9割の飲食店が「客足が減った」と回答。第6波によるまん延防止措置後の状況を調査

2022年3月10日

画像素材:PIXTA
今年に入り、新型コロナウイルスの新規陽性者数が急増したことで、各地にまん延防止等重点措置が適用されている。該当地域の飲食店に対しては、営業時間の短縮や酒類の提供制限等が要請されるなど、飲食業界は引き続き厳しい状況に置かれている。そこで今回は、第6波のまん延防止等重点措置による飲食店への要請についてアンケート調査を実施した。

<本調査について>

■調査概要

調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:457名
調査期間:2022年2月2日~2022年2月3日
調査方法:インターネット調査

■回答者について

本調査にご協力いただいた回答者のうち70%が1店舗のみを運営している。また、回答者のうち東京都内の飲食店の割合は53.6%(首都圏の飲食店の割合は70.5%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測される。

<調査結果について>

自治体の要請に対する対応、最多は「午後9時までの時短営業」で46.3%


まず、アンケート回答者の店舗がまん延防止等重点措置の適用地域(※)にあるかどうか尋ねたところ、97.4%が「はい」と回答。「いいえ」と回答したのは、2.6%だった。
※アンケートを実施した2月2日~2月3日時点でまん延防止等重点措置が適用されていたのは、次の34都道府県。

広島県/山口県/沖縄県/群馬県/埼玉県/千葉県/東京都/神奈川県/新潟県/岐阜県/愛知県/三重県/香川県/長崎県/熊本県/宮崎県/北海道/青森県/山形県/福島県/茨城県/栃木県/石川県/長野県/静岡県/京都府/大阪府/兵庫県/島根県/岡山県/福岡県/佐賀県/大分県/鹿児島県

続いて、まん延防止等重点措置の適用地域にある飲食店に対し、自治体の要請に対する対応状況を聞いたところ、最多は「午後9時までの時短営業」との回答で、46.3%。次いで、「午後8時までの時短営業(33.0%)」、「酒類提供の終日停止(20.9%)」との回答が続いた。何らかの形で要請に応じている飲食店が多い一方で、「要請には応じていない」との回答も3.4%あった。

「客足が減った」と感じている飲食店は9割超


同じく、まん延防止等重点措置の適用地域にある飲食店に対し、まん延防止等重点措置の適用前後における客足の変化について尋ねたところ、最も多かったのは「とても減った(69.2%)」との回答。「やや減った(23.4%)」と合わせると、92.6%もの店舗が客足の減少を実感していることが明らかとなった。一方で、「やや増えた(0.9%)」、「とても増えた(0.4%)」という、客足の増加を感じた店舗は1.3%だった。

7割超が「第三者認証」の適用受けるも、約半数が「メリットを感じない」


今回のまん延防止等重点措置において、自治体によっては、第三者認証の適用を受けている飲食店に限り、要請内容を選択できるようになっている。そこで、第三者認証の適用状況を聞いたところ、75.5%の店舗が「受けている」と回答。また、「認証待ちの状態」という店舗も2.6%あった。これに対し、「受けていない」との回答は21.9%にとどまっており、8割近くの飲食店が第三者認証を得ている状況が明らかとなった。 次に、第三者認証の適用を受けていると回答した店舗に、認証店のメリットを尋ねたところ、半数近くが「特にメリットを感じていない(49.6%)」と回答。これに、「安心安全のアピールの有効性(33.6%)」、「自治体からの要請緩和(29.3%)」との回答が続いた。

協力金について「認証店は優遇されて良い」が6割。一方で「差別しない方が良い」との声も


現在、要請に協力した飲食店に対しては協力金が支給されているが、認証店と非認証店における協力金の支給額についてどのような考えを持っているのか聞いた。最も多かったのは「認証店は非認証店より金額面で優遇されて良い(63.7%)」との回答で、6割を超える飲食店から認証店の優遇を求める声が寄せられた。次いで、「わからない(19.7%)」、「認証店と非認証店の協力金は同水準が良い(13.1%)」との回答が続いた。 さらに、上記の回答を選んだ理由について尋ねたところ、認証店の優遇を求める店舗からは「苦労している分、優遇されるべき」との声が多く寄せられた。一方で、同水準が良いという店舗からは「協力金は差別しない方が良い」との声が上がるなど、各店からさまざまな意見が寄せられた。

■認証店は非認証店より金額面で優遇されて良い

  • 要請を守ることにより売上が減るため、当然のことだと思う(大阪府/その他/1店舗)
  • 認証手続きなど時間を要しているので(神奈川県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
  • 非認証店は、協力してないから非認証店な訳で、そこと同じような扱いになると、真面目にやってる側だけが馬鹿を見てると思う。認証店にするにはお金も労力もかかっている(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

■認証店と非認証店の協力金は同水準が良い

  • 認証を取ろうにも取れない店舗もある(東京都/フランス料理/1店舗)
  • そもそも協力金は営業損益を補償するため支給されるものではないので、非認証店との差別化は酒類提供条件の緩和などで十分なのでは(神奈川県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
  • 認証店になるかどうかの判断は、色々な要素が複雑に絡んでおり、元々協力金を念頭に認証を受けている訳でなく次元の違う問題。協力金は差別をしない方が良い(千葉県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

6割超の飲食店が「ワクチン・検査パッケージ」の運用に期待薄


ワクチン・検査パッケージ制度については、自治体ごとに運用方針が異なっているが、今後、同制度が飲食店に対する要請の制限を最小限にし、通常時に近い営業を行うために有効な役割を果たすと思うか尋ねた。

すると、「やや思う(21.9%)」、「とても思う(5.0%)」という回答が、合わせて約3割にとどまったのに対し、「あまり思わない」との回答は41.1%だった。「まったく思わない(25.8%)」との回答と合わせると6割を超える店舗が、「通常に近い営業の実施」という点で期待を寄せていないことがわかる。

先行きが不透明で「客足が戻るか不安」という声が多数


最後に飲食店を営業するにあたり、今最も困っていること、懸念していることを聞いたところ、「人材の確保」や「生活習慣の変化」に対する懸念などを中心に、さまざまな回答が寄せられた。

■人材不足、雇用維持

  • 売上減、人材不足(東京都/和食/3~5店舗)
  • 人材、アルバイトスタッフの確保と維持。緊急事態宣言時よりスタッフが減り始め、現在募集をかけても採用に至らず慢性的な人材不足でシフトが回らない(千葉県/ラーメン/3~5店舗)>

■客足が遠のいている

  • 夜は客足がめっきり減ってしまった(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
  • 客足が一気に遠のいてしまい、最低人数でやっていてもマイナスの営業になる(大阪府/カフェ/1店舗)

■今後、客足が戻るのか心配

  • 時短営業後の客足の戻り具合が懸念される(神奈川県/ラーメン/2店舗)
  • お客様の来店の回復。営業形態の変更を考えざるを得なくなるのが心配(大阪府/洋食/1店舗)

■生活習慣の変化に伴う客足減少

  • 外で飲まないことに慣れてしまい、収束後もお客様が減ることを心配している(東京都/バー/3~5店舗)
  • 多数人での会食が激減して売り上げが伸びなくなっている(東京都/フランス料理/1店舗)

■コロナ禍で先行きが不透明

  • 仕方がないとは思うが、先が見えないこと。また、仕事に対するモチベーションが低下する不安がある(東京都/そば・うどん/1店舗)
  • あと何回、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言があるのか先が見通せない(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

長引く時短営業要請に、現状への不安だけでなく、顧客の生活習慣の変化から今後も外食需要の減少が定着化してしまうのでは、という声が目立った。3月初旬現在、まん延防止等重点措置が解除される地域も少しずつ出てきたが、飲食店にとって厳しい状況は続いている。ウィズコロナを前提に、一日も早い収束を願うばかりだ。

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