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飲食店のテラス席・テイクアウト営業を支えた「コロナ道路占用特例」が3月末で終了

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画像素材:PIXTA

コロナ禍において、テイクアウトやテラス営業などを行う飲食店を下支えしてきた「コロナ占用特例」が、2023年3月31日に終了する。コロナ占用特例とは、道路占有許可の基準を緩和する特例措置。国土交通省は6か月の経過措置を設けるとともに、今後は「歩行者利便増進道路制度(以降『ほこみち制度』)」への移行を呼びかけている。特例では、施設付近の清掃に協力することなどを条件に占用料が免除されていたが、4月以降はどうなるのか。また「ほこみち制度」とはどのようなものなのか、飲食店の視点から解説する。

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改めて「コロナ占用特例」とは

「コロナ占用特例」とは、コロナ禍の影響を受ける飲食店などの支援を目的とした、道路利用の許可基準を引き下げる特例措置のこと。感染対策のための暫定的な取り組みとして、道路でのテイクアウト販売コーナーやテラス席といった仮設施設を設けるケースを対象としていた。通常、道路の占用にあたっては占用料(道路利用料にあたるもの)が徴収される。しかし特例では、施設付近の清掃に協力することを条件に占用料が免除された。

全国約170の自治体で利用され(2021年7月時点)、コロナ禍で来客が減少する飲食店の支えとなったコロナ占用特例。コロナ禍の長期化により延長を重ねてきたが、ウィズコロナが本格化してきた現状をふまえ、2023年3月末をもって終了することになった。4月1日以降も同様の占用を希望する場合は「ほこみち制度」へ移行する必要がある。

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「ほこみち制度」への経過措置は6か月間。4月以降は占用料がかかる

特例終了後も、9月30日までは経過措置が設けられる。ただし、3月末時点でコロナ占用特例がすでに適用されていること、道路管理者(※)がほこみち制度への移行手続きを行っていることが条件になるため、注意が必要だ。
※道路法により道路を管理する者。国土交通大臣、都道府県知事、市町村長のいずれかにあたる

国土交通省「ほこみち」リーフレット(2022.4.1版)より

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占用料が10分の1になる減額措置、占用期間延長の特例あり

「ほこみち制度」とは、車線を減らして歩道を拡げるなど、誰もが歩きたくなるような賑わいのある道路作りを目的としている。具体的には、道路管理者が指定した道路の一部に特例区域を設け、この区域ではテーブルやベンチ、看板といった物(占用物件)の設置を柔軟に認めるという制度。清掃や植樹の剪定などに協力すれば、占用料の90%が減額される。

この制度を活用する出店者は、道路管理者が公募によって選定する。通常の占用許可は5年間だが、公募選出の場合は最長20年の占用が可能になる。占用料の減額措置と、占用期間の延長という特例によって、出店者は長期を見越した事業計画が立てやすくなる。オープンカフェなど初期投資が必要な業態でも、参入障壁が下がるというわけだ。

ほこみち制度に関しては、全国初となる神戸市三宮中央通りが指定されて以来、2022年9月時点で全国約50ヶ所が指定されてきた。コロナ禍を脱しようとするいま、地域ぐるみの取り組みが、飲食店の新しい可能性を広げるかもしれない。

参考:国土交通省「新型コロナウイルス感染症に対応するための沿道飲食店等の路上利用に伴う道路占用について」

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松本ゆりか

ライター: 松本ゆりか

東京でWebマーケターを経験した後、シンガポールへ渡りライフスタイル誌やWebメディア制作に携わる。帰国後、出版社勤務を経てフリーライターに。主に中小規模ビジネスや働き方に関する取材・執筆を担当。私生活ではひとり旅とはしご酒が好きなごきげんな人。