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深刻化する食材仕入れ価格の高騰。飲食店の原価率を上げないための対策は?

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食材価格の高騰が深刻化している。昨年から牛肉や小麦、食用油をはじめ、さまざまな食材の値上げが続いており、飲食店の仕入れ価格にも影響を及ぼしている。こうした不可抗力の事態に対し、飲食店はどのような対策ができるだろうか。今回はこのような状況下でも原価率を上げず、かつ顧客離れを起こさせない様々な工夫やアイデアについて紹介していく。

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コロナ禍やウクライナ侵攻などが、食材価格に影響

食材の価格上昇には、コロナ禍の人手不足や悪天候など様々な要因が関係しているが、ここへきてロシアによるウクライナ侵攻の影響も懸念されている。両国は、穀物やひまわり油の生産国として知られており、それらが小麦や食用油の価格上昇にもつながっているのだ。また、カニやタラコ、ウニなどの一部の水産物は、ロシアからの輸入割合が高く、今後の情勢次第で輸入が停滞すれば、価格にも影響が出てくるだろう。

食材費が高騰する今、原価率を抑えるための対策とは?

飲食店にとって、こうした食材の価格高騰は、店舗運営をしていく上で死活問題となり得る。では、食材価格の高騰に対し、原価率を抑えるために飲食店はどのような対策を取れば良いのだろうか。

■一皿のポーション量を工夫し、付加価値で満足度を上げる
盛り付ける量を工夫することで、原価率を下げるというのも一つの手だ。例えば、近年価格が高騰している輸入牛を使ったステーキであれば、肉の量を減らし、彩り豊かなサラダを付けるなどすると、満足度を維持しつつ、原価率も抑えられるだろう。ただし、その際、メニュー名を「牛肉ステーキと彩り野菜のプレート」などとリニューアルし、お客さんにマイナスの印象を抱かせないことが大切だ。

また、料理に付加価値を付けて提供することも検討したい。お客の目の前で出来立てを提供する、家庭では再現しづらい味付けを行なう、といったおもてなしは、ちょっとしたプレミアム体験を提供することになる。こうした付加価値を売値に反映することで、メインの食材費も削減することができる。

■仕入れる食材の種類を最小限にする
仕入れる食材の種類が多いと、バラエティに富んだメニューを提供できる一方、食品ロスが発生しやすくなり、管理も煩雑化する。とくに飲食店の食材ロスは、経営に直結する問題だ。

この際、お店で使う食材の種類は最小限にしたい。極端なことを言えば、専門店のようにメニューを絞るのもありだろう。さらに、汎用性の高い食材を使うようにすれば、一つの食材を様々なメニューに応用できる。

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■比較的安価な食材を仕入れる
値上がりしている食材から、原価の低い別の食材に変えるというのも一つの手だ。ただし、単に食材を変えたというだけではお客さんにマイナスのイメージを与えかねないため、「今が旬!」、「店長のおすすめ」など、お客さんの心をくすぐる言葉を添えてアピールしていくと良いだろう。

■店舗のDXを進める
デジタル化が進んでいない店舗であれば、DXを進めていくことも長期的なコスト削減につながる。例えば、POSレジを導入し、データ分析を徹底して行うことで、実際に多く注文されている料理や、よく使われる食材が明確になる。上手く活用すれば、食材を適量で仕入れるコツも掴めてくるだろう。

そのほか、お客が店内外から注文できるセルフオーダーシステムも便利。ホールスタッフの人件費を一定数削減できれば、不測の事態への対応にも多少の余裕が生まれてくる。

今回は、食材の高騰に伴う仕入れのコントロールやコスト削減の方法などを紹介したが、これらはあくまでも利益を出し、事業を継続していくための施策の一つ。まずは、お客が本当に求めているものを見極め、追求していく姿勢が大切だ。

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サトウカオル

ライター: サトウカオル

グルメ、ライフスタイル、ITとさまざまなジャンルの執筆を経験。現在は、ポップカルチャー系のウェブサイトでグルメ関連の記事を執筆中。趣味は、料理とネットサーフィン。ネットで気になった料理を自分流にアレンジして食べるのが最近のマイブーム。