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『くら寿司』AIカメラ導入し客の迷惑行為を監視。一方、『すし銚子丸』は回転レーン廃止へ

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写真はイメージ。画像素材:PIXTA

「客テロ」とも称される迷惑行為が相次いでいる回転寿司業界。こうした現状に鑑み、回転寿司チェーン『くら寿司』は、回転レーンでの迷惑行為を防ぐ「新AIカメラシステム」を3月2日より全店舗で導入した。一方、『すし銚子丸』は、4月26日までに全店で回転レーンでの寿司提供を順次終了し、フルオーダー制へ変更することを決めた。

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寿司が回る楽しさを、「新AIカメラシステム」で守るくら寿司

回転寿司チェーンなどでの悪質な迷惑行為が後を絶たない。テーブルに置かれた醤油ボトルや湯飲みを舐める、寿司にアルコールスプレーを噴射する、他人が注文した商品を勝手に食べるなどの行為が行われるだけでなく、その様子を撮影した動画がSNS上で拡散される事件が相次いだ。外食産業全体への信頼を揺るがすこれらの行為によって、外食そのものに不安を抱いた客も多い。

そんな中、くら寿司が導入したのが「新AIカメラシステム」だ。これは、客が取った寿司皿をカウントするために全座席の回転レーン上に設置している既存の「AIカメラ」に、回転レーンを流れる「抗菌寿司カバー」の不審な開閉を検知する機能を拡張したもの。

「抗菌寿司カバー」の不審な開閉を検知すると、同社本部でアラートが鳴り、本部担当者がただちに該当店舗の責任者へ電話連絡する仕組み。店舗では異常が検知された寿司皿を速やかに撤去し、客に声かけを行う。

加えて「店舗遠隔支援システム」も活用。迷惑行為発生時の録画映像や対応中の店舗の様子を本部で確認でき、場合によっては、速やかに警察へ通報することもできる。

こうした取り組みは、回転寿司の醍醐味である「寿司が回るというエンタメ性」と、「安心・安全」の両者を重視してきたくら寿司ならではと言えるかもしれない。くら寿司はこれまでにも、空気中のホコリやさまざまなウイルスから商品を守る「抗菌寿司カバー」を2011年に導入するなど、回転寿司の楽しさを保ちながら安全性を高めるための対策を講じてきた。

写真はイメージ。画像素材:PIXTA

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「回らない安心」を選び、フルオーダー制に舵を切ったすし銚子丸

一方、千葉県を中心に展開するすし銚子丸は、「回らない」方向性を選ぶことで客の安心・安全を確保しようとしている。すし銚子丸は4月26日までに順次、全店舗で回転レーンでの寿司提供をやめ、タッチパネルを使用した注文方法を採用すると発表した。

回転レーンのないフルオーダー店舗の展開を進める寿司チェーンには『魚べい』『元気寿司』などがあるが、一連の迷惑行為を受けて新たに「回らない」を選択したのは、すし銚子丸が初めて。公式サイトによると、迷惑行為への対策だけでなくフードロス対策も兼ねているという。

あえて「回ること」の楽しさにこだわるくら寿司、思いきって「回らない」に舵を切ったすし銚子丸。どちらも安心・安全な食を守ろうとする姿勢は共通している。引き続き回転寿司業界の動向に注目していきたい。

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小晴

ライター: 小晴

美容系雑誌編集者・ライターを経てフリーライターに。品川区のローカルニュースサイト「品川経済新聞」記者として、多くの飲食店取材に携わる。趣味は食べ歩き・飲み歩きと銭湯。