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ウィズコロナの今を生きる、飲食店の“生の声”。冬の繁忙期を人気3店はどう過ごしたのか?

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『ロッツォシチリア』の厨房の様子。従業員の動きには無駄がない。画像提供:ロッツォシチリア

コロナ禍以来、3年ぶりに営業制限のない年末年始を迎えた飲食業界。昨年12月から新型コロナウイルスの感染拡大は「第8波」に入ったとされたが、飲食店に足を運ぶ人の数は徐々に増えており、多くの消費者が最低限の感染防止対策をとりつつ再び外食を楽しむようになった。今回は、こうした「今」の実情をうかがうべく、都内に店を構える3つの飲食店を取材。現在の率直な言葉をお伝えする。

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コロナ禍があったからこそ、経営者もスタッフも成長した『ロッツォシチリア』

ソムリエの阿部努氏とシェフの中村嘉倫氏が共同で経営する『ロッツォシチリア』は、白金高輪にオープンして今年で12年。本場さながらの南イタリア料理と、まるで現地の店に迷い込んだかのような熱気ある明るいムードで、多くの人を虜にしている。「ミシュランガイド東京2023」にもビブグルマンとして掲載された、イタリア料理通をも唸らせる実力店だ。

酒類提供停止が要請されていた時期はイートインの来店がほとんどなく、ほぼテイクアウトのみで、売上が通常の10%という日もあったという。しかし、テイクアウトの商品に手書きのイラストやメッセージを添えるなど、できる限りの心を尽くしてお客との信頼関係構築に努めたこともあり、現在は連日満席が続いている。

「ただ、以前と比べて客足の引くタイミングが早くなったので、スタッフの働き方改革を進めるためにも、営業時間を1時間短縮しました。コロナ禍は大変厳しかったですが、そのおかげで成長できた部分もあると思います。働いてくれるスタッフのありがたさを改めて実感することも増えましたね」

こう振り返るのは、オーナーを務めるソムリエの阿部氏。2023年は従業員の有給休暇の取得や、残業代の支給なども徹底していく考えだ。営業時間の短縮や有給の取得によりスタッフの労働時間は減るが、阿部氏は「かえってスタッフのスキルや知識が向上し、売上もコロナ禍前の水準を維持できている」と話す。今年はさらに、近隣へのワインのデリバリーサービスを独自にスタートすべく準備を進めつつ、さらなる人材の充実も目指しているという。

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河崎志乃

ライター: 河崎志乃

デザイン事務所で企業広告の企画・編集などを行なった後、2016年よりフリーランスライター、コピーライター、フードコーディネーター。大手出版社刊行女性誌、飲食専門誌・WEBサイト、サステナブル・シーフード情報WEBサイト、医療従事者向け会員制WEBサイトなど、あらゆる媒体で各業界のトップランナーへの取材・執筆を行う。