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横浜「上大岡」のリアル事情。飲食店がコロナ禍で感じた「地元民の温かさ」

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『LOTUS』を含め上大岡内で3店舗の飲食店を経営する株式会社サンズカートの中山裕康さん

駅構内にゆずのヒット曲「夏色」の軽快なメロディが響き渡る。品川駅から特急電車に乗って約30分。神奈川県横浜市港南区にある京急線「上大岡駅」は、京浜急行電鉄の駅(全72駅)で横浜、品川に次ぐ乗降客数を誇る、同市の副都心(※)と呼ばれる場所である。
※上大岡周辺エリアは1981年に策定された「よこはま21世紀プラン」において副都心に指定されている。

京急のほか、横浜市営地下鉄ブルーラインも乗り入れる。駅前には百貨店「camio(カミオ)」と「mioka(ミオカ)」と呼ばれる大型商業施設、商店街、高層マンションが並び、駅から直結している巨大バスターミナルからは、起伏に富んだ地域形状を利用した閑静なベッドタウンにつながる。ゆずの地元として知られる横浜市磯子区にもバスで移動することが可能だ。

上大岡エリアは、京急線の前身である湘南電気鉄道が開通した1930年から現在に至るまで、継続的に地域開発が行われてきた。1997年の京急エリアを中心とした再開発により、商業都市としても目まぐるしい発展を遂げ、今では“住みたい街”としても人気の高いエリアとなっている。その一方で、注目を集めているのは歓楽街としての側面である。

今回は上大岡駅東口から徒歩2分の立地にある立ち飲み屋『cove(コーブ)』の店主・小玉隆史さんと、同エリアにある肉バル×ラクレットチーズ『LOTUS』を含め上大岡内で3店舗の飲食店を経営する株式会社サンズカートの中山裕康さんに、リアルな上大岡事情やコロナ禍での経営について教えてもらった。

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上大岡駅

■『cove』小玉隆史さんインタビュー

古くはラーメン屋やスナック、焼き鳥屋が多かったという上大岡駅周辺に、近年は、立ち飲み屋、バー、バルなど、さまざまな業態の飲食店が並ぶようになったのは最近だ。コロナ禍の影響を受け、上大岡エリアの一部では閉店してしまう飲食店があったものの、2022年現在は活気を取り戻しつつある。

『cove』は2008年にオープンした、常連客で賑わう人気の立ち飲み屋である。キャッシュオン制で、料金は席に設けられた小さなかごへ。手頃な値段で、多種多様なお酒と野毛仕込みの揚げ物・つまみなどを楽しめることが魅力だ。また、店主の小玉隆史さん、奥さんの有希さんのおおらかな人柄に惹かれてやってくる客も多い。コロナ禍で人数制限しているものの、店内は賑わいを見せていた。

『cove』の小玉隆史さん

小玉さんは東京出身で、都心部や横浜屈指の飲み屋街・野毛で経験を積んできた。『cove』をともに運営する有希さんが上大岡からほど近い街の出身ではあるが、小玉さんにとって上大岡は未知の土地。出店を決めた理由はなんだったのだろう。

「当初は古巣の野毛で物件を探したけれど無くて……。その後、地元近くの新横浜や町田の店舗を探したけど、なかなか個人が入れる物件はなかった。そんなときに気になったのが上大岡だった。当時の上大岡は開発が進んでいる一方、路地裏を入ると個人店がいっぱいあった。大手居酒屋もそこまでなかったから、ここだったら個人でも店を出せるかなと思ったのが一番の理由かな」

さらに、上大岡という街の奥深さにも惹かれたと話す。

「戦前からの由緒正しき飲み屋街があって、とても賑やかな街の印象がある。なかでも立ち飲み屋の『国民酒場あさひや じぃえんとるまん』や、焼き鳥屋の『鳥佳』は老舗で有名。焼き鳥店だけで今でも10店舗以上ある。だから飲食店は充実している印象があった。ただ、昔は飲食店が成立しない街、しにくい街という声もあったんだとか。そもそも物件がそこまで多くないし、利便性が高いから、駅前の地価はほかの駅に比べると少し高め。新規参入はなかなか難しかったみたいだけど、1996年(平成8年)に京急百貨店が出来てからは、さらにたくさんの人が来るようになって、飲食店が成功しやすくなったと聞いたよ」

上大岡の駅前ビル(京急百貨店&バスターミナル)を出て、信号を渡った先にあるアーケイド街「パサージュ上大岡」は、昭和22~38年までは“浜の箱根”と呼ばれていたそう(正式名称は浜の箱根通り商栄会)。その周辺は現在繁華街となり、今もその名残を残している。ちなみに、『cove』や『LOTUS』があるのは繁華街から離れたエリアではあるが、ゆずが結成前から通っていたという『炉ばた焼 安兵衛』や、ペンギンのいる喫茶店としてメディアにもよく特集されていた喫茶『メルヘン』の跡地(現在は『鉄板バルHANANOKI』)などがある活気溢れる場所だ。

「だからこそ、駅近くのエリアや繁華街は空き店舗の情報があればすぐに埋まってしまう。僕の場合は不動産屋の紹介で、もともと立ち飲み屋だった場所を居抜きで借りることができた。今思えば、本当に幸運だったと思う」

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逆井マリ

About 逆井マリ

フリーライター。音楽、アニメ、ゲーム、グルメ、カルチャー媒体などに取材記事を執筆。現在の仕事に就く前に、創作居酒屋、イタリアン料理店での業務経験あり。写真は大好きなアイスランドで撮影したもの。