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飲食店の82.6%がSNS集客を実施。認知向上、客足増加にインスタグラムが貢献

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画像素材:PIXTA

新たなメディアとして、すっかり人々の生活に浸透したSNS。無料で始められる気軽さもあり、広報・集客ツールとして活用する飲食店アカウントも増えている。こうした状況を背景に、弊社のリサーチサービスである「飲食店リサーチ」は、飲食店経営者・運営者を対象にSNSを活用した集客施策に関してアンケート調査を実施した。今回はその結果をもとに、飲食店のSNS集客戦略の現状を紐解く。

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■調査概要
調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:484名
調査期間:2022年6月28日〜2022年6月30日
調査方法:インターネット調査
アンケート結果:「SNSを活用した飲食店の集客」に関するアンケート調査結果

■回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち71.9%が1店舗のみを運営。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は64.3%(首都圏の飲食店の割合は69.1%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測される。

飲食店主体のSNS運用は当たり前の時代。写真+テキストで新規顧客層へアプローチ

SNSを活用した集客を行っているかという質問に、82.6%が「はい」と回答。無料で始められることや、特別な技術を必要とせず誰でも手軽に情報発信できることから、飲食店の多くが集客施策としてのSNS運用を取り入れているようだ。

「SNSを活用した飲食店の集客に関するアンケート調査」より

一方でSNSを活用していない店舗にその理由を尋ねると、最多は「運用が面倒(32.1%)」、続いて「集客を目的とした活用の仕方がわからない」、「お店の個性に合わない」(ともに25%)という回答結果になった。

「SNSを活用した飲食店の集客に関するアンケート調査」より

続いてSNSを活用している店舗に「最も活用しているSNS」を聞いたところ、写真投稿に強みを持つ「Instagram」が最多の59.5%となった。次点の「Facebook(19.3%)」、「Twitter(11%)」と大きく差が開いていることから、Instagramと飲食店との親和性の高さがうかがい知れる。さらに動画投稿型の「YouTube」は0.5%、ショート動画に特化した「TikTok」は0%という結果から、動画投稿に対する障壁の高さが感じ取れる。

「SNSを活用した飲食店の集客に関するアンケート調査」より

さらに最も活用しているSNSからどのような効果が得られたか尋ねると、「店舗の認知向上(63%)」、「客足の増加(53.3%)」と回答。SNS集客を行う過半数以上が、新規顧客獲得の成果を実感しているという結果になった。

「SNSを活用した飲食店の集客に関するアンケート調査」より

ちなみにInstagram以外のSNSであっても、新規顧客の集客に対して同様に成果を挙げているようだ。

Instagram:「店舗の認知向上(64.7%)」、「客足の増加 (49.6%)」
Twitter:「客足の増加 (72.7%)」、「店舗の認知向上(70.5%)」
Facebook:「店舗の認知向上(64.9%)」、「既存客とのつながりができた(61.4%)」

新作・おすすめ・イベント情報など、ニュース性のある投稿内容が来店動機に

では飲食店の集客目的においては、どういった内容の投稿を行うと成果に結びつきやすいのだろうか?

「どのような内容の投稿が集客や売上に効果を実感するか」を聞いてみると、最も多くの回答を得たのは「新作またはおすすめメニュー(58.3%)」で、次に「イベントなどの告知(41.3%)」という結果になった。ニュース性のあるお知らせ情報を発信することで、客の来店動機や購買意欲につながったのだろう。この結果はInstagramに限らず、FacebookとTwitterでも同様の順位となった。

「SNSを活用した飲食店の集客に関するアンケート調査」より

続いてSNSの更新頻度を聞くと、上位は「週1〜3回(32.5%)」、「月に2〜3回(20%)」となった。全体の約半数が、比較的緩やかな更新頻度で成果を実感しているようだ。

「SNSを活用した飲食店の集客に関するアンケート調査」より

また「フォロワーを増やすための施策」に関する自由回答を精査すると、主に以下の4つの手法に要約できる。

■ハッシュタグの活用でユーザーとの接点を増やす
「かかりそうな#を限界まで付けている」、「投稿する時間やハッシュタグの工夫」など、積極的にハッシュタグを活用しているとの回答があった。地域名やメニュー、飲食業態などをハッシュタグにして投稿に添えることは、取り入れやすく成果が出やすい、SNS運用の定番施策と言えるだろう。

■積極的な「いいね!」でユーザーとつながる
「ケーキやカフェに興味がありそうなアカウントをフォローやいいねをし、フォローバックを待ちます。」、「エゴサーチをしてお店の写真を上げている人にいいねをしたり、コメントしたりしている。」と、関心がありそうなユーザーを見つけ出し、飲食店側からアクションする取り組みも積極的に行われている。

■店内での周知&フォロワー限定サービス
「店内での声かけ」、「各テーブルにQRコード設置」など、実店舗を持つ飲食店だからこそ、来店客への周知でフォロワーを獲得する施策も見られた。あわせて「フォローと投稿で1品サービス」、「LINE公式アカウントの友だちになっている方だけに飲み放題サービスを提供しています」など、フォローに対する特典を提供する戦略も効果がありそうだ。

■インフルエンサーの活用
「インフルエンサーを使ったマーケティングをしています」と、インフルエンサーを活用した本格的なSNS運用をする店舗もあった。

画像素材:PIXTA

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「バズり」はフォトジェニックに限らない。意外な素材や手法で集客力アップ

飲食店主体の発信のほかに、来店客による個人アカウントの発信があると、口コミ拡散が広がりやすいうえ、店の印象も良くなる。こうしたSNSの特性から、フォトジェニックなメニューやスポットがあることが大切なようにも思えるが、店内の写真映えについて聞くと、「ない(36.8%)」、「ある(32.2%)」、「わからない (31%)」と、回答はきれいに3分割された。

「SNSを活用した飲食店の集客に関するアンケート調査」より

「ある」と回答した店舗が誇るフォトジェニック素材は、やはり料理と内装が中心だ。

■料理には見た目のインパクトを
料理については、肉好きを釘付けにする「三段パティのハンバーガー」や「ウニやトリュフ」などの高級食材を使ったメニューといった、見た目のインパクトを重視している声が寄せられた。

■人物が「盛れる」内装や光の演出
内装については、「大きなガラス張りのエントランス」や「アメリカンダイナー風の内装」、「バースデー演出」など、それ自体の映えはもとより、被写体の人物をきれいに写す光や背景の工夫が見受けられた。

料理と内装以外には、「看板犬」の存在や「バースデー演出」のサービスというコメントもあった。

またフォトジェニックとは言えない意外な投稿が、予想以上の反響を得て拡散され、集客につながったというエピソードも。興味深いので一部紹介したい。

・焼肉屋です。ダクトの吸引力が異常に強いです。その吸引力動画を投稿したところ、女性 のお客様が「これなら服や髪にも臭いが付かない」と来店(東京都/焼肉/3~5店舗)

・お店では「ない!」と思っていたがインフルエンサーさんが取り上げてくださったメニューがめちゃめちゃバズって、今も中学生、高校生、大学生、20代の社会人が押し寄せている。テレビより効果が長い(東京都/ラーメン/1店舗)

このようなエピソードからは、運営側が考えるフォトジェニックばかりが拡散力になるとは限らないと再認識させられる。客目線での投稿が多くの客の心を掴む、SNSならでは事例である。

最後に集客面での工夫や努力を尋ねると、SNS発信やローカル検索広告といったオンライン施策以外にも、「スタンプカードやクーポン券の配布」、「新商品・季節料理で飽きさせない」、「丁寧な接客で常連客を大切にする」といった、オフラインでの地道な集客手法も実行されていた。

アンケート結果を振り返ると、飲食店主体のSNS集客は、試行錯誤しながらも地道な努力がきちんと成果に結びついている様子が見て取れた。もしまだSNS運用をしていなら、まずは気軽に発信を始めてみるとよさそうだ。すでに行っている店舗も、このアンケート結果を参考に、SNSの効率的な使い方や運用改善に役立ててもらいたい。

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松本ゆりか

ライター: 松本ゆりか

東京でWebマーケターを経験した後、シンガポールへ渡りライフスタイル誌やWebメディア制作に携わる。帰国後、出版社勤務を経てフリーライターに。主に中小規模ビジネスや働き方に関する取材・執筆を担当。私生活ではひとり旅とはしご酒が好きなごきげんな人。