未経験者を即戦力に！ 飲食店における新卒スタッフの育成方法・教育のポイント

リクルートワークス研究所による2020年春の新卒採用 見通し調査では、大学生・大学院生の新卒採用が「増える」と回答した企業は全体で13.8%。中でも「飲食店・宿泊業」は17.7%となっており、飲食業界が新たな人材確保として新卒スタッフの採用に意欲を示している様子がうかがえます。

しかし、新卒採用を躊躇する飲食店も多く、その理由の一つとして「効果的な育成方法がわからない」ということが挙げられます。経験者であれば基本的なことはできるのですが、新卒スタッフの場合は基本を一から教える必要があります。では、どうやって育成してくべきなのでしょうか。

■作業の基準になるマニュアルを用意
かつては当たり前だった「先輩を見て学べ」は、あまり良い方法とはいえません。「自分のときには教えてくれる人はいなかった」と思うかもしれませんが、以前のやり方では新卒スタッフは放置されたと感じ、何かにつまずいても相談できず、孤独を感じてしまいます。まずはしっかり教えて実践してもらい、失敗したりわからないことが出てきたりしたときに質問をしてもらうようにすれば、より深く内容を理解でき、さらに吸収も早くなります。

また、基礎的なところはマニュアルを作っておくのが良いでしょう。とっさの判断力や自主性が必要なケースももちろんありますが、それはある程度仕事ができるようになってからのこと。特に右も左もわからない新人には、マニュアルにより作業の基準を作っておくことで、仕事を覚えてもらいやすくなります。

■専任の教育係を付け、しっかりコミュニケーションを図る
飲食業界に限らず、学校を卒業したばかりの新卒スタッフは、新しい環境で不安を感じていることが多くあります。そこで重要なのが、社員同士のコミュニケーションです。

とはいえ、忙しい時間帯でついつい新卒スタッフを放置してしまうということも考えられるでしょう。こうした事態を防ぐには、あらかじめ専任の教育係を付けるようにするのがおすすめです。その場合、教育係の仕事はある程度ほかのスタッフで分担する必要がありますが、新卒スタッフを徹底的にサポートすることができ、リアルタイムで褒めたり注意したりすることもできます。また、専任スタッフがいることで、新卒スタッフが質問や相談をしやすい環境ができ、信頼関係を築きやすくなるというメリットもあります。

■評価することでモチベーションを上げる
新卒スタッフでなくてもいえることですが、普段の頑張った結果をしっかり評価することがモチベーションアップにつながります。きちんと褒める、報酬に反映させるなどの具体的な手段で評価を伝えるようにしましょう。そのためには評価システムを整備することも重要です。

■長期的なビジョンを明示する
新卒採用で若い世代を獲得することができれば、中長期的な事業計画が立てやすくなります。この事業計画をしっかりと立てることで将来のビジョンを明確にし、スタッフ全員と共有しましょう。目標が明確になることでモチベーションが上がり、目の前の仕事に積極的に取り組めるようになります。

飲食店の新人研修には、例えば『串かつ田中』のように新入社員のみを集め、新人教育を兼ねた店舗を持つケースもありますが、多くの個人店は現実的ではありません。特に、新卒採用の経験もなく人手不足のお店であれば、教えるスキルのある人を確保するのも大変です。

そこでおすすめなのが、教育の一部をアウトソーシングすることです。現場スタッフの負担を重くしないために、サービスやマナー研修を行う企業や教育に力を入れるコンサルタントなどを検討してみましょう。

新卒スタッフを採用するメリットは多くありますが、育成にはそれなりの苦労があるのも事実です。新卒スタッフが入社すると決まったら、まずは既存の環境を見直したり、新たなマニュアルを作ったりという事前準備をしっかり行い、スタッフ全員が笑顔で迎え入れられるようにしましょう。

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