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有名人も通う恵比寿のレトロ喫茶『珈琲家族』。居心地満点の秘密とは?

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『珈琲家族』の店主・田中真由美さんと娘の京子さん

「住みたい街ランキング」の類で軒並み上位に選ばれる恵比寿──。近年、駅周辺にはオシャレな飲食店やカフェも増えたが、そんな中、知る人ぞ知る“隠れ家”的な喫茶店がある。JR恵比寿駅西口から徒歩3分、恵比寿南交差点そばにある『珈琲家族』だ。

古びたピンク色の看板に「コーヒー専科」の文字。雑居ビルの地下1階にあり、急勾配の狭い階段を下りなければ店の様子さえうかがえないため、正直「入りづらい」というのが第一印象だが、一歩店内に足を踏み入れると、そこには温かみのある“くつろぎ空間”が広がっている。

『珈琲家族』の外観

「初めていらっしゃるお客さんの中には、『階段を下りるまで不安だった』とか『この辺りで長年働いているのに、今まで店の存在に気づかなかった』なんて話されるお客さんもいます」

こう笑って出迎えてくれたのは、店主の田中真由美さん。とはいえ、取材に訪れたのは昨年12月中旬の平日午後3時過ぎだったにもかかわらず、店内は満席状態。その後も来店客が途切れない盛況ぶり。田中さんは「今日はたまたま忙しいだけ」と謙遜するが、調理の手が休まることがない。やはり知る人ぞ知る名店だった。

にこやかに出迎えてくれた田中さん

恵比寿という場所柄か、店内には有名人のサインも多数飾られている。お笑いコンビ・バイキングの小峠英二さんや麒麟の田村裕さん、俳優の石井正則さんなど。お笑いトリオ・パンサーの3人はユニークな俳句まで披露している。

「昔は『太陽にほえろ!』の撮影場所が近かったみたいで、石原軍団の皆さんが来店されたこともあります。最近では小峠さんがライブ前のネタづくりでウチをよく利用してくださり、番組でも紹介していただいて……。嬉しいですよね」

店内は午後3時でも満席

伝説の喫茶店『原宿レオン』で本格コーヒーの虜に

『珈琲家族』は田中さんの夫が様々な職業を経た後、昭和50年に創業したのが始まり。念願の喫茶店経営だったという。

「マスター(主人)は学生時代に『原宿レオン(※注)』でアルバイトをしていたこともあり、サイフォンで淹れる本格コーヒーに魅せられ、いつかは自分で喫茶店をやりたいと思っていたみたいです。マスターの父が医師で、商売を始める時は反対していましたが、最終的には応援してくれましたね」
※注/かつて原宿のランドマークともいわれた「セントラルアパート」1階に入っていた伝説の喫茶店

サイフォンで淹れる本格コーヒーが楽しめる

そんなコーヒー通のマスターが厳選した豆、そしてサイフォン式でじっくり抽出するコーヒーは格別の味わいだ。値段も「マイルドブレンド(480円)」、「プレミアムブレンド(550円)」と決して気取らない。また、水出しの「アイスコーヒー(520円)」は一晩寝かせてからドリップで抽出しているため、サッパリと飲める。グラスに入れる氷もわざわざ製氷メーカーから仕入れるこだわりぶり。「マスターがウイスキー好きなので、氷にもうるさいんです」と田中さん。

だが、40年以上にわたって『珈琲家族』を営んできたマスターは、長年の疲労もあり2年ほど前から休養中。今は代わりに娘の京子さんが真由美さんを手伝い、母娘二人三脚で店を切り盛りしている。まさに理想的な家族経営のスタイルだ。

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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