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飲食店が赤字になる原因とは? 7つの予防策と黒字化のポイントを解説

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画像素材:PIXTA

新型コロナウイルスの流行が始まって以来、厳しい経営状況に陥っている飲食店は多い。数々の制限が撤廃された後でも「思うように客足が戻らない」「物価上昇で仕入れコストがかさむ」などの理由で、依然として赤字経営を強いられている店舗もあるだろう。今回は、飲食店が赤字になる原因とその予防策、黒字化のポイントについて解説する。

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コロナ禍で黒字キープは至難の業? 売上と利益が減少する理由

ぐるなびが加盟店を対象に行った「2022年の経営戦略」調査によると、2020年〜2022年の間に3年連続黒字を達成した店舗は全体の19.8%。実に73.5%もの店舗が、3年間で少なくとも1年は赤字という経営状況だった。

そもそも赤字とは、支出が収入を上回っていて「儲け」が出ていない状態のこと。飲食店では、売上と利益の減少が赤字につながる。それらの減少の原因について、以下で解説する。

飲食店の売上が減少する原因

いくら原価や人件費、家賃、光熱費などのコストを抑えられていても、売上(収入)が少なければ赤字になる。飲食店の売上が減少する理由は次の通り。

■内的要因
・客単価が低く利益率が悪い
・来店客数が少なく、売上そのものが足りていない
・顧客満足度が低く、売上につながっていない

客単価が低ければ、来店客数が多くても売上は積み上がらない。また、そもそもの来店客数が少ない場合もあるだろう。料理やサービスの質が低下し、顧客満足度が下がることで売上が減少する場合もある。

■外的要因
・近くに競合店がある
・大型商業施設などが建設され、人がそちらに流れてしまう

周辺施設は売上に大きく影響する。近隣に競合店があったり、新しく大型商業施設などが建設されたりした場合はそちらに人が流れやすくなるため、売上が減少することもある。

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「FLコスト」から見る、飲食店の利益が減少する原因

飲食店の営業利益は、粗利益(売上高-原価)から人件費や家賃、水光熱費などの販売管理費を差し引いて算出する。店舗が繁盛しているのにもかかわらず利益が減少している場合は、コストを見直す必要がある。

■内的要因
・人件費の設定が高い
・宣伝広告費が過剰になっている

人件費と食材料費は飲食店の経費に占める割合が高く、2つ合わせて「FLコスト」と呼ばれる。このFLコストの比率が売上高の6割以下であれば経営が安定すると言われるが、高くなればなるほど経営を圧迫することになる。また、販促のための宣伝広告費が過剰なことも利益減につながる要因だ。

■外的要因
・物価高騰により、食材料費がかさむ
・人手不足により、人件費を上げざるを得ない

近年は全国的に物価高騰や人手不足が起こっている。そのためにFLコストが上昇し、利益が減少している場合も少なくないだろう。

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飲食店の赤字の防止、黒字化を図る7つの方法

赤字の原因がわかったら、赤字を防止し黒字化を図る方法についても知っておきたい。売上アップ、利益アップの方法についてそれぞれ解説する。

■売上をアップさせる3つの方法
・新規顧客の獲得
・リピーターの獲得
・マーケティングに基づくメニューの刷新

売上をアップさせるのに有効なのが新規顧客の獲得だ。チラシやSNSなど、自店にあった販促方法を探してみよう。

ただし、リピーターへの販促費用は新規顧客の5分の1程度と言われる。売上を安定させるには、新規顧客だけでなくリピーターも獲得し、お客様の半分がリピーターという状態を目指したい。顧客満足度を高め、着実にリピーターを増やそう。

マーケティングに基づくメニューやサービスの刷新も、来店客の増加につながる。競合店があるなら差別化できるメニューに力を入れる、顧客アンケートを取り、メニューを人気の数種に絞って原価率を低く抑えるなど、周辺環境の変化や顧客のニーズに柔軟に対応することが大切だ。

■利益をアップさせる4つの方法
・固定費、変動費の見直し
・販売単価を上げる
・効果のない集客ツールをやめる
・余剰在庫を減らす

家賃や減価償却費などの固定費は削減が難しいが、削減できれば大きな変化が見込まれる。固定費の削減ができない場合は、食材の原価やアルバイトの人件費などの変動費を見直そう。

販売単価そのものを見直すほか、仕入れの量やメニュー数を見直して余剰在庫を減らすなどのコストカットも重要。効果の乏しい集客ツールを思い切ってやめるのも有効だろう。

結局のところ、利益アップには人件費+食材料費のFLコストを最適化することが欠かせない。FLコストが経費の6割以下という状態を目指し、コストを削減しよう。

また、経営再建のため銀行から融資を受けるのも赤字脱却には有効だ。そのほかにも、飲食店向けの助成金や補助金もあるため、必要な場合は調べてみよう。

赤字脱却には売上アップと利益アップの双方が重要

赤字経営を脱却するには、売上アップと利益アップの双方が欠かせない。赤字に悩む店舗は、顧客獲得とコストカットの両輪で黒字化を目指してほしい。

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小晴

ライター: 小晴

美容系雑誌編集者・ライターを経てフリーライターに。品川区のローカルニュースサイト「品川経済新聞」記者として、多くの飲食店取材に携わる。趣味は食べ歩き・飲み歩きと銭湯。