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飲食店のデリバリー導入、成功する秘訣は? 人気店『クリスチアノ』の戦略

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デリバリー戦略について話す『クリスチアノ』店主・佐藤幸二氏

新型コロナウイルスの影響の長期化により、売上確保に悩む飲食店が後を絶たない。現状を打破する一手としてデリバリーを検討する店舗も増えているが、他店舗との差別化が難しい、どのデリバリーサービスを選べばいいかわからないなど、悩みを抱えているケースもあるだろう。

デリバリーを上手く収益化するために、飲食店はどのような戦略を立てるべきなのだろうか。東京・渋谷区でデリバリー事業を積極的に行うポルトガル料理店『Cristiano's(クリスチアノ)』を取材した。

『クリスチアノ』の店内。木を基調とした落ち着いた空間

大人世代に人気のポルトガル料理店

佐藤幸二氏が店主を務める『クリスチアノ』は、2010年に「珍しい国の料理をリーズナブルに食べられるお店」をコンセプトにオープンした。店を代表するメニューは「バカリャウ」と呼ばれる干し鱈(たら)を使った料理。バカリャウは熟成感のある白身魚で、干物に似ており日本人の口にも合いやすいという。ほかにも素朴で家庭的な味わいが魅力のポルトガル料理がそろい、店内のゆったりとした雰囲気も相まって大人世代のお客を中心に支持を集めている。

現在はイートインに加え、テイクアウトやデリバリーも実施。デリバリーは、スタッフが行う自社配達と、「Wolt(ウォルト)」でのデリバリーサービスの両方を使い分けて行っている。

自社配達ではイートインと同じポルトガル料理のメニュー、「Wolt」でのデリバリーは「牛サガリ肉炭火焼き弁当」など、ジャンルにとらわれない気軽なお弁当が中心だ。いずれも比較的手頃な価格帯で、近隣住民に高い人気を誇っている。

デリバリーサービス「Wolt(ウォルト)」で商品を配達する様子。新型コロナウイルス感染拡大防止のため商品の手渡しは避け、店頭のカウンターに置いて受け渡しを行う

デリバリーによってこれまでリーチできなかった層の顧客を獲得

同店がデリバリーを始めたのは、最初の緊急事態宣言が出た直後の2020年の4月7日。当初は外部のデリバリーサービスを利用せず、スタッフ自らがチラシを配布し、自社配達のみを行っていた。

「僕らが自社配達を始めたばかりの頃は、まだ“レストランのデリバリーは特別な日に頼むもの”という認識が一般的だったと思います。なので、いつもお店で出している料理をそのまま提供していました」

近隣住民にダイレクトに周知できるチラシ配布が功を奏し、自社配達の事業は順調に成長。常連客だけでなく、新規客からの注文も増加した。

「自社配達を始めてから、これまでお店に来たことがなかった方にもうちの料理を食べてもらえるようになりました。特に、お子さんがいてなかなかレストランでご飯を食べられない方や、“近隣に住んでいて前から気になっていたけれど、いつも満席で入れなかった”という方に喜んでもらえたのはとても良かったですね」

デリバリー商品の調理の様子。炭火でしっかり焼き上げる

もともと近隣が住宅地なうえ競合店が少なく、デリバリーの需要があることは把握していたという佐藤氏。その読みは当たり、多いときでは1日50件以上の注文が入ることも。酒類販売業免許を取得し、料理に合わせた酒類の提供で売上が増やせたことも大きかった。

「ただ、ずっとレストランメニューを中心に配達するのは負担が大きく、自社配達に絞って続けるのは難しいなと。そこで、フードデリバリーサービスを活用して、“お弁当”の配達を始めることにしたんです。商品をパッケージ化することで作業負担が減り、今は無理なく続けられています」

「Wolt」のデリバリーで提供している「鶏モモのオレンジ弁当」(左上/1,030円)、「豚とハマグリのアレンテージョ弁当」(右上/1,190円)、「牛サガリ肉炭火焼き弁当」(右下/1,350円)、エッグタルト「パステル・デ・ナタ」(左下/290円)

配達パートナーのホスピタリティを重視

佐藤氏がデリバリー事業の成功を左右すると考えている要素のひとつが、デリバリーサービス会社の選び方だ。特に、商品を代わりに運んでくれる配達パートナーの質は重要。配達パートナーへの評価は、店舗の評価に直結するからだ。店舗になんら落ち度がなくても、配達した際の対応が悪ければ、お客が店舗にマイナスイメージを持つのは避けられない。

「配達に不備があった際に、お客様から“こんなスタッフに依頼しているんだから、どうせお店もイマイチなんでしょ”と思われてしまうのはすごく残念ですよね。なので、デリバリーサービス会社を選ぶにあたっては、配達パートナーの意識の高さを特に重視しました。そこで気になったのが『Wolt』です。実は、デリバリーサービスを利用する前から『Wolt』のことは知っていました。北欧を中心にビジネスを拡大しているスタートアップ企業ということで、飲食店関係者の間では有名なんです」

「Wolt(ウォルト)」は現在23か国、180以上の都市で展開しているフィンランド発のデリバリーサービス。2020年3月から日本にも進出し、現在19都道府県30都市に展開している。

「僕も自分が住んでいるエリアでサービスが始まった初日に、ユーザーとして利用してみたんです。『Wolt』の紙袋が可愛かったことと、配達パートナーの対応が素晴らしかったことが印象的でした」

対面した配達パートナーがホスピタリティを何より大切にしている姿に魅力を感じ、日本でのヒットを確信。今後への期待や信頼感から、デリバリー事業を拡大するときには迷わず「Wolt」を選んだという。

店頭に置かれた「Wolt」のチラシ。鮮やかな水色が目印となっている

使い方が簡単で配達料も安価な「Wolt」

「Wolt」をどのように使っているのか、佐藤氏にその活用方法を聞いた。

「実際に『Wolt』を使ってみたところ、流れが非常にわかりやすくて助かりました。支給されたタブレットにアプリが入っているのですが、そこに注文が届くと『ピンポーン』と通知音が鳴ります。僕たちはアプリでオーダーを確認して、何分で届けられるかを入力するだけ。あとはいつもと同じように料理を作って箱に詰めて、店に来てくれた配達パートナーに渡し、受け渡し完了ボタンを押して終了です」

その裏側では、「Wolt」の社員が注文から到着まで一連の流れをモニタリングし、お客様の要望やクレームにすべて対応。店舗は安心して商品の準備に集中できる。

また、店舗が支払う手数料は注文があった場合のみ発生する完全成果報酬制で、掲載費用は永久無料。初めて利用する飲食店は、3か月間のお試し期間付きだ。ユーザーが支払う配達料金も食事代+99円からと安価。店舗とユーザーの両者にとってリーズナブルなサービスで、高い評価を得ている。さらに佐藤氏が魅力に感じているのが、配達パートナーの質の高さだという。

「全体的に満足していますが、やはり一番魅力を感じているのは配達パートナーが信頼できること。『Wolt』のサービスを利用して店の評価が下がったことは一度もないので、とてもいい対応をしてくれているんだと思います。これまで『クリスチアノ』によく来てくださっていた常連さんの中には、コロナ禍によってあまり外出ができなくなった方もいます。デリバリーはそういう方々とのつながりを維持して“僕ら頑張ってるよ”と伝える手段でもある。だからこそ、お客様と丁寧に接してくれる『Wolt』のデリバリーには本当に助けられています。サービスにとても満足しているので、デリバリーはWoltに一本化しました」

「Wolt」では配達パートナーに適性テストを実施し、合格者のみが登録可能となる。保温性の高い専用バッグを貸与するなどし、配達パートナーのサービス向上にも力を入れている。大切な商品をきちんと届けてくれるという信頼があれば、店舗側も安心して任せられるだろう。

店内ではカレーペーストや缶詰を販売。こうしたレトルト商品の一部は「Wolt」を利用してデリバリーで購入することも可能だ

今後はアフターコロナも見据えたデリバリー戦略を展開

「Wolt」の導入によって、デリバリー事業の拡大に成功した『クリスチアノ』。今後は、デリバリーで得られたデータを活用することも検討しているという。

「例えば、デリバリーの人気商品や注文の入る時間帯のデータを集計すれば、イートインの営業に活かすこともできますよね。この街の方々を楽しませるのが僕たちの役割。今後はニーズの分析に基づいたサービス提供にも挑戦していきたいです」

ほかにも佐藤氏が検討しているのが、自社で開発したレトルト食品を「Wolt」で配達し、各家庭でローリングストックとして使ってもらうこと。ローリングストックとは、保存期間が長めの食品を定期的に消費し、食べた分だけ買い足していく備蓄方法。常に一定の食品を備蓄でき、いざというときの賞味期限切れを防げるとして、国や自治体も普及を推進している。

「自社で缶詰やカレーなどのレトルト食品を開発していて、すでに『Wolt』でもいくつか販売しています。今後はさらにラインアップを充実させ、お客様が普段から当たり前に自社の製品を食べていただける状態を作りたいです。あとは、配達パートナーが近隣の店舗を行き来し、複数店舗の商品をまとめて配送してくれるサービスがあったら嬉しいですね。ホスピタリティがしっかりしている『Wolt』になら、安心して任せられるので。今後も期待しています」

『クリスチアノ』のように将来を見据えてデリバリー戦略を練ることは、コロナ禍ではもちろんアフターコロナでも有効な手立てになるはずだ。この機会にデリバリー事業を始めたい、拡大したいという飲食店はデリバリーサービスのプラットフォーム選びにもこだわってみてほしい。

■「Wolt(ウォルト)」のサービス概要はこちらから
・創業:2014年、フィンランド・ヘルシンキ
・サービス展開地域:23ヵ国180以上の都市でデリバリー事業を展開
・登録ユーザー数:1,200万以上
・レストラン/小売パートナー数:45,000以上
・従業員数:3,200名以上
・配達パートナー数:90,000名以上
・アプリに対する評価:App Store 4.8/5, Google Play 4.7/5 の高評価
・資金調達総額:8億5,600万ドル(約888億円)


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『クリスチアノ』
住所/東京都渋谷区富ヶ谷1-51-10
電話番号/03-5790-0909
営業時間/18:00~24:00(L.O.23:00)
定休日/無休
席数/38

[提供]Wolt Japan株式会社

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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