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コロナ以降の飲食業界の「雇用動向」をリクルートが発表。人手不足への対応策も

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画像素材:PIXTA

株式会社リクルートは、飲食業界の雇用動向と年末年始以降の人手不足の対応策について調査結果を発表した。今回はその内容を詳しくご紹介。依然として人手不足が叫ばれている飲食業界だが、その現状を把握しながら採用・人材育成に役立ててほしい。

■調査概要
調査対象:全国 20~64歳の男女
回答者数:1,600名
調査期間:2022年9月27日~9月29日
調査方法:インターネット調査
詳しい調査結果はこちら

【注目記事】コロナ禍における飲食店の雇用状況は? 正社員では過剰感も、アルバイトは不足の声

飲食店の求人は年末年始に向けて増加傾向

求人情報専門の検索エンジン「Indeed(インディード)」のデータによると、飲食業界の求人数はほかの職種と比べると回復スピードは遅いものの、2021年4月を底として回復を続けている。また求職者が飲食店の仕事を探す際の“検索数”も年末年始に向けて増加。しかし、業界全体としては、それでも人手をまかないきれていない状況だ。

飲食業界の求人数は2021年4月を底として回復を続けている

また、前年と比べて最低賃金が全国平均で31円上がった影響もあり、今年4月以降、飲食業界の募集時平均時給は過去最高を更新し続けている。しかし、ほかの業種と比べると、依然として飲食業の時給は低い水準にある。今年10月の平均時給は、他職種もあわせると1,151円だが、飲食業だけで見れば1,088円。この低い給与水準が、求職者が集まりにくい一つの原因となっている。

これに加え、「体力的にきつい仕事が多い」「コロナの影響を受けやすい」といった理由で離職する人も少なくない。人材を確保するためには、こうした飲食業のイメージを改善し、そこで働く魅力を高めていく必要があるだろう。

飲食業のネガティブなイメージとして「体力的にきつい仕事が多い」「コロナの影響を受けやすい」「給与水準が低め」といった声が多くあがっている

今年の年末年始は従来の人海戦術が通用しない

クリスマスや忘年会・新年会といったイベント需要に加え、アルバイト従業員の帰省などから、年末年始の人手確保に悩む飲食店オーナーは多いだろう。今年は全国旅行支援の実施、Go Toイートの再開などもあり、人手不足がさらに顕著になりそうだ。

また、昨年までは5人以下の少人数での宴会が多かったところ、今年は大人数での宴会が少しずつ増えてきた。喜ばしい反面、半個室化や検温・アルコール消毒などの感染対策が必要となった今、コロナ禍前と比べて従業員のオペレーションも複雑化している。そのため、単に人手を増やす「人海戦術」だけでは年末需要に対応しきれないことが予想される。

昨年に比べ、大人数の宴会も少しずつ増加

人手不足解消に向けて新たな対策を取り入れることも視野に

今後の人手不足解消に向けては、単に従業員を増やすだけでなく、新たな対策を取り入れたいところ。例えば短期的に行える対策として、シフト体制の見直しなどがある。繁忙期には「土日の数時間だけでも入れる」など、「超短時間勤務(プチ勤務)」を取り入れることも一案だ。こうした体制づくりによって、主婦やダブルワーク希望者、シニアなど、新たな求職者層を確保できる可能性が高まる。

また、現在就業している従業員が離職しないための取り組みも必要となる。新規に求人を行いつつ、離職理由として多い「体力的にきつい」「今後のキャリアパスを描けない」といった問題点を改善し、既存の従業員に対するフォローも徹底したい。

さらに、「接客時間が確保できない」「雑用に追われてやりたい仕事ができない」という就業ギャップを減らす対策として、DX化の推進が挙げられる。スマホを用いたセルフオーダーの導入など、取り入れやすいものから検討してみてはいかがだろうか。

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安藤べみ

ライター: 安藤べみ

ライター、校正・校閲者。編集プロダクションで校正者として勤務後、フリーランスに。校正経験を活かした正確な情報リサーチと読みやすさがモットー。趣味はカフェ巡り、映画鑑賞。イタリアンと抹茶スイーツが大好物。