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飲食店にとって重要なQSCとは?
QSCとは、Quality(クオリティー)、Service(サービス)、Cleanliness(クリンリネス)の頭文字をとった言葉。飲食業のみならずサービス業において欠かせない要素を表しています。飲食店では、「クオリティー」は料理の質。単純に美味しいかどうかというだけでなく、ボリューム、提供時の温度やスピードなども重要です。「サービス」は、入店時の案内からオーダー、会計、見送りなどの接客全般。「クリンリネス」は、店舗内の清掃はもちろん、衛生面での取り組み、スタッフの身だしなみなどをいいます。これら3つの要素の質が高ければ高いほど、顧客の店に対する印象はよくなります。どれも「基本的なこと」と思いがちですが、スタッフ一人一人の取り組みなくしては、適切なレベルは維持できません。
どうしたらQSCを向上できる?
QSC向上のためにすべきことは、大きく分けて二つあります。一つは、やるべきことを数値化・明確化し、徹底すること。まずはスタッフに、クオリティー、サービス、クリンリネスに関するマニュアルを改めて確認してもらいましょう。例えば、クオリティーなら料理がマニュアル通りに作られているか、量や温度は適切か、クリンリネスなら清掃は定期的に漏れがなく行われているか、サービスなら案内係が適切な場所にいるか、見送りがスムーズに行われているかなどです。さらに、チェックシートを活用したり、店長やオーナーがチェックしたりして、やるべきことがなされているか確認も行いましょう。
もう一つはスタッフのモチベーションを向上させることです。
コロナ禍においては、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言などの影響で、「営業していても客が来ない状況で働いている実感がわかない」「休業や時短で働く時間が減り意欲が下がった」という状態になりがちです。また、休業や時短の解除後、人材が足りないまま急に忙しくなり心身共に疲弊してしまう、ということもあるでしょう。
このように不安定な状況では「働きがいを感じられない」「目標が見えない」「業界の将来に不安を感じる」といった思いを抱え、モチベーションが上がらなくなるのも当然かもしれません。そうなるとQSCのレベルの低下にもつながっていきます。
スタッフのモチベーション向上に有効な方法
スタッフのモチベーションを上げるにはさまざまな方法がありますが、コロナ禍でもできることとして次のような取り組みがあります。■店のビジョンや目標を掲示・共有する
まずは店のビジョンや目標を改めて共有しましょう。売り上げ目標などの数字だけでなく、顧客に喜んでもらうためにどのような店にしたいかというビジョンも再度共有します。■コミュニケーションの場や仕組みを作る
店長や社員を中心に積極的にコミュニケーションをとるようにしましょう。朝礼や終礼の機会を設ける、連絡ノートを作るなども有効です。■研修など勉強の機会を設ける
店舗内で研修を開くのもいいですし、外部のオンラインセミナーなどを受けてもらうのもいいでしょう。飲食に関するものに限らず、メンタルコントロールについてのセミナーなどもおすすめです。■新たなことに挑戦する機会をつくる
休業や時短の時期を活用して、新たなメニュー開発を行う、販売促進のための施策アイデアを募集するなど、新たなことへ挑戦する機会をつくるのもおすすめです。■評価をする
モチベーションアップのためには、きちんと個々を評価することも大切。「基準を示す」「教える」「要求する」「評価する」という4つのステップを回す「グローイング(成長)・サイクル」を行うと、評価しやすいでしょう。もちろん、コロナに関係なくQSCを適切なレベルに維持することが大切です。多くの店がおろそかにしがちなこの時期だからこそ、真摯に取り組んでおけばチャンスにもなり得るのではないでしょうか。
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