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飲食業界で起きた行政へのアクションを振り返る。署名活動、要望書提出、訴訟etc...

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写真はイメージ。画像素材:PIXTA

2020年から続く、新型コロナウイルスの感染拡大。1年以上経った現在も、東京や大阪など10都道府県に緊急事態宣言が発出、8県にまん延防止等重点措置が適用され、飲食店に対しては休業や営業時間の短縮が要請されている状況だ。

こうした政府や自治体からの度重なる要請に対し、三つ星レストラン『HAJIME』の米田肇氏らが所属する「食文化ルネサンス」など、飲食業界を代表する18団体は6月10日、都内にて緊急記者会見を実施。政府や自治体の政策について提唱を行った。

【注目記事】東京都を提訴したグローバルダイニングに、飲食店オーナーたちは何を思ったか

長引くコロナ禍、社会に声を上げ続ける飲食業界

思えばコロナ禍の飲食業界にはこれまでも、政府や自治体からの要請に対する様々なアクションがあった。これを機に、いくつか振り返ってみたい。

■『HAJIME』米田シェフら、家賃補助などを求めて署名活動(2020年3月)

国内で新型コロナウイルスの感染が拡大しつつあった2020年3月には、三つ星レストラン『HAJIME』の米田肇氏などが発起人となり、内閣総理大臣や自治体に宛てた署名活動を開始。新型コロナウイルスの影響を受ける飲食店への固定費(家賃)や雇用者給与の補助を求めた。

その結果、2週間で12万を超える署名が集まり、最終的にオンラインと紙の署名を合わせて18万を超える人が賛同。その後、雇用調整助成金の拡充と家賃支援給付金の給付が行われることとなり、6月に署名活動は終了となった。

■際コーポレーションが大企業への協力金支給を都に要望(2021年1月)
2021年1月8日、政府は2度目となる緊急事態宣言を4都県に発出し、飲食店への時短営業を要請。東京都は当初、要請に協力した飲食店には協力金を支給するとしていたが、大企業については支給対象外としていた。

これに対し、『紅虎餃子房』など約300店舗(2020年10月末時点)を展開する際コーポレーションは1月13日、協力金の対象に大企業も含めることなどを求める要望書を小池都知事宛てに提出。同月18日、都知事は大企業にも協力金を支給する考えを示した。

写真はイメージ。画像素材:PIXTA

■グローバルダイニングによる「特措法違憲訴訟」(2021年3月)
コロナ禍の要請をめぐる飲食業界の動きのなかでも、ここ最近特に注目されたことと言えば、『権八』や『モンスーンカフェ』など約40店舗を展開するグローバルダイニングが東京都を提訴したという話題だろう。

グローバルダイニングの代表取締役社長である長谷川耕造氏は2021年1月、公式サイトに緊急事態宣言下でも通常営業を行う方針を掲載。3月になり東京都は、時短要請に応じない27店舗に対し時短営業を命令したが、長谷川氏はそのうち26店舗がグローバルダイニングの展開する店舗だったことを明らかにした。

こうした事態にグローバルダイニングは、特措法による時短命令が違法であるとして、3月22日に東京都を提訴。飲食業界内外に一石を投じる形となった。

■「食文化ルネサンス」が科学的根拠に基づく感染対策を求め、署名活動(2021年4月)
2021年4月6日には、先述の「食文化ルネサンス」が飲食店における現在の感染予防対策のあり方に疑問を呈し、内閣総理大臣と農林水産大臣へ宛てた署名活動を開始。科学的根拠に基づく感染対策及び、感染対策をクリアした店舗の通常営業を求めた。6月10時点で、2万6千人を超える賛同が集まっている。

政府や自治体の要請は、飲食関連企業も含め業界全体を大きく揺るがせてきた。政府や自治体には、こうした飲食業界の現場の声を受け止めた上で、要請を出してほしいと願うばかりだ。

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サトウカオル

ライター: サトウカオル

グルメ、ライフスタイル、ITとさまざまなジャンルの執筆を経験。現在は、ポップカルチャー系のウェブサイトでグルメ関連の記事を執筆中。趣味は、料理とネットサーフィン。ネットで気になった料理を自分流にアレンジして食べるのが最近のマイブーム。