飲食店の約７割が「人手不足」を実感。「賃上げしても効果なし」の声も
賃金総額が上がった飲食店のうち、最多は「1％～3％未満」の上昇
直近1年における、雇用者に支払う賃金の総額の変化を尋ねたところ、40.8％が「上がった」と回答し、最多となった。「変わらない」との回答は36.2％で、「減った」との回答は10.7％だった。
「飲食店における従業員や給与に関するアンケート調査」より
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さらに、「変わらない」、「減った」と回答した人に、今後1年以内の賃金増額予定を尋ねたところ、「一部雇用者の賃金を上げる予定」との回答が34.9％で最多となった。「全雇用者の賃金を上げる予定（7.4％）」との回答と合わせると、4割超が賃金増額を予定している様子が明らかとなった。「上げる予定はない」との回答は、33.5％だった。
「飲食店における従業員や給与に関するアンケート調査」より
雇用者に支払う賃金の総額の変化について、「上がった」と回答した方に上昇率を尋ねたところ、最も多かった回答は「1％～3％未満」の範囲で36.4％（※1）。次いで、「5％以上（32.6％）」、「1％未満（16.6％）」（※2）、「3％～5％未満（14.4％）」（※3）と続く。
（※1）1.0～2.9％の範囲で割合値を合算
（※2）0.4～0.9％の範囲で割合値を合算
（※3）3.0～4.9％の範囲で割合値を合算
「飲食店における従業員や給与に関するアンケート調査」より
また、賃金を上げた方に、その効果をうかがったところ、「従業員の士気が上がったと感じる（28.9％）」、「求人への応募数が増えた（17.1％）」、「離職者が減った（14.4％）」など一定の効果を得られた店舗がある一方、約4割が「特に効果はみられていない（42.8％）」と回答した。
「飲食店における従業員や給与に関するアンケート調査」より
続いて、人手不足解消や従業員の賃金を上げるために工夫していること、導入したものについて尋ねたところ、さまざまな回答が寄せられた。
■業務の効率化・簡素化
・メニュー品数を減らす、券売機、ネット注文など導入して業務の簡素化を徹底させることで、人手不足対策としている（東京都／ラーメン／1店舗）
・機械化できるものは機械化しながら効率化を行い、コストを削減しながら賃金に反映するように努力している（愛知県／和食／1店舗）
■インセンティブや賞与の導入
・インセンティブ制を導入。店舗売上が基準額を越えた場合に、越えた分の10％を正社員の人数で割り、それをインセンティブとして月給の他に支給している（新潟県／洋食／1店舗）
・売上が上がった際にボーナスを出すという規定を設け、アルバイトの士気をあげています（東京都／焼肉／1店舗）
■売上アップ対策を行う
・新たな収益を上げるため、キッチンカーを導入した（神奈川県／カフェ／1店舗）
・賃金を上げるためには売上も上げなければいけないので、客単価が上がるような接客を目指している（東京都／居酒屋・ダイニングバー／1店舗）
最後に、雇用について今最も困っていること、懸念していることを尋ねたところ、「条件に合う応募がない」、「優秀な人材がこない」など、希望する人材を雇用できていないとの声が多くみられた。また、他にも以下のようなコメントが寄せられた。
・経費があがっているので賃上げまでまわらない（東京都／カフェ／2店舗）
・売り上げが上がらないことには雇用を増すことができない（福岡県／洋食／1店舗）
・長期で勤務してもらえるような環境作り。離職率が高いため何とかしたい（愛知県／フランス料理／1店舗）
・慢性的な人不足、新規事業拡大の足かせになっている（奈良県／フランス料理／1店舗）
・求職者の飲食離れ（東京都／和食／1店舗）
コロナ禍以前から課題となっていた飲食業界の人手不足問題。今回のアンケートでは、一定数ではあるものの、賃金引き上げにより、求人応募数の増加や離職者減少といった効果が得られたという声がみられた。人手不足に悩む飲食店は、他店舗の工夫なども参考にしつつ、この課題の解消策を探っていってほしい。
