飲食店ドットコムのサービス

炎上YouTuber酷評のうどん店『さぬき屋島』に行ってみた。ワンオペだけど心温まる良店!

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly
『さぬき屋島』のたたずまい。ネット上の喧噪とは関係なく、穏やかだ

『さぬき屋島』のたたずまい。ネット上の喧噪とは関係なく、穏やかだ

人気ユーチューバーグループ「夕闇に誘いし漆黒の天使達」が公開した動画が、今年の2月上旬に炎上した。

炎上した動画は、昨年10月に公開した「Google上でレビューがついていない飲食店を訪問し、初のレビューを書き込む」という企画のもの。4人のメンバーが、老齢の女性店主一人で切り盛りする、いわゆる“ワンオペ”のうどん店を訪問。全員がそれぞれ違うメニューを“あえて”注文し、最初の品が運ばれてくるまでの時間が遅かったことなどを帰路の車中で酷評するという動画だ。

女性店主は彼らに対し「時間大丈夫ですか?」と気遣っていたのにもかかわらず辛辣な感想を述べたこと、また「量が多い」と食べ物を残したことに対し、「店主を思うと胸が痛む」「胸糞が悪くなる」など、視聴者から様々な批判が集まった。

彼らは炎上後に動画を削除。その後、謝罪動画を投稿しうどん店にも謝罪したと報告。しかしその影響は大きく、事件を受けてレギュラー出演していたラジオ番組は打ち切りに。YouTubeでの動画投稿も当分の間休止するという。

事件よりも気になるのは、その舞台となったお店である。インターネットで件のお店を調べてみると、席数は16席、テーブル席に座敷もある。ワンオペを想定した規模ではなさそうだ。いつ、どんなきっかけでワンオペになったのだろうか。なぜ、今も一人でお店を続けているのだろうか。

そこで、事前に電話をしてから取材を……、と考えたのだが、ネット上にあるどの電話番号にかけてみても繋がらない。そもそも、事件のあとも変わらず営業をしているのだろうか? 若干の不安を抱きつつ、神奈川県相模原市の『さぬき屋島』を訪問することにした。

【注目記事】西荻窪の色気ある酒場『Spice飯店』。ワンオペで得た「自由」を武器に繁盛店に

ランチタイムの終わり頃、うどん店『さぬき屋島』へ行ってみた

2月18日(土)、JR横浜線矢部駅から20分ほど歩き、13時前に『さぬき屋島』に到着した。ネットでは「16席」となっていたが、店内はテーブル席と座敷あわせて20名は座れるだろうか。テーブル席に着き、ユーチューバーも注文していた「さぬきうどんの特製・上」とビール中瓶を注文した。

ビールを飲みながら待っていると、女性店主が「これでもどうぞ」とプロセスチーズをテーブルに置いてくれた。注文から20分と少し経った頃、うどんが到着した。透明感の強いいりこ出汁のスープにコシの強いうどん。上にはエビ天、サツマイモ天、揚げ餅のほか、ワカメ、かまぼこ、のり、おあげ、山菜、たまごなど盛りだくさんの具が乗っている。

正直、提供までに時間はかかった。しかし、ここはチェーン店ではない。ホール業務、キッチン業務をすべて一人で行うワンオペ店で、この手間のかかったうどんを一人ひとりに作っていたら時間がかかることは当然だろう。なによりも待っている間に心遣いがあったため、それほどの時間には感じなかった。

さぬきうどんの特製・上(950円)。この価格でこの具だくさんである

さぬきうどんの特製・上(950円)。この価格でこの具だくさんである

ボリューム満点のうどんを食べ終えたランチタイム終了間近、店内に自分以外の客がいないことを確認し、意を決して店主に取材を申し込んでみた。

「こちらに来店したユーチューバーの事件についてご存知ですか? よければ、事件のことや、お店の歴史などについてうかがってもよろしいでしょうか?」

結果、店主の大槻君代さんは応じてくれた。可能であればと写真撮影をお願いしたところ、「もうちょっと若い時でしたら、写真映えもしたので撮っていただきたかったのですが……」とご謙遜の上で辞退された。

筆者も炎上したユーチューバーとやっていることはそれほど変わらない。事件後の不躾な訪問、そして取材を快く受けていただき、大槻さんにはただただ感謝である。

Pocket
follow us in feedly
飲食店ドットコム通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
飲食店ドットコム ジャーナルの新着記事をお知らせします(毎週3回配信)
タシロアキラ

ライター: タシロアキラ

大学の教育・研究の記事を中心に20年ほど紙媒体のライターとしてキャリアを重ねる。フリー転身を機に、趣味である食、スポーツ、ガジェットのジャンルでWEB記事執筆にも進出中!