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新型コロナ影響で居酒屋業態が大苦戦。大手15社の店舗数、2019年から23.1%減少

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画像素材:PIXTA

新型コロナウイルスの影響で居酒屋業態の店舗数縮小が続いている。東京商工リサーチは、上場大手15社が展開する居酒屋業態を対象にその店舗数の推移を調査。その結果、パンデミック以前の2019年末から直近の2022年6月末にかけて1289店舗(構成比23.1%)も減少していることを明らかにした。

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店舗減少率40%超えの「JFLA」を筆頭に、15社中12社が規模縮小

東京商工リサーチが8月10日にリリースした調査結果によると、上場主要15社が展開する居酒屋業態の店舗数は、2019年末から2022年6月末現在まで、以下のように減少の一途をたどっている。

「東京商工リサーチ」調べ

国内初の新型コロナウイルス感染者が確認されたのは2020年1月。その後、緊急事態宣言が発出されると、外食自粛の波を受け居酒屋業態の経営は大変厳しい事態に陥った。コロナ以前の2019年12月時点では対象店舗数は5,557店であったが、それから半年ごとに5,124店(前期比433減)、4,879店(同比263減)、4,642店(同比237減)、4,445店(同比197減)、4,268店(同比177減)と徐々に減少している。あまりの客足不振に、店舗数縮小という経営判断は避けられなかったのだろう。

調査対象の15社のうち最も店舗数を減らしたのは、焼き鳥店や海鮮居酒屋などを展開する子会社を複数社保有する「JFLAホールディングス」だ。コロナ以前に展開していた843店から461店まで店舗数を減らしている(382店/構成比45.3%)。続いて、主要ターミナル駅周辺を中心に居酒屋を展開するダイヤモンドダイニング社の親会社にあたる「DDHD」も、435店から250店へ(185店/構成比42.5%)減少。そして『はなの舞』を展開する「チムニー」が738店から500店へ、『庄や』を展開する「大庄」も487店から330店へ減少させた。どちらも32.2%の縮小となる。

上記4社を筆頭に、調査対象の15社のうち12社が店舗数減少を余儀なくさせられた。2020年に緊急事態宣言が発出されて以来、居酒屋利用の自粛ムードが続いて久しいが、その影響の大きさがこのデータから見て取れる。なかでも忘・新年会や歓送迎会など、大人数での宴会時に好んで利用されてきた、大衆受けする居酒屋業態での縮小傾向が強いようだ。

画像素材:PIXTA

『串カツ田中』など一部企業で店舗拡大。ジャンル特化居酒屋に勝機あり?

しかしこの逆境のなか、店舗数を拡大している企業が3社存在している。最も店舗数を増やしているのは「串カツ田中HD」で、273店から314店へ(41店/構成比15%)拡大させた。次に、『肉汁餃子のダンダダン』を展開する「NATTY SWANKY」が86店から117店へ(31店/構成比36%)増加。続いて、餃子や韓国料理など、料理ジャンル別に複数の居酒屋業態を持つ「一家HD」が69店から72店(3店/構成比4%)への増加となった。

特定ジャンルを持つことで少人数での利用に優位性があるほか、餃子や串カツといったメニューの特性上、テイクアウト需要に応えられたことが勝因だったのかもしれない。

居酒屋運営においては宴会自粛ムードの継続に加え、人件費や原材料などのコストアップまでもが重なり、今後も苦しい経営が続きそうだ。テイクアウト導入や業態転換を含め、客のニーズに対応した柔軟な舵切りの必要に迫られている。

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松本ゆりか

ライター: 松本ゆりか

東京でWebマーケターを経験した後、シンガポールへ渡りライフスタイル誌やWebメディア制作に携わる。帰国後、出版社勤務を経てフリーライターに。主に中小規模ビジネスや働き方に関する取材・執筆を担当。私生活ではひとり旅とはしご酒が好きなごきげんな人。