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「食べログ」評価点変更に賠償命令。飲食店とグルメサイトめぐる裁判に判決

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東京地裁は16日、グルメサイト「食べログ」の運営会社カカクコムに対し、3840万円の損害賠償金の支払いを命じた。焼き肉チェーン店運営会社の韓流村が、チェーン店であることを理由にコンピューター上計算式である「アルゴリズム」を不当に変更され、評価点を下げられたとして、カカクコムを提訴した訴訟の判決による。東京地裁は賠償を命じる理由として、アルゴリズムを一方的に変更することは「優越的地位の乱用」を禁じた独占禁止法に違反すると指摘した。

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韓流村は「食べログによる評価点の変更により売上が激減」と主張

2019年5月、食べログのアルゴリズム変更により、韓流村が運営する焼き肉店『KollaBo(コラボ)』の21店舗中19店舗で評価点が最大で0.45点、平均で0.17点下落。特に、人気店の目安とされる「3.5点以上」の4店舗の点数は、0.21~0.45減と大幅に下落した。

『KollaBo』の食べログ経由の月間の平均来客数は、変更前より6000人以上減少。月間売上も約2500万円減った。これに対し韓流村は、食べログが行った不当なアルゴリズム変更によって『KollaBo』の売上が減少し、ブランド価値も毀損されたとして、2020年5月にカカクコムを提訴した。

韓流村が提出した裁判資料によると、食べログの19年3月時点での月間サイト訪問者は7000万人超。約6800万人のRetty、約4500万人のホットペッパーグルメ、約2800万人のぐるなびを上回る国内最大のグルメサイトであった。

韓流村は食べログの点数は外食経営に多大な影響を与えると考え、チェーン店の評価が一律で下がるようアルゴリズムを変更したことは、独占禁止法が禁じる「差別的取り扱い」や「優越的地位の乱用」に当たると主張。約6億3900万円の損害賠償や、変更後のアルゴリズムの使用差し止めなどを求めた。

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評価ルールの変更は独禁法違反にあたるとの結論

一方のカカクコムは、消費者の店選びはその他のグルメサイトやグーグルマップなどでも可能であり、食べログのアルゴリズムの変更はチェーン店を飲食店市場から締め出すほどの効果はないとし、独占禁止法が禁じる「差別的取り扱い」違反には当たらないと反論。また「優越的地位の乱用」についても、取引上の力関係において、カカクコムが韓流村より優位にあるとはいえないと主張した。

これに対し、東京地裁は食べログのアルゴリズム変更は「優越的な地位の乱用」にあたると認定。カカクコムに対し、3840万円の賠償を命じた。ただし、「評点は消費者による店選びにおける唯一の指標ではない」として、韓流村が求めた変更後のアルゴリズムの使用差し止めは認めなかった。

東京地裁は判決要旨で「飲食店の地位を継続することが困難になると、経営上大きな支障を来す。食べログが著しく不利益な要請を行っても、(飲食店は)受け入れざるを得ない状況にある」とし、アルゴリズムの変更はチェーン店である韓流村に対し、あらかじめ計算できない不利益を与えるなどとした。

カカクコムはこれを不当な判決であるとし、即日控訴。韓流村側も賠償額などに不服があるとして、控訴する方針を示している。

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小晴

ライター: 小晴

美容系雑誌編集者・ライターを経てフリーライターに。品川区のローカルニュースサイト「品川経済新聞」記者として、多くの飲食店取材に携わる。趣味は食べ歩き・飲み歩きと銭湯。