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飲食店の「デシャップ」とはどんな役割? ホールや厨房における仕事内容や適正について解説

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飲食店のオペレーションをスムーズに行うために欠かせないのが「デシャップ」。デシャップがうまく機能していないと業務効率が悪くなり、顧客満足の低下につながる可能性もある。そこで今回は、デシャップの役割と仕事内容、適正について解説する。

店長クラスの従業員が担当することも。重要な役割を果たすデシャップ

デシャップとはもともと、料理を盛り付けるという意味の「dish up」が元になった言葉で、キッチンで作った料理をホールスタッフに渡す場所のことを指す。飲食店では、デシャップの業務そのものや、その業務を担当する人という意味で使われることが多い。一般的にデシャップは、「料理の盛り付けを確認してホールスタッフに渡す」、「注文内容を把握してキッチンに伝え、ホールスタッフに指示を出す」といった役割を担う。

小さい店舗では、デシャップ専任のスタッフを置くことは少ないが、コース料理を提供するようなレストランでは、店長クラスが担当することもある。キッチンとホールの連携を図る上で、デシャップは非常に重要な役割を果たしているのだ。

飲食店における「デシャップ」の仕事内容

では、デシャップは具体的にどのような仕事をしているのだろうか。飲食店のジャンルや規模によっても異なるが、主に以下の4つが挙げられる。

■伝票の管理とテーブル状況の確認
伝票の管理は、デシャップの仕事内容の中でも特に重要な仕事だといえる。デシャップは、キッチンが適切な順序で料理を作り、提供できるようにコントロールしなければならない。そのためには、キッチンの作業状況を把握することはもちろん、お客の注文内容や食事の進行具合などを確認しながら伝票を整理し、キッチンにオーダーを通すタイミングを調整する必要がある。これらの管理ができていないと、キッチンがスムーズに料理を作れないばかりか、同じテーブルの料理を提供するタイミングに大きなずれが発生する可能性もある。

■料理の仕上がりチェック
キッチンで作った料理の仕上がりをチェックすることも、デシャップの仕事のひとつ。正しく盛り付けられているか、量のばらつきがないかといった点を確認し、問題があればキッチンに伝えて作り直すよう指示をすることもある。そのため、デシャップは料理の完成形を理解している必要があり、細かいところまで目が届く注意力も求められる。

■ホールスタッフの状況把握と指示
テーブル状況をチェックしなければいけないとはいえ、持ち場を離れられないときもある。そのときには、ホールスタッフにテーブルの様子を確認してもらうことも必要だろう。そのため、ホールスタッフの作業量も把握し、効率よく動いてもらうために適切な指示を出さなくてはならない。

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飲食店でデシャップに向いている人とは?

デシャップには営業の様子を総合的に見る力や、スピーディーに判断・指示する能力などが求められるため、、誰でも対応できるというわけではない。ここでは、デシャップの適正条件をいくつか紹介する。

■従業員としての経験が豊富で権限がある人
デシャップは店内の状況を把握し、キッチンやホールスタッフに指示を出さなければならない。そのため、従業員としての経験が豊富である程度の権限をもつ人であれば、店内の状況把握に慣れているだけでなく、各スタッフの性格やスキルなども理解できている可能性があり、指示もしやすいはずだ。

■状況に合わせて行動できる人
デシャップは、テーブルの状況を把握して、臨機応変に指示を出さなければならない。トラブルの発生やイレギュラーな対応が求められることもある。そのため、状況に応じて適切な行動ができる人、場合によっては先回りして行動できる人が適している。

■コミュニケーションスキルの高い人
デシャップは、キッチンやホールスタッフと密にコミュニケーションを取らなければならない。業務をスピーディーに進める上でスムーズな意思疎通のスキルは必須であり、こうした司令塔を配置すれば、各スタッフも安心してそれぞれの業務に取り組めるはずだ。

デシャップを育成するなら、さまざまな業務を経験させよう

デシャップには、上記のようなスキルや適正が必要になるが、こうした力は、さまざまな責任を長く担うなかで身に付いていくもの。デシャップの業務はホールスタッフと重なる部分も多いため、ホールスタッフを経験した上でキッチンの業務を理解していくといった過程が重要になる。

そこからデシャップへとステップアップするためには、ホールのリーダーや、店長の立場になる過程もあるだろう。飲食店でデシャップを配置、育てる場合は、スキルや適正を考慮した上で、多岐にわたる業務を経験させてみてほしい。

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com