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一つ星『ラペ』松本一平シェフの新たな挑戦。イタリアン経験者を起用し3店舗目を出店

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松本一平シェフ(右)と、新店舗ピースのシェフに抜擢された大島孝仁さん

2014年に創業した、日本橋室町のミシュラン一つ星『La paix』(以下、ラペ)。オーナーシェフ・松本一平さんの実家が和歌山のおでん屋だったことから、コロナ前は年始の1週間限定でイベント的におでんを出していた。

2019年、そのおでんにフレンチの技を取り入れた『平ちゃん』を『ラペ』の近くにオープン。そして2023年2月、やはり『ラペ』から徒歩数分の場所に『peace』(以下、ピース)を開業する。3店舗目はフレンチでもおでん屋でもない。元イタリアンのシェフで、2016年に『ラペ』に入店した大島孝仁さんをシェフに起用し、イタリアンとフレンチを融合させたレストランをオープンするというのだ。

しかも、開業前にクラウドファンディングを実施。じつは『平ちゃん』もオープン前にクラウドファンディングで726万円の資金調達に成功した。ミシュランシェフがなぜ『平ちゃん』に続き、『ピース』を開業し、クラウドファンディングに挑戦するのか。その狙いを取材した。

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雇い主も雇われる方も貪欲だから前進できる

まずは新店舗のシェフに抜擢された大島さんにプロフィールを尋ねた。

「ワンオペのイタリアン(四ツ谷)で雇われシェフを5年続けました。フレンチも勉強したいと思い、2016年に『ラペ』に入りました」(大島さん)

イタリアンのシェフだった大島さんをなぜ松本シェフは採用したのか。

「これまでも他ジャンルの経験者を受け入れてきました。自分にない技術を持つ人が入れば自分の引き出しが増え、刺激も受けるし、『ラペ』も進化すると思っているからです」(松本シェフ)

『平ちゃん』の根内大和シェフ。和食を修業していたことからシェフに起用された

たとえば、『平ちゃん』の根内大和シェフは和食経験者だった。ラペ創業時、厨房スタッフとして入店。根内さんが作る和食の賄いが美味しかったことから「根内ならクオリティーの高いおでんのフルコースを作れるに違いない」と松本シェフは確信。『平ちゃん』開業にあたり、根内さんをシェフに任命した。

大島さんは根内さんと違い入社時はサービスだった。厨房スタッフに空きがなかったこともあるが、なぜ大島さんをサービスに就かせたのか。

「サービスという仕事を“やらされている”と思わずにできるかどうかを判断するつもりでした。サービスを要領よくできると厨房の仕事もきちんとできるし、厨房に入っても長続きします」(松本シェフ)

サービスに配属された大島さんとしても「ちょうどいい時期だと思った」ことから1年間ワインスクールに通い、翌2017年秋にソムリエの資格を得た。そして同年、厨房スタッフに空きができたことからラペの厨房に立つことができた。

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中島茂信

ライター: 中島茂信

CM制作会社を経てライターに。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』『101本の万年筆』『瞳さんと』『一流シェフの味を10分で作る!男の料理』『自家菜園のあるレストラン』。『笠原将弘のおやつまみ』の企画編集を担当。「dancyu web」や「ヒトサラ」、「macaroni」などで執筆中。