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飲食店の95%がコロナ対策のガイドラインを実践。外食需要の低下を危惧する声も

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画像素材:PIXTA

2度目の緊急事態宣言が発令されるなど、依然として厳しい状況が続く飲食業界。こうしたなか、多くの飲食店が日本フードサービス協会が掲げる「外食業の事業継続のためのガイドライン」に沿った感染症対策を行いながら、営業を続けている。ここでは、飲食店経営者や運営者を対象に行ったアンケートから、感染防止ガイドラインの実施状況やコロナ禍の営業に対する不安の声など、飲食店のリアルな声をお届けする。

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■調査概要
調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:537名
調査期間:2021年1月18日~1月20日
調査方法:インターネット調査
詳しい調査結果はこちら
※本調査にご協力いただいた回答者のうち67.6%が1店舗のみを運営。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は54.4%(首都圏の飲食店の割合は71.6%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測される

95.7%の飲食店がガイドラインに沿った感染症対策を実施

はじめに、日本フードサービス協会が掲げている「外食業の事業継続のためのガイドライン」の実施状況を調査した。回答を見てみると、「十分に対策できている」が36.5%、「ある程度は対策できている」が59.2%と、95.7%の飲食店が「対策できている」と回答。

一方で、「まったく対策できていない」と回答した店舗は0%となっており、ガイドラインに沿った感染症対策が飲食店の中で浸透している様子が明らかとなった。

95.7%の飲食店が「対策できている」と回答

続いて、ガイドラインの項目ごとの実施状況を見ていく。お客が入店する際に実施している項目については、「店舗入口に消毒用アルコールを用意する」が96.5%で最多。続く、「店内が込み合う場合は入店を制限する(73.2%)」、「発熱や咳などがある場合は店内飲食を断る(71.3%)」も7割を超える店舗が実施していることがわかった。

「店舗入口に消毒用アルコールを用意する」が96.5%で最多

客席の配慮や接客時の対応で最も多かったのは、「従業員のマスクまたはフェイスガード着用を徹底する(89.9%)」という回答。次いで、「退店のたびにテーブルやカウンターを消毒する(88.3%)」、「お客様の正面を避けて立ち、間隔を保つ(60.5%)」という回答が続く。

「パーティションの導入」や「テーブル間の確保」は、小スペースの店舗では物理的に取り入れることが難しい場合もあるが、実際には4~5割の店舗で実施されていることが明らかとなった。

最も多かったのは「従業員のマスクまたはフェイスガード着用を徹底する(89.9%)」という回答

従業員の衛生管理については、どの項目も6割以上の実施率となっている。最も多かったのが「こまめな手洗いを徹底する(92.7%)」という回答。続く、「発熱や風邪症状がみられる場合は出勤停止とする(88.5%)」、「感染または濃厚接触が確認された場合、就業を禁止する(86.2%)」についても、8割以上の実施率となっている。

どの項目も6割以上の実施率

店舗の衛生管理についての項目で最多となったのは、「トイレは毎日清掃する(89.4%)」という回答。次いで、「厨房での作業前後は手洗いを徹底する(86.2%)」、「多くの人が触れる物・箇所は定期的に消毒・清拭する(85.5%)」という回答が続く。その他の項目に関しても、7~8割前後の実施率のものが多くなっている。

どの項目も7~8割前後の実施率

飲食店における新型コロナウイルス感染症の発生率は?

続いて、新型コロナウイルス感染症(疑いを含む)の発生状況について聞いた。利用客の中に新型コロナウイルス感染症が発生したかどうかを聞いた質問では、2.8%の飲食店が「ある」と回答。

利用客の中に新型コロナウイルス感染症(疑い含む)が発生した店舗は2.8%

また、従業員については、4.8%の飲食店が「ある」と回答している。

従業員に新型コロナウイルス感染症(疑い含む)が発生した店舗は4.8%

最後に、飲食店を営業するうえで、新型コロナウイルスによるどのような影響に不安を感じるのか尋ねたところ、「先行きの不透明さ」や「今後の需要」など、様々な回答が寄せられた。以下に一部を抜粋して紹介する。

■先行きが見えない状況への不安
・現段階で収束の見えない不安と、飲食業界の今後が見えない不安(大阪府/イタリア料理/1店舗)

・いつまで続くのかわからないので、将来の見通しがたたない(埼玉県/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)

■お客への対応について
・コロナ禍の営業に協力しないお客様への対応(東京都/和食/1店舗)

・自主的に消毒やマスクをしてくれないお客様がまだいることが1番の不安。その方に注意を促す必要が出てくることで、従業員に不安な思いをさせてしまうこと(東京都/その他/1店舗)

■今後の外食需要に対する不安
・緊急事態宣言が解除されてもしばらく客足は戻らないと思う(神奈川県/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)

・アフターコロナの需要低下(大阪府/フランス料理/2店舗)

写真はイメージ。画像素材:PIXTA

■知らずに感染経路になっていないか
・お店を利用した人が感染していないか。感染経路になっていないか。そしてなんと言っても売上減少が死活問題(神奈川県/カフェ/1店舗)

・無症状の可能性もあるので、知らない間にお客様からスタッフ、スタッフからお客様に感染拡大させてしまっていないか不安(大阪/カフェ/1店舗)

■万が一感染した場合のリスク、風評被害
・感染が発生した場合のリスクが1番大きいです。お客様ももちろんですが、従業員あるいは自分自身が感染した場合、営業は完全に停止してしまうので、休日等の過ごし方まで気をつけなければいけないと思っています(神奈川県/イタリア料理/1店舗)

・店で感染者が出た場合、風評被害に遭うのではないかと不安になる(東京都/イタリア料理/1店舗)

飲食店における感染症防止対策の指標の一つである「外食業の事業継続のためのガイドライン」。感染症対策の徹底は、コロナ禍での店選びの基準にもなっている。飲食店経営者は、お客様はもちろん、スタッフにとっても過ごしやすい環境となるよう、改めてガイドラインの内容を確認してはいかがだろうか。

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サトウカオル

ライター: サトウカオル

グルメ、ライフスタイル、ITとさまざまなジャンルの執筆を経験。現在は、ポップカルチャー系のウェブサイトでグルメ関連の記事を執筆中。趣味は、料理とネットサーフィン。ネットで気になった料理を自分流にアレンジして食べるのが最近のマイブーム。