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飲食店が「値上げ」する際の3つのポイント。どのメニューを? お客様への告知は?

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飲食店の新たな課題になっているのが仕入価格の高騰だ。大手チェーンが次々と値上げに踏み切る中、今まさに値上げを検討している個人店も多いのではないだろうか。そこでここでは、個人店が値上げをする場合はどのようなポイントがあるか、3つのポイントを紹介する。

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ポイント① どのメニューを値上げすべきか?

値上げをする場合、すべてのメニューを値上げする方法と、一部のメニューの値上げをする方法とがある。後者であれば、人気メニューを値上げするのか、出数が少ないメニューの値上げをするのか……といった点の検討が必要だ。人気メニューを値上げする方が利益へのインパクトも大きい分、お客様へのインパクトも大きくなる。

例えば、『餃子の王将』は2022年5月に餃子や炒飯などグランドメニューのうち14商品の価格改定を実施している。また、『スシロー』も10月から郊外型店舗で寿司の値上げをすると発表しており、全容はまだ明らかになっていないが、人気メニューの値上げと考えてよいだろう。逆に、ラーメン店などで、通常ラーメンの金額は据え置きだが、大盛やトッピングなどを値上げするケースもあるため、業態に合わせた検討が必要である。

ポイント② 値上げする金額をどのように決めればいいか?

2つ目のポイントは値上げをする金額についてである。まず、単純に値上げをするのか、付加価値による値上げをするのかを検討しよう。現在の状況であれば、単純な値上げでもお客様の理解を得やすいと思われるが、可能であれば、量を増やす・質を上げるといった付加価値を高め、それを伝えた上での値上げのほうが、お客様に納得してもらいやすいだろう。

次にどれくらいの値上げをするかについて考えてみよう。方法としては、仕入価格の上昇に応じた値上げをする、原価率を維持するための価格設定を計算して値上げ幅を決める、競合店や類似業態の店舗の価格(値上げ金額)を参考に決める、などがある。どれか1つの考え方で決めるのではなく、複数の視点で決めるといいだろう。

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ポイント③ どのように値上げを告知すればいいか?

3つ目のポイントは値上げの告知についてである。どういう理由で、いつから、どの商品をどれくらい値上げするか(代表的な商品のみでもOK)を、店内やSNSなどで事前に告知することが必要である。告知をせずに、いきなりお店に入ったら値上げしていたとなると、不誠実な印象を与えてしまい、お客様の離反につながる。

単純に値上げの告知をするだけでもいいのだが、ポイント②でも紹介した付加価値による値上げであれば、その価値を伝えることも効果的だ。食材の質を上げる、トッピングを変更するなどを告知することで、値上げのインパクトを抑える効果も期待できる。また、もし可能であれば、期間限定メニューなどの新メニューの導入を一緒に告知すると、お客様の期待感を上げることができるので、値上げのタイミングに合わせて検討してほしい。

今回は、個人店が値上げをする場合の3つのポイントを紹介した。値上げによる客数減を心配する経営者もいるかもしれないが、店舗存続のために適正な利益を得ることは悪いことではない。今回紹介したポイントをおさえるだけでもお客様の理解は得やすいはずなので、仕入価格の高騰に悩む店舗は、前向きに値上げを検討してみてほしい。

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若林和哉

ライター: 若林和哉

株式会社パートナー経営企画・代表取締役。飲食店の勤務経験や中小企業診断士の資格を生かして、事業計画作成や資金調達の支援、フランチャイズ関連のWebページの執筆やセミナー講師などを務める。好きなお店は、ラーメン・カフェ・日本酒のおいしい居酒屋など。https://パートナー経営企画.com/