“並ばせない”行列店『回転寿司 根室花まる』。Airウェイトで1日約500人の来店客を受付
1994年、北海道・根室で開業し、現在は札幌や函館など北海道内に9店舗、都内に3店舗を展開する『回転寿司 根室花まる』。1日平均約500人が来店する銀座店をはじめ、連日多くのお客が訪れる人気店である。近年は、駅ビルなどを中心にアザーブランドである『立食い寿司 根室花まる』の出店も続いており、今最も勢いにのる注目企業のひとつだ。競合の多い回転寿司業界で、なぜ同店が選ばれ続けるのか。人気の理由を探る。
「花まるの生命線は鮮度」。旨みたっぷりの北海道産魚介をとことん新鮮に
『回転寿司 根室花まる』の最大の強みは、北海道・根室発祥という地の利を活かした商品力にある。
「以前から根室直送の魚介を中心にしていましたが、2022年より魚介の仲卸を社内で抱えるようになり、仕入れ力がさらに高まりました」
そう語るのは、『回転寿司 根室花まる』を運営する株式会社はなまる人事部の谷津亜沙子氏。北寄貝などの貝類や、ニシン、真だち(マダラの白子)、自家製すじこの醤油漬けなど、北海道ならではの旬の魚介を取り揃え、四季折々の味わいでお客を飽きさせない。さらに、へべすで締めたサバや、山ワサビ入りの鉄火巻きなど根室花まるオリジナルの定番メニューをはじめ、花咲蟹の鉄砲汁や、秋の名物きのこ汁など、ここでしか味わえない汁物も人気だ。
また、近年同店を代表する商品となっているのが、「二階建て」と呼ばれる握りメニュー。コロナ禍で外食消費が落ち込んだ2020年、「漁業復港応援企画」として価格はそのままにネタを二枚重ねで提供する「二階建て」キャンペーンを行ったところ、これが大ヒット。現在は、一番人気の「生ほたて」のみ継続しており、圧倒的な看板商品となっている。
寿司のメニューは、定番と季節のおすすめを含め常時80品以上。豊富な品数のみならず鮮度管理にも徹底的なこだわりがある。ネタは種類によって仕込みのタイミングを分け、厳密に温度管理された冷蔵庫で保管。ニシンやサンマのように傷みやすい魚は、一日4~5回に分けて、その都度仕込む。シャリに使う米も、店舗に精米機を置いて玄米から精米するというこだわりようだ。こうした確かな商品力がお客の心を捉えているのだろう。銀座店の客単価は2,600円と、回転寿司店としてもかなり高い売上を誇る。
全店にオープンキッチンを採用。調理工程まで「魅せる」こだわり
同店がファンを作るもう一つの要因は、活気溢れる店内の雰囲気だ。全店にオープンキッチンを採用しており、洗い場以外はすべて「見せる仕事」という意識のもと、魚を捌く、ご飯を炊く、といった調理工程が見える造りを採用している。
さらに、店内を見渡してみると客席にタッチパネルは見当たらない。レーン上には寿司の載った皿が流されているものの、カウンター越しに直接注文できるなど、職人とのコミュニケーションも楽しめる。
「社内ではこうしたスタイルを『回転寿司の王道』と呼んでいますが、いわゆるアナログな要素を活かした、昔ながらの店作りを目指しています」(谷津氏)
ゆえに、大手の回転寿司店では一般的となっているICチップ内蔵の皿による自動廃棄も、同店では人の手で行われる。カウンターの中に寿司を握らない従業員が配置されており、彼らがお客の食事の進み具合や新規客の入りを見ながら、レーン上の寿司をコントロールするのだ。