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【8月】飲食店「売上動向」調査。約8割がコロナ禍前より「売上が減少」と回答

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画像素材:PIXTA

今夏、日本は新型コロナウイルス流行「第7波」の真っただ中にあった。しかし今回は緊急事態宣言などは発出されず、飲食店への営業規制もなかった。感染拡大防止と社会経済活動を両立するフェーズに入ったと明確に感じられる夏だったが、こうした政府の方針は飲食店にどのような影響を与えたのだろう。弊社のリサーチサービスである「飲食店リサーチ」では、飲食店経営者・運営者を対象にしたアンケート調査を実施。今回はその結果をもとに、飲食店における2022年8月の売上動向について分析していく。

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■調査概要
調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:418名
調査期間:2022年9月12日~2022年9月15日
調査方法:インターネット調査

■回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち69.6%が1店舗のみを運営。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は50.5%(首都圏の飲食店の割合は66.9%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測される。

コロナ前より売上が下がった飲食店は約8割

まず、2022年8月の売上について、新型コロナの影響がなかった2019年8月との比較を聞いたところ、売上が伸びたとする「110%以上」との回答は8.4%、ほとんど変わらない「100%」は6.5%、売上が下がったとする「90%以下」は79.7%だった。

売上が半分以下の「50%以下」も28.2%を占めており、飲食業界ではまだまだ客足が戻らない店舗が多くを占めていることがわかる。その一方で、「150%以上」との回答が1.7%。「120%以上」も5.5%となり業績が大幅に伸びている店舗もわずかにみられる。

現在の飲食店における主な課題は「客入りの少なさ」と「FLコストの増加」

続いて、現状を踏まえたうえで抱えている課題や感じている悩みについて尋ねたところ、さまざまな回答が寄せられた。

■客足の戻りの鈍さ
・兎にも角にも宴会が戻って欲しい。しかしもう戻らないだろうとわかってもいます。せめて10人以下での集まりが増えてほしい。(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

・コロナ前より一般的に夜の人出は減ったまま、回復する気配は全くない。そして、いつになっても収まらないコロナウイルスに疲弊気味である。(東京都/テイクアウト/2店舗)

・コロナ前と比べての売上/客数が落ちたまま戻らない。8月はまだ良かったが9月に入って壊滅的になった。SNSなどで丁寧に情報発信していくしかないか…。(東京都/バー/1店舗)

・ライフスタイルが変わってしまい、夜の外出、外飲みの自粛が定着してしまったので、コロナ禍以前と同等に戻るとは期待できない。年内の状況を見て、継続か閉店かを判断せざるを得ない状況です。(神奈川県/バー/1店舗)

■原材料費の高騰
・原材料高や円安が進む中で、商品の値上げをどうするか。客数の減少を危惧しており、価格見直しのタイミングを悩んでいる。(神奈川県/ラーメン/2店舗)

・仕入れコストの高騰が厳しいので客単価を上げたい。お客様のお財布を圧迫しないような値上げを模索している。(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

・食材費高騰による原価率の上昇も悩みです。(静岡県/焼肉/2店舗)

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■スタッフの育成について
・スタッフに向上心がない。(東京都/イタリア料理/3~5店舗)

・最近、10代・20代の方に「自分で考える」「融通を利かす」ということが苦手な方が多く、仕事を教えていく中でうまく指導しきれないことがある。(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

・「仕事は教えてもらうもの」という考え方を持っている若手スタッフの教育の仕方が課題。何度教えても最終的には同じミスを繰り返してしまう。(愛知県/和食/1店舗)

・お店に対する貢献度が低下していると思う。真剣さも、危機感もない。(兵庫県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

人材に関しては、やはり「募集しても集まらない」、「雇用してもすぐに辞めてしまう」といった声が依然として多い。加えて、上記に挙げたような働き手の資質に関わる問題や、人件費の確保に悩む回答が目立った。

■その他
・外国人を雇っているが、国民性などによる文化、感性の違いが大きいと感じる。(東京都/専門料理/1店舗)

・ご新規様がなかなか定着しない。(東京都/その他/1店舗)

・業務効率化が実現できていない。(東京都/アジア料理/2店舗)

・コロナ禍で業態を変更したばかりで、オペレーションの不備がある。(新潟県/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)

回答を集計すると、客足が戻っている店舗と、戻っていない店舗の二極化が見られる。客足が戻っていない店舗では、「新メニューが欲しい」、「打ち手があまり浮かばない」といった課題を打ち明ける声もあった。

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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