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経営者がいなくても営業がまわる飲食店の作り方。人材育成、オペレーションのコツ
2020年09月28日
飲食店経営者の中には、自ら店前に立ち続けたいと考える人も多いもの。常に経営者が店舗にいることには安心感があるかもしれませんが、長い目で見ると良い考え方とはいえない点もあります。例えば、事業拡大やM&Aによる店舗売却を考える場合、経営者がいなくても営業できる店づくりが大切になります。では、経営者がいなくてもきちんと営業が回るような飲食店をつくるにはどうしたら良いのか、ポイントや注意点を紹介します。
まずは自店を任せられる「ナンバー2」を探そう
飲食店の中には、経営者があまり店内に滞在せずにスタッフに任せるケースや、社員を設けずアルバイトだけを雇っているケースも少なくありません。この場合、経営者は事業の改善・拡大や店舗展開に集中し、営業を頼れるスタッフに任せていることが考えられます。
頼れるスタッフとはすなわち、普段の営業を任せることができる、経営者のナンバー2といえる人材のこと。経営者がいなくても安定して営業できる店をつくるには、このナンバー2を見つけ、育成していくことが大切になります。社員の中から有望な人材を育てていくのがベストですが、優秀な人材であれば、パートやアルバイトから昇格するのも良いでしょう。
仕事としては、ホールやキッチンなどの普段の営業に関する業務を把握してもらうほか、スタッフの出勤スケジュール管理、売上や経費などの金銭管理、食材の受発注や在庫管理、クレーム対応など、幅広い業務が対象となります。
また、業務スキルだけでなく、リーダーシップやコミュニケーション能力も求められます。例えば、以下のような能力が重要になるでしょう。
・スタッフ全員と密なコミュニケーションを取っている
・スタッフから信頼されている
・スタッフ教育が適切で、ほめ方や叱り方がうまい
・トラブルが発生した際に、冷静に対処できる
・報連相が的確にできる
日々の業務を見て、仕事を任せられるナンバー2を見つけ、打診をしてみましょう。本人にやる気があれば、教える側としてもやりがいを感じられます。もし、そのような人材が社内で見つからない場合は、幹部候補として経験者を新規採用するのも一つの手です。
ナンバー2を育成するコツは?
日々の忙しい業務と並行しながら、ナンバー2を育成することは大変です。しかし、時間が空いたら教えようと思っていると、あっという間に時間は過ぎてしまいます。
そこでおすすめなのが、ある程度期間を決めて教育を行うこと。1年で一通りの業務を教えると決めたら、どのような業務を、どのような順に教えるか計画を立てましょう。例えば、最初の3か月で一通りホールスタッフの業務を把握してもらい、次の3ヶ月でキッチンスタッフの業務の把握、さらに次の3か月でスタッフの出勤スケジュール管理を行ってもらい、次の3ヶ月は売上や経費の管理を学んでもらうというように、期限を区切って指導していきます。
仕事に慣れる意味も含めて、最初は経営者の目の届く範囲で指導を行い、徐々に任せる割合を増やしていきましょう。ほぼ仕事を任せられる状態になっても、発注やスタッフの出勤スケジュールなどはできるだけ目を通します。安心して任せられる業務を一つずつ増やしていくことで、ナンバー2としての実力をつけてもらいましょう。
キッチン・ホールのリーダーも併せて育成しよう
ナンバー2のスタッフが一人で店のことをすべて把握するのは、どれだけ経験値があっても難しいはず。そこで重要になるのが、ナンバー2の下にホールとキッチン、それぞれのリーダーを育成することです。
十分なスキルと経験を持っているスタッフを、ホール・キッチンのリーダーに指名することで、ナンバー2は店全体のことをより深く把握することができます。また、リーダーに指名されたスタッフには責任感が生まれ、仕事の質がより高くなることも期待できます。このとき、リーダーに対する昇給や、ほかのスタッフへの周知も忘れないようにしましょう。
飲食店経営者が業務をすべて一人で背追い込むことには、どこかで限界が来てしまう可能性があります。最終的な責任は経営者が負うにせよ、早い段階で店を任せられるスタッフを育成することは、健全な経営にもつながるはず。ナンバー2や各部署のリーダーが成長し、ある程度店を任せられる状態になれば、事業拡大や新たなビジネスへの販路を切り開く際にも役立つでしょう。