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飲食店の賃金引き上げを支援。時給アップとともに活用すべき「業務改善助成金」

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画像素材:PIXTA

厚生労働省の中央最低賃金審議会は、2022年度の地域別最低賃金について、全国平均で31円引き上げるとする目安を示した。現在の全国平均は時給930円で、目安通りに引き上げられれば961円となる。今回の引き上げ幅は過去最大となっており、コロナや原材料高騰など苦境が続く飲食店にとって、さらなる悩みの種となりそうだ。

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物価上昇など背景に、過去最大幅の最低賃金引き上げ

最低賃金引き上げ額の目安は、都道府県を経済状況に応じて分けたランクごとに示される。今回は、Aランク(東京・大阪など6都府県)とBランク(京都・広島など11府県)で31円、Cランク(北海道・福岡など14道県)とDランク(青森・沖縄など16県)で30円が提示された。目安通りに引き上げが行われた場合、東京の最低賃金は1,072円、神奈川は1,071円となる。また、大阪は1,023円となり、1,000円の大台に乗ることになる。

過去最大の引き上げ幅となった背景には、昨今の物価上昇がある。とくに生活必需品の上昇が大きいことから、労働者の生活を考慮した形だ。今回示された目安は今後、都道府県ごとに審議され、10月ごろに改定されることとなる。

飲食店従業員の賃金見直しとともに活用したい「業務改善助成金」とは?

今回の最低賃金引き上げに、頭を抱える飲食店も少なくないだろう。こうしたなか、改めて注目したいのが「業務改善助成金」だ。業務改善助成金は、生産性を向上し、事業場内最低賃金の引き上げに取り組む中小企業や小規模事業者を支援する制度。一定額以上事業場内最低賃金の引き上げをし、生産性向上のために機械設備やコンサルティング導入、人材育成などを行った際の費用の一部を助成する。

飲食業界における、生産性向上の設備投資事例としては、スチームコンベクションオーブンや食材スライサーといった調理器具類のほか、POSレジ、食器洗浄機、オーダーシステムなどがある。

業務改善助成金は、引き上げ額に応じて「30円コース」、「45円コース」、「60円コース」、「90円コース」の4コースに分かれている。助成上限額は最大600万円で、実際の助成額は引き上げ額や引き上げる労働者数などに応じて変わる。

厚生労働省ホームページ内「業務改善助成金」より

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■業務改善助成金の概要
・助成対象事業場:事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内、かつ事業場規模100人以下
・助成率:事業場内最低賃金900円未満=4/5(9/10)、事業場内最低賃金900円以上=3/4(4/5)※()内は生産性要件を満たした場合
・助成上限額:30万円~600万円
・申請先:都道府県労働局
・申請締め切り:2023年1月31日 ※申請期間内に募集を終了する場合もあり

業務改善助成金は、最低賃金の引き上げに伴い、生産性向上に取り組むという飲食店にとって心強い味方となってくれるだろう。賃金の引き上げに頭を悩ませている飲食店は、業務改善助成金の活用を検討してみてはどうだろうか。

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サトウカオル

ライター: サトウカオル

グルメ、ライフスタイル、ITとさまざまなジャンルの執筆を経験。現在は、ポップカルチャー系のウェブサイトでグルメ関連の記事を執筆中。趣味は、料理とネットサーフィン。ネットで気になった料理を自分流にアレンジして食べるのが最近のマイブーム。