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「外食テロは犯罪」を示した『くら寿司』の“本気”。回転寿司店での迷惑行為で初の逮捕者

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写真はイメージ。画像素材:PIXTA

2023年3月8日、大手回転寿司チェーンの『くら寿司』で迷惑行為動画を撮影した男ら3人が愛知県警に逮捕された。回転寿司店をはじめとした飲食店での迷惑行為が社会問題となっているが、今回が初の逮捕事例となった。

大手回転寿司チェーンなどではその対応策を進めており、『くら寿司』は「新AIカメラシステム」や、醤油差しなどの備品をテーブル内に収納できる「クリーンテーブル」を順次導入し、迷惑行為を断固として防ぐ姿勢を見せている。

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逮捕につながった『くら寿司』全店に設置されたカメラシステム

回転寿司店での迷惑行為で逮捕されたのは、住所不定、無職とされる21歳の男ら3人。2月3日に『くら寿司』名古屋栄店で、醤油差しの注ぎ口を口に含むなどの迷惑行為に及んだうえ、その様子を撮影した動画をSNSに投稿した。『くら寿司』はすぐに被害届を出し、警察に情報提供を行って捜査に協力した結果、3月8日に3人が逮捕された。

『くら寿司』は、2003年に店内の映像をリアルタイムで確認できる店舗遠隔支援システムを全店に導入しており、防犯対策に活用してきた。また、AIカメラを2021年に導入し、寿司皿のカウントなどサービス向上のために活用していた。今回警察に提供した情報は、これらのカメラシステムを活用したものとされる。

「新AIカメラシステム」や「クリーンテーブル」など、安心・安全を最優先にした取り組み

『くら寿司』は3月2日に「新AIカメラシステム」を導入。既存のカメラシステムに、回転レーンを流れる「抗菌寿司カバー」の不審な開閉を検知する機能を追加した。また、5月中には全店に「クリーンテーブル」を導入する予定と発表。「クリーンテーブル」とは、飛沫飛散を防ぐために醤油差しなどの備品をテーブル内に収納できるようにしたもので、3月9日の時点で121店舗に導入している。加えて、醤油差しなどの備品は片付けの際にすべて入れ替えるなど、安心・安全を最優先にする取り組みを行う方針だ。

写真はイメージ。画像素材:PIXTA

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回転寿司ならではのエンターテイメント性を守る、くら寿司の“本気”

迷惑行為を行った3人の逮捕を受けて、『くら寿司』は、「お客さまとの信頼関係に基づく仕組みを、根底から揺るがす迷惑行為が 『犯罪』であるということが、広く世の中に認知され、今後、模倣犯がなくなることを切に願います」と発表。今回、回転寿司での迷惑行為で初の逮捕者が出たことにより、このような迷惑行為が民事だけでなく刑事事件として処罰される「犯罪」だと改めて認知されることになるだろう。

一連の迷惑行為による事件を受けて、回転寿司店のあり方自体が問われている。回転レーンでの提供をやめ、オーダー式へとシステムを変更するブランドもある。そんな中で、あくまでも回転寿司ならではのエンターテイメント性を提供することにこだわりつつ、迷惑行為を犯罪として厳しく対処する“本気”の姿勢を見せた『くら寿司』。この逮捕劇が、後を絶たない模倣犯への抑止力となることを願いたい。

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com