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飲食店のDX化に活用できる「ものづくり補助金」。11次公募の変更ポイントは?

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画像素材:PIXTA

アフターコロナに向けた今、飲食店のテクノロジー化はますます重要性を増している。こうしたDX化に貢献する補助金が、現在11次の応募受付中の「ものづくり補助金」だ。今回は同制度の概要を改めて解説。10次からの変更点や申込スケジュールなどについてもまとめた。

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改めて「ものづくり補助金」とは?

「ものづくり補助金」は、正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」という。中小企業や小規模事業者を対象とし、働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入などに対応するため、革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資費用を支援する制度だ。

申請枠は全部で5つ。4つの申請枠がある「一般型」と「グローバル展開型」で、それぞれ申請要件や補助額が異なる。

10次からの変更点をチェック

10次締切以降からは、いくつか変更点があった。まず、9次までで一般型の低感染リスク型ビジネス枠を廃止。それに伴い、広告宣伝費、販売促進費が補助対象経費から除外された。

さらに以下の変更点があった。

・一般型の申請枠に、回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠の3つを新設
・枠の新設に伴い補助額・補助率の見直し・補助上限の変更
・補助対象事業者の拡充

10次からの変更点を踏まえ同制度の概要をみていこう。

各申請枠と補助額・補助率

9次締切までの一般型の申請に関しては、補助上限額は最大1,000万円だったが、10次締切からは新たな枠の新設に伴い、従業員の人数と事業内容に適した補助額に変更され、上限も最大で1,250万円となった(グリーン枠は最大2,000万円、グローバル展開型は最大3,000万円まで)。それぞれの枠の補助金額は事業者の従業員数に、通常枠・グローバル展開型の補助率は事業者の種類による。

なお、一般型・通常枠以外はそれぞれ独自の要件があるため、申請前によく確認しておこう。

<一般型・通常枠>
革新的な製品・サービス開発や生産プロセス向上に必要な設備投資に取り組む事業者が応募可能で、独自の要件はなし
助成額上限:750~1,250万円
助成率:1/2 or 2/3

令和元年度補正・令和三年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(11次締切分)より

<一般型・回復型賃上げ・雇用拡大枠>
賃上げや雇用拡大を実施しながら、通常枠と同様に設備投資に取り組む事業者向けの申請枠
助成額上限額:750~1,250万円
助成率:2/3

令和元年度補正・令和三年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(11次締切分)より

<一般型・デジタル枠>
DX(デジタルトランスフォーメーション)のために設備投資を行う事業者向けの申請枠
助成額上限:750~1,250万円
助成率:2/3

令和元年度補正・令和三年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(11次締切分)より

<一般型・グリーン枠>
温室効果ガス排出削減に役立つ事業のために設備投資を行う事業者向けの申請枠
助成額上限:1,000~2,000万円
助成率:2/3

令和元年度補正・令和三年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(11次締切分)より

<グローバル展開型>
一般型と同じ基本要件を満たすほか、海外直接投資、海外市場開拓、インバウンド市場開拓、海外事業者との共同事業のいずれかの事業を行う事業者向けの申請枠
助成額上限:3,000万円
助成率:1/2 or 2/3

令和元年度補正・令和三年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(11次締切分)より

成長途中の中堅企業も対象に。補助対象となる事業者

9次までは補助対象事業者は主に中小企業となっていたが、国が取り組んでいる「特定事業者への支援強化」の一環として従業員数100〜1,000人未満など、中小企業から中堅企業へと成長途中の「特定事業者」も補助対象事業者となった。

具体的には、従業員数の上限が、製造業・建設業・運輸業・旅行業が500人以下、卸売業が400人以下、サービス業・小売業が300人以下まで拡充され、それぞれ資本金も10億円未満まで拡充された。

令和元年度補正・令和三年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(11次締切分)より

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補助対象となる経費

ものづくり補助金は、企業が成長する上で大きなハードルとなるサービスの開発などを援助するための事業だ。そのため、補助の対象となる経費が厳密に決まっている。対象となるのは、サービスの開発、設備投資などに伴う経費で、50万円以上(税抜)の設備投資が必須となる。

具体的な補助対象経費は以下の通り。

・機械装置・システム構築費/機械・装置や工具・器具、専用ソフトウェアや情報システムの購入、製作、借用に要する経費など
・技術導入費/知的財産権などの導入費
・専門家経費/専門家など技術指導者へ支払う報酬
・運搬費/宅配料や郵送料
・クラウドサービス利用費/レンタルサーバー料、プロバイダ契約料など
・原材料費/試作品の開発に必要な原材料及び副資材の購入に要する経費
・外注費/新製品・サービスの開発に必要な外注費
・知的財産権など関連費用/特許取得の際にかかる経費など
・海外旅費(※グローバル展開型のみ)/事業拡大に必要な海外渡航費や宿泊費など

公募要領 概要版(11次締切分)より

今後のスケジュールは?

同制度は令和2年3月の公募開始以来、通年で公募を行っている。ものづくり補助事業公式ホームページによれば、令和4年度は、応募期間を約2か月、審査期間を約1か月として、6月・9月・12月・3月の四半期ごとに採択発表を行う予定。11次のスケジュールは以下の通りとなっている。

応募締切日:令和4年8月18日(木)17時
採択発表:10月中旬(予定)

採択された事業者は採択発表後、交付申請の手続きが必要。交付申請から交付決定までは約1か月ほどの期間がかかる。

また、交付決定後より補助事業を開始することが可能となり、補助事業の実施期間は交付決定後から一般型で最大10か月間、グローバル展開型は最大で12か月間となっている。

申請方法はインターネットでの電子申請のみで、事前にGビズIDプライムアカウントの取得が必要だ。未取得の方は事前に登録をしておこう。

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若松真美

ライター: 若松真美

ライフスタイルや旅行に関する女性向けWebメディアで編集者を経験後、現在はフード、トラベル、日本文化などの分野で執筆するライター。蕎麦屋酒と浮世絵を愛する。週末は東京下町を中心に酒場巡りや町歩きを楽しんでいる。