30 1,000円
13:30〜14:00 900円
14:30〜15:00 800円

飲食店の多くが“密”を防ぐために、席数を減らして営業している。しかし、12席しかないこの店でそれをやると経営が崩壊する。利益を出しつつ、コロナ対策としてDPを導入することにしたのだ。

おひつご飯を提供している

飲食店には混み合う時間帯や空いている時間帯がある。その中で混雑する時間帯は高価格に設定することで、来店者をコントロール。反対に、空いている時間帯は従来の価格よりも安く設定することで集客を狙うという試みである。

「お客様の全員がインスタグラムを見ていただいているわけではありません。営業を再開してから数日間は、お客様一人ひとりにDPと料金設定について説明させていただきました。なかには面白いと言ってくれる方もいました」

コロナ前は、一律1,000円で日替り定食を提供していた。DP導入直後は、来店者数がピークとなる12時からの時間帯は1,500円に設定。閉店間際の14時30分からとでは700円の開きがあった。

「差が大きすぎたかもしれません。でも、コロナの影響が大きかった6月は“密”のレストランで食事をしたくないと考えた方が、『1,500円を出す価値があると判断する』のではないかと思っていました。実際1,500円では“密”になりませんでした」

“密”を防ぐという意味では1,500円に設定して成功だった。だが、客が少なければ利益も出ない。「“密”を防ぎつつ、来店客も増やしたい」ことから、現在は下記の価格に改定した。

11:30~12:00 950円
12:00〜12:30 1,050円
12:30〜13:30 1,100円
13:30〜14:00 1,000円
14:00〜14:30 950円
14:30〜15:00 850円

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中島茂信

About 中島茂信

CM制作会社を経てライターに。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』『101本の万年筆』『瞳さんと』『一流シェフの味を10分で作る!男の料理』『自家菜園のあるレストラン』。『笠原将弘のおやつまみ』の企画編集を担当。「dancyu web」や「ヒトサラ」、「macaroni」などで執筆中。