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初の立ち上げで月商700万円達成の渋谷『大人気』。集う人を幸せにする兄弟の唯一無二の店づくり

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左:弟・砂田康太氏、右:兄・砂田健太氏

料理人の兄、そして飲食出店コンサル出身の弟という兄弟が運営する新しいスタイルの大衆酒場、渋谷『大人気(おとなげ)』。「特別じゃない日に特化した、特別なお店」をコンセプトに、2022年8月のオープン当初から月商700万円を達成、渋谷の新たな“大人気”店として話題を集めている。兄・砂田健太氏(30)と弟・康太氏(28)の二人に、開店経緯から目指す店作りについて話を聞いた。

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「社会人の中で一番かっこよかった」父の死をきっかけに開店を決意

砂田兄弟は岡山県出身。父親が和食の料理人だったこともあり、幼い頃から飲食業とは馴染みが深かった。「親父は無口でシャイだけど、料理している時の顔がとにかくかっこよくて。まさに“漢”って感じで、僕もそういう風になれたらいいなと思っていました」と健太氏。

学校卒業後、兄は地元に残り、料理人として父と一緒の店で働き、弟は東京のコンサル会社にてキャリアをスタートさせた。そんな二人の父親は、康太氏が就職して半年ほどで急逝する。「親父がとにかくかっこよかった」と口々に語る二人は、この時から自分たちで店をやろうと決意を固めた。

「親父は『いつか独立したい』と多分思っていたんですけど、僕たちの進路とかやりたいことを優先させてくれて、リスクを取らずに堅実に頑張る店勤めを選んでくれていたんですよね。子育てが終わってこれからってタイミングの時に亡くなっちゃったので、親父の代わりじゃないですが『じゃあ二人でお店ができたらいいよね』って話したのが一番最初のきっかけです」(康太氏)

兄弟それぞれが飲食のソフト面・ハード面を経験

父の死後、兄弟は自分たちの店を持つための修行期間に突入する。飲食店におけるソフト面は「料理」、そしてハード面を「マネージメント」だとし、それぞれが離れてキャリアを積んできた。

「兄はすでにソフト面をやっていたので、僕は主にハード面を学ぼうと。僕は飲食で大事なのは『人間関係』と『お金』と『物件』だと思っていて、それらを常に意識して仕事を選んできました」(康太氏)

兄・健太氏は大阪に移住し、多様な業態を運営するSASAYAホールディングスで料理人としての腕を磨いていく。一方、弟・康太氏は人間関係を学ぶために入社した会社でコンサル業を経験後、飲食店向けのサブリース・物件情報を扱う会社へ転職し「お金と物件を扱うことに振り切った二年半」を勤めあげた。

康太氏はその会社を退職後、フリーターとして精肉店や鮮魚店、複数の人気居酒屋などを掛け持ちして働く生活を送る。コロナ禍をきっかけに勤務先のひとつであった『大衆酒場ビートル』を運営するプロダクトオブタイムへ正式に入社し、同社が運営する『まり花』の立ち上げ料理長として三軒茶屋店のほか『まり花』各店舗、恵比寿『The Office』といった店舗立ち上げも複数経験してきた。

そんな6年間におよぶ二人の“修行時代”を経て、2021年9月、いよいよ物件探しを始めた。

スモールスタートのはずが、憧れの街渋谷に

「当初、物件を探していたエリアは神奈川県にある郊外駅。坪単価1~1.5万円ぐらいで、10坪ほどの規模感で考えていました」と言うが、蓋を開けてみれば『大人気』は18坪で40~45席、家賃は共益費など諸経費込みで60万円。「渋谷にしては好条件」とは言うものの、二人がはじめて立ち上げする店舗にしてはなかなか華々しい。

「気に入った物件があってもフラれ続けてたんで、ここも決まらないだろうなくらいに思っていました」(健太氏) 

溝の口、大和、鷺沼、中山、駒澤大学など多数の物件を回ったが、契約に至らない日々が続く。そんな折、現在の物件を前職時代の上司に紹介され、二人はひと目で惚れ込んだという。物件の立地は、渋谷Bunkamuraと道玄坂上をつなぐランブリングストリート。周囲には多種多様な飲食店、クラブやカップルズホテルが立ち並ぶ、夜遊びに特化した大人のエリアだ。

「大阪に兎我野町っていうディープなエリアがあるんですけど、僕らはその街の雑多で乱れたような雰囲気が大好きで、このエリアはその雰囲気に近いものを感じるんですよね。飲食店ひとつとっても普通にデートで使えるようないい感じのお店もあれば、クラフトビールにこだわったカルチャー寄りのお店みたいなのもあって、そのごちゃごちゃ感はどこの街でも作れるものじゃない。それに田舎者なので、渋谷という街への憧れがすごかったのもあります。今でも僕ら、スクランブル交差点で一緒に動画撮ったりしてますから(笑)」(康太氏)

当初の想定であるスモールスタートからはかけ離れていたが「いつかは渋谷で……」という気持ちは常に持っていたという二人。「その“いつか”は今でもいいよね」と物件の応募を即決し、見事契約を勝ち取った。

内装費用は300万円。同業者からの注目を集める店舗デザイン

『大人気』は2階物件であるが、ファサードのガラスに描かれた大きな店名ロゴ、そしてそこから見える赤を基調とした店内は路面店クラスの存在感を放つ。ロゴやメニューをはじめとしたアートディレクション、そして店舗デザインは兄の健太氏が担当。実際にかかった内装費は約300万円だという。

「うちは大衆酒場なのですが、居酒屋っぽい内装にはしたくなかったんです。自分たちが本当にやりたいことを表現しながら、カウンターだとか、ショーケースに並べた瓶詰めのホッピーみたいな大衆酒場の特徴やアイコンを取り入れていきました」と康太氏。これらの意匠は、6年間の修行時代に、東京と大阪を行き来しつつ行っていた「繁盛店視察の会」からヒントを得たものも多いという。

「スマホのカメラで、外観や内装、メニューとか、自分たちがいいと思ったものを集めていったんです。普通ならイメージの共有には時間がかかるものですが、僕らは兄弟なので相手に気を遣わない。『ここはいい』『ここはダサい』と遠慮なく言い合ってイメージを共有してきました」(康太氏)

それぞれが体験してきた“カッコいいもの”を、自分たちのフィルターを通してアイデアに昇華させた『大人気』。その店舗デザインは、オープン当初から同業者の注目を集めており、飲食関係者からの情報拡散が集客要素のひとつになっているという。

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